TOYOTA
CSRの取り組み


Sustainability Report 2010
2009年度のサマリー 社会側面
お客様  |  従業員  |  ビジネスパートナー  |  地域社会・グローバル社会【交通安全】  |  地域社会・グローバル社会【社会貢献】

  お客様とのかかわり
「お客様第一・品質第一」の考えに基づき、多様化するお客様ニーズへ対応
  地域社会・グローバル社会

サステイナブルな社会の実現と、社会から信頼されるよき企業市民を目指して

ステークホルダーとの関係図
  従業員とのかかわり

グローバルに「トヨタウェイ」を共有しながら、多様性の尊重と人材育成を実施

 株主とのかかわり

安定成長の実現を目指して

  ビジネスパートナーとの
かかわり

ビジネスパートナーと築く持続可能な社会

お客様 地域社会・グローバル社会 従業員とのかかわり 株主とのかかわり ビジネスパートナーとのかかわり
ステークホルダーとのかかわり [お客様]
お客様目線との乖離を反省し、信頼回復に向け「お客様第一」「現地現物」を徹底
トヨタは従来より「お客様第一」を標榜してきましたが、今回、安全・安心にかかわるリコール対応につき、必ずしもお客様の期待に十分お応えすることができませんでした。これを反省し、「お客様第一」とそれを実現するための「現地現物」を、いま一度根本から問い直し、徹底します。また、開発設計、調達、生産、アフターサービスの各分野でも「お客様目線」に立って活動を見直し、より徹底します。


■トヨタお客様相談センター入電件数
トヨタお客様相談センター入電件数
■相談内容(2009年度)
相談内容(2009年度)
「お客様第一」へ市場と商品をつなぐお客様相談センター
お客様相談センターは、お客様のご質問やご不満にお応えするとともに、いただいたご意見・ご要望をよりよい商品・サービスづくりに反映していくため、1982年に設置。フリーダイヤル化、24時間カタログ受付、365日受付など、お客様の利便性を高めるための態勢づくりに取り組んできました。また、お客様からのご質問やご不満に対して、真に望まれていることを把握し、本当に知りたい情報をご提供できるよう、お客様の気持ちを汲み取り、「迅速」「的確」「親身」にお応えするよう努めてきました。今回の一連のリコール問題に関しては、販売店とともにお客様の不安の声をしっかりと受け止め、少しでもご安心いただける対応を心がけてきました。お客様からいただいた声については、「お客様目線」で社内に展開し、安全・安心な商品づくりへの反映に取り組んでいます。企業としては、お客様に商品を選んでいただき、買っていただくこと、そしてご満足いただくことが重要となります。そのためにも、常に「お客様第一」の原点に立ち、年間35万件を超えるお客様からの声に真摯に耳を傾けた商品づくりに今後も取り組んでいきます。
リコールに関するお問い合わせなどへの対応
リコールに関するお問い合わせなどへの対応
今回の一連のリコール問題発生以降、お客様からのお問い合わせや苦情入電が急増。2010年2月の入電件数は通常月の約3倍になりました。窓口の「お客様相談センター」では、迅速・的確にお客様に対応するため、入電対応者を増員。お客様の声は、日々の入電件数とともに内容を関係部署に直ちに展開しました。具体的には、「ブレーキの問題は安全にかかわることだから心配」「不具合の現象について詳しく教えてほしい」といった声が寄せられ、早急にお客様対応への販売店用Q&Aを作成して展開するなど、お客様の声を基に対応の改善を行いました。また、リコールとなった場合の新聞やテレビでのお詫び広告、ホームページでのお詫びに対する声も社内へ展開し、お客様への情報提供のあり方についても改善の働きかけを行っています。また5月の「お客様月間」では、お客様の声を基に、製品安全の重要性やお客様目線の変化を訴求し、お客様第一の再徹底を図りました。
お客様への安全啓発の強化
お客様への安全啓発の強化
日本では、お客様相談センターにお問い合わせいただいた内容を基に、「SAFETY GUIDE BOOK」を作成しています。安全にクルマをお使いいただくための情報を掲載し、新車ご購入時にお客様へ配布しています。


「SAFETY GUIDE BOOK」はホームページからご覧いただけます
「SAFETY GUIDE BOOK」
コラム トヨタ消費生活アドバイザーの会が品質、リコール問題に関し、意見交換会を実施
グループディスカッションの風景
グループディスカッションの風景
今回の一連のリコール問題に対するお客様の信頼回復に向けて、トヨタ消費生活アドバイザーの会*が2010年3月に意見交換会を実施。一連の報道に対する実際の「お客様の声」を参加会員32名でモニターしました。意見交換会では経緯の確認、北米駐在経験者による米国における品質保証体制等の説明、お客様相談センターの状況説明など、会員間で情報を確認・整理した上でグループディスカッションを行いました。会員からは「悪い情報ほど早く展開できる風土づくり」「『お客様目線』について再考する」「お客様の生の声を従業員が聞く機会をつくる」など活発に意見が述べられ、消費者の目で判断できる集団として、会の活動を一層強化することを確認。2010年度の活動計画に、「車両評価」や「サステイナビリティレポートを読む会」「社内CSR検討会」への参加を新たに取り入れました。

*トヨタ消費生活アドバイザーの会: 社内の消費生活アドバイザー(内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格)資格者で構成し、
当社の消費者志向の向上に貢献するために活動
■CF活動における品質向上活動の仕組み
CF活動における品質向上活動の仕組み
各分野の品質対応
品質は、開発設計、調達、生産、アフターサービス活動の連携から作り出されます。どの分野の努力が欠けても、お客様に満足いただける品質をお届けすることはできません。今回の 一連のリコール問題を踏まえ、全社の意識を今一度新たにし、各分野が、より緊密に連携を行い、改善に努めます。
コラム 東京トヨペット、お客様の安心を最優先
お客様からお預かりしたプリウスのABSプログラムの書き換え
お客様からお預かりしたプリウスの
ABSプログラムの書き換え
新型プリウスのリコール問題に対し、東京トヨペット(株)では、お客様の安心を優先させるため、お買い上げいただいたお客様に対し、迅速にコンタクトを取りました。対象車両は5,725台。お客様からお預かりしたクルマのABSプログラムを書き換え、全車走行テストを行いました。休日返上も含めた迅速・的確な対応により、リコール実施率は3月末には99%を実施。こうした販売店による迅速・丁寧な対応には、お客様からも評価をいただいていますが、今回の一連の問題を通じて販売店の現場でも様々な対策を考案しています。たとえば、これまで納車時のお客様への説明は、高機能化するナビに時間を要していましたが、今回の一連の問題を通じて、ABSをはじめ、クルマの基本性能である『走る・曲がる・止まる』ための説明と、「何か起きた時にはこういう風に対処してください」「こういうことが起きます」といった話をしっかり説明することの大切さを改めて実感し、当時の神谷社長(現会長)の指示により、クルマの基本性能を説明できる冊子「安全BOOK」を迅速に活用し、お客様の安全・安心に応えました。お客様からは、「販売店の対応を評価する」等の言葉を東京トヨペットにいただく一方、「ブレーキはフィーリングの問題という当初の発言には違和感がある。もっとユーザーの安心に配慮されたい」と、トヨタ自動車へのお叱りの言葉をいただいています。
ユニバーサルデザイン(UD)
操作性・視認性の革新から生まれたHS250hの室内デザイン
操作性・視認性の革新から生まれたHS250hの室内デザイン
 
“お客様の声をより重視する対話型開発”のリモートタッチを「RX」「HS250h」「SAI」に搭載
多様なお客様が使用するクルマは、老若男女の区別なく、幅広く誰にでも使いやすい製品であることが重要です。トヨタは「人にやさしいクルマづくり」に取り組み、どの地域・国のお客様にどのように使っていただくかなどを考慮しながら、人体各部の特性や動作に基づいて使いやすいクルマを開発しています。人間工学に基づくユニバーサルデザインもその一環であり、開発者自身が直接にお客様の声を聞く「ユーザー対話型開発」の手法を用い、使う人や場面に応じた操作性、視認性を配慮した製品開発を行ってきました。近年では対話型開発に基づき一般公募した101名のユーザーを評価パネルに検証したリモートタッチを「RX」「HS250h」「SAI」に装備しました。リモートタッチは、ナビゲーションなどを手元を見ることなく指先の感覚で遠隔操作することにより、ディスプレイを高く遠方に配置でき、運転中の視認負荷(視線移動量、焦点調節)を低減することで、優れた快適性と安全性を実現しました。お客様からは「画面が見やすく操作が楽しい」「慣れると使い勝手がよい」など、評価をいただいています。
快適な移動を手助けするウェルキャブのラインナップを充実
近年、障がいをお持ちの方や高齢の方々が不自由なく社会参加できる「真に豊かな社会の実現」が求められています。この要望にお応えすべく「すべての人に快適な移動の自由を提供する」の理念のもと、福祉車両「ウェルキャブ」の開発と普及に取り組んでいます。多様化する福祉車両へのニーズに応えるため、福祉車両「ウェルキャブ」専門の開発部署を中心にラインナップを充実、2009年度には、お身体の不自由な方の介護者が送迎に使用する介護式、お身体の不自由な方がご自身で運転されるための自操式、合わせて30車種64タイプを展開しました。最も販売台数の多い介護式タイプは、車いすに座ったまま車内に乗り込める、リモコン操作のスイングアームリフトを採用した「ハイエース/レジアスエース 車いす仕様車」で、お使いいただいているお客様からは「昇降時間が早く、揺れも少ないから安心」等の感想をいただいています。また、全国トヨタ販売店を対象に「ウェルキャブステーション」の設置を推奨し、累計で104販社、181店舗(2010年3月末現在)を設置しています。
ハイエース/レジアスエース 車いす仕様車
ハイエース/レジアスエース 車いす仕様車


■ウェルキャブ販売台数とシェアの推移(国内)
ウェルキャブ販売台数とシェアの推移(国内)
ウェルキャブ専門常設展示場「トヨタハートフルプラザ」の詳細はホームページを参照ください
ウェルキャブ専門常設展示場「トヨタハートフルプラザ」
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ステークホルダーとのかかわり [従業員]
人材育成
人材育成の根幹は「トヨタウェイ」の実践です。逆境の時こそ学びの好機ととらえ、トヨタウェイの5つのキーワードを基軸とした教育プログラムの一層の充実と強化を図り、優れたモノづくりの発展と継承に欠かせないOJT(現場での教育)を基本に人材育成に取り組みます。
また、安全に関する品質問題に鑑み、各教育の中で品質をより重視します。


R&Dラーニングセンターの教育を中堅層へと拡大
クルマの品質・性能を十分に確保するためには、常に技術者の基礎的資質の向上が重要です。「R&Dラーニングセンター」は、(1)魅力ある製品開発に向けた足元固め (2)高いトヨタ品質の維持・向上(お客様第一)を目的に2006年に開設。技術部門新人教育体系を見直し、トヨタ、TTDC*、海外事業体の開発技術者を対象に約2ヵ月間の教育を実施しています。2009年度は42講座を約1,000人が受講しました。
また、2009年度は、新人教育の整備が概ね完了したことから、新たに中堅層(入社3年目から新任主任レベル)を対象とした技術者教育の体系化に着手。現状の中堅教育の充足・不充足を点検、品質関係等を中心に、2010年度から教育の充実と強化に取り組みます。職場でのOJTによる人材育成の質を高めていくためには、中堅層のレベルアップが不可欠です。そのため“原理原則に立ち戻る”教育を展開します。
その一つとして、各部署のトップエンジニアを師範とする「DR(デザインレビュー)塾」を開設。主任2〜3年経験者を対象に、ボディ、シャシー、実験、電子技術など8領域で設定。受講生が学んだ知識・技術を基に職場の課題解決に自ら取り組めることを目標としています。また、教育の成果を計る育成指標の運用を強化していきます。
■中堅技術教育の体系化
中堅技術教育の体系化

電子技術領域におけるDR塾
電子技術領域におけるDR塾
* TTDC : トヨタテクニカルディベロップメント株式会社。トヨタ開発・設計分野の開発パートナー会社
品質・仕事の質の向上を目指しグローバルにTQMを推進
TQM(Total Quality Management)は、全社員がそれぞれの立場で、(1)お客様第一主義に徹し、(2)QCの基本的考えを身につけ、(3)その実践を通じて企業体質を強化する活動です。TQM推進部は「お客様第一」「絶え間ない改善」「全員参加」の理念のもと、グローバルトヨタの各職場一人ひとりに対して、品質・仕事の質向上の自律的実践と、人と組織の活性化につながる施策を提供し、課題解決を促進しています。
具体的には、新任マネジャーを対象にした「MAST*1研修」や、事務・技術系スタッフ対象の「自工程完結研修*2」「SQC研修」等を行い、各々の業務の課題創造や問題解決に結び付けています。また、明るい職場・改善風土づくりを目指し、QCサークル活動や創意くふう提案の充実も図っています。特にQCサークル活動では、海外44事業体で積極的に展開され、毎年10万人以上、約1万5,000サークルが身近な問題の改善に取り組んでいます。
一方、品質・仕事の質を高めるための情報発信や活動の支援も行っています。2009年11月の品質月間には、「第44回オールトヨタTQM大会」を開催し、グループ各社や販売店から4,600名の参加者を迎えました。この場で豊田社長は、“お客様第一”に向けた想いを語り、参加者からは「原点に触れることができた」等の声がありました。2010年5月のトヨタグループ役員TQM講座では「品質」「人材」をテーマに活発な議論が展開。7月には全社員を対象にした「第6回自工程完結事例展示会」や「第24回SQC全社発表会」が行われ、多数の出席者がTQMの大切さを認識しました。
■TQM推進部 研修体系図
TQM推進部 研修体系図)

オールトヨタTQM大会「改善事例の発表」
オールトヨタTQM大会「改善事例の発表」

*1.MAST : Management-quality Advancement System developed by Toyota-group
*2.自工程完結 : 自らの仕事の良し悪しをその場で判断できるようにする
多様性の尊重
企業がグローバルに活動を行う場合、世界を視野に「多様多彩な人材の活躍」を推進すると同時に、「人材育成」による個々人の能力を高めることが大切です。多様な人材を育て、戦略化することで、活気ある企業風土が形成されます。多様性の尊重は国、地域により重視される点は異なりますが、トヨタは多様な価値観、発想を互いに尊重し合いながら、働く人々にとって魅力的な自己実現の場となる職場や企業でありたいと願っています。


いきいきと働く職場づくりのために様々な施策を推進
女性の視点からとらえた企業課題の解決を通じて、より多様性のある活力ある職場をつくり出すため、「仕事と育児の両立支援」「キャリア形成支援」「風土・意識改革」の3本の柱を軸に様々な施策を推進しています。2008年度には、育児期の柔軟な勤務時間制度の改定、職場上司向けフォーラム等を実施しました。2009年度には製造現場に勤務する女性約1,000人を対象に、各工場で女性技能職交流会を開催。ロールモデルの紹介等を通じてキャリア形成意識の醸成を図るとともに、職場を超えた女性同士のネットワーク構築をサポートしました。介護については、柔軟な勤務時間制度の新設や、介護する側、される側双方の視点を理解することを目的とした講演会・体験型介護セミナーを開催しました。他にも、介護サービスの拡充、融資制度の導入などを行い、介護との両立が図れるよう、環境を整備しました。
2010年6月の改正育児介護休業法施行に合わせ、両立支援制度の一部を新設・改訂しています。
障がいのある方の雇用機会拡大
車椅子でも使用しやすいように改良された台車
車椅子でも使用しやすいように
改良された台車
社内の障がいのある方の雇用促進とともに、社会にも雇用機会を広げるために、「トヨタループス(株)」を設立。2009年度に事業を開始し、特例子会社の申請を行ないました。
「ループス」の社名は、障がいのある方々の雇用の「輪」、社会や職場の仲間との「輪」を広げていきたい願いから命名。社章は、「安心の『和』、喜びの『輪』、楽しみの『話』を大きく広げ、社員・家族・地域社会にとって“誇れる会社”を目指す」という基本理念の「3つの『わ』」を表しています。トヨタループスは、トヨタの社内印刷・製本業務、郵便物の集配・仕分けなどメールサービス業務を受託しています。新社屋の建設に当たっては、既存の優良施設を調査。社屋全体のユニバーサルデザイン化に取り組み、「アクセス(使いやすさ)」「ホスピタリティ(やさしさ)」「インフォメーション(わかりやすさ)」に“オール5”のバリアフリー施設を実現しました。さらには、トヨタのDNAを受け継ぎ、より働きやすい職場づくりや業務の円滑化のための創意工夫提案活動に取り組んでいます。会社見学の受け入れも開始し、社屋完成後の半年間で約400名が訪問されました。
また、地域のさらなる雇用拡大に向けて、2010年1月に障がい者の雇用を推進している中部圏の企業や施設と連携する連絡会「ハートフルネット中部」を発足。4月に約20団体が参加して第1回連絡会を行いました。
2009年度の実績は、特例子会社は重度の身体障がいや知的障がいのある方など28人、トヨタでは定期(新卒)で18人、不定期10人の採用を行いました。雇用率は、2010年6月末現在、特例子会社を含めると2.07%(トヨタ単体では1.98%)となっています。
60歳以降の就労制度
1991年の技能職定年退職者を対象とした社内再雇用制度の導入に続き、2001年には社外就労希望者に関係会社などの就労先を紹介する「選択式再就労システム」を導入し、社内就労と社外就労の両面から60歳以降の働き方を支援する仕組みをつくってきました。2006年度の改正高齢者雇用安定法施行に合わせて、より多くの従業員が再雇用される制度へと見直しを行いました。また、多様な就労希望に対応するため、短時間勤務の拡充などの見直しも併せて実施しました。
期間従業員の雇用
正社員のほかに嘱託、受入出向者、派遣社員、期間従業員などが働くトヨタでは、特に期間従業員の雇用に当たっては、適切に採用・契約更新等を行うことは当然として、企業としてできる範囲内において、雇用の安定やエンプロイアビリティ(就業能力)の向上にも最大限努めています。
正社員登用制度により、期間従業員として6ヵ月以上勤務した方を対象に、本人希望し職場推薦のある方に受験機会を与え、意欲・活力向上につなげています。2年目、3年目にも受験可能です。
期間従業員に対する取り組みの詳細は本誌p.66とp.67を参照ください(PDFファイル)

コラム 2008-2009 全世界の経済変動・生産変動を受けた雇用の取り組み
基本理念・方針に則り、雇用を守るべく最大限の努力を傾注
2008年は、原油価格高騰に始まりました。その後のサブプライム問題に端を発した金融危機が、世界的な大不況という形で一気に深刻化しました。この経済状況を受け、自動車市場は急速に収縮。トヨタも生産計画の大幅な見直しを余儀なくされました。こうした状況下、トヨタは安定的な操業を行うという観点でタクトタイムの変更、残業の制限、稼働日や勤務形態の見直しなど、あらゆる稼働調整を行い、「雇用を守るべく最大限の努力をする」ことを雇用の基本スタンスとして取り組んできました。その背景にあるのは「トヨタ基本理念」等に記された雇用の考え方であり、今後も基本スタンスに基づき、事業活動を行います。。

■CSR方針の位置付け
CSR方針の位置付け
「トヨタ基本理念」等、基本的な考え方について
トヨタ基本理念
トヨタがどのような会社でありたいかをまとめたもの。連結子会社とともに、その内容を理解・共有し、企業活動を通じて、社会・地球の持続的な発展に貢献することを目指しています。

トヨタCSR方針
「トヨタ基本理念」においてステークホルダーとの関係を念頭にまとめ、その後、環境変化、社会のCSRへの関心の高まりなどを踏まえ、改訂したもの。トヨタは、連結子会社とこれを共有、行動します。

トヨタウェイ
「トヨタ基本理念」を実践する上で、全世界のトヨタで働く人々が共有すべき価値観や手法を示したもの。

トヨタ行動指針
実際の会社生活(日常生活を含む)・社会生活で、具体的に行動する上で、私たち一人ひとりが規範・羅針盤とすべき基本的な指針および具体的な留意点をまとめたもの。

雇用に関する基本的考え方
「トヨタ基本理念」における記載(抜粋)
1. 内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民を目指す
5. 労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
「トヨタ基本理念」詳細は本誌p.12をご覧ください(PDFファイル)
「トヨタ行動指針」における記載内容
第1章.私たちは、会社との誠実な対話と協議を通じ、私たちとトヨタの関係の礎となる、労使の「相互信頼・相互責任」の価値観を構築し、ともに分かち合えるよう努めています。トヨタは、私たち全員が安心して働き、生活できるよう雇用の確保と労働条件の長期安定的な維持向上を可能とすべく、業績向上に努力するとともに、一人ひとりがいきいきと働きやすい環境づくりに努めています。
「トヨタCSR方針」における記載内容
<従業員>
私たちは、均等な雇用機会を提供するとともに、従業員の多様性・一体感の確保に努力します。また、従業員に対する差別を行いません。(基本理念5)
<従業員>
私たちは、全従業員に対し公正な労働条件を提供し、安全かつ健康的な労働環境を維持・向上するよう努めます。(基本理念5)


国内の期間従業員に関する取り組み
季節的な需要変動や景気動向等に大きな影響を受ける自動車産業にとって、一定程度の期間従業員等を雇用する制度は、長年存続してきた制度ですが、期間従業員の雇用に当たっては、適切に採用・契約更新等を行うことは当然として、企業としてできる範囲内において、雇用の安定やエンプロイアビリティ(就業能力)の向上にも最大限努めています。
また、契約期間の満了に当たっては、満了慰労金、満了報奨金等の手当てに加え、帰任旅費支給等を配慮。また退寮に当たっては各個人の事情を踏まえ、「失業給付金の受給資格確定」までの待機等、やむを得ない理由があると会社が認めた場合、2008年12月から退寮期間を1ヵ月に延長しました(当該延長期間の寮費は無料)。その他、期間従業員から正社員に登用する制度(期間従業員として継続6ヵ月以上勤務した人を対象に、TMC正社員への登用選考)を設けており、期間従業員の意欲・活力向上に向けた取り組みを実施しています。2009年3月末より「国家資格を取得可能な技能講習」を行っています。


海外の雇用に関する取り組み
トヨタでは、これまで必要に応じ工場の稼働休止を含む生産調整を実施してきましたが、この期間を利用した改善活動や人材育成、工場間での応受援、新規採用の凍結、残業の削減など、雇用を守るための努力を続けてきました。
また、欧米や南アフリカなど一部の工場では、1人当たりの労働時間を短くして仕事を分け合うワークシェアリングを実施し、加えて従業員に多様な選択肢を提供するという観点から、希望退職も実施しました。
こうした施策は、労使の相互信頼関係に根ざした、「雇用を守るべく最大限の努力をする」というトヨタの基本スタンス、ならびに各国の労働法規の遵守、各国・各事業体の労使慣行・労働協約の尊重といった観点から検討・決定したものです。

ワークシェアリングの実施および業務改善・社会貢献の観点からの時間の有効活用
2009年2月、米国ではTEMA傘下のインディアナ、テキサスなど6工場の生産ラインで働く約1万2,000人を対象に、ワークシェアリングを実施しました。 同社のジム・ワイズマン副社長(当時)は「生産調整を進めつつ、雇用を守りたい」との姿勢を示し、従来2週80時間の労働時間のうち、8時間をワークシェアリングに充てるとともに、生産にゆとりのある時は、改善活動や人材育成、地域への社会貢献活動に取り組みました。
改善活動では、品質・安全向上の観点から、自工程のさらなる改善や新ラインでのスムーズな立ち上げの徹底等を図りました。また、社会貢献活動では、地域社会のクオリティオブライフ向上の観点から、美化活動・植林活動を実施しました。

“座学による自工程のさらなる改善
座学による自工程のさらなる改善
実習による人材育成
実習による人材育成
植林活動
植林活動
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ステークホルダーとのかかわり [ビジネスパートナー]
ビジネスパートナーとさらなる一体化を図り、「品質重視」「お客様第一」の原点に立ち返る
トヨタの基本哲学である「クルマ造り、モノ造りを通じた社会への貢献」「お客様第一」を達成するためには、サプライヤー、海外代理店、国内販売店をはじめとするビジネスパートナーと理念を共有し、手を携え、一体となって、様々な活動に取り組むことが必要です。CSRに対する取り組み等、従来よりの活動を着実に推進すると同時に、安全・安心に関する品質問題に鑑み、ビジネスパートナーとさらなる一体化を図り、高いレベルのお客様満足の実現に取り組みます。

サプライヤーとともに
トヨタは創業以来、サプライヤーと一体になったモノづくりを追求してきました。好調な時も苦境の時も、ともに手を携えながら、励まし合いながら乗り越えてきた歴史があります。そのようにサプライヤーとともに苦労を重ね、「互助と共生」による強固で緊密な関係を築いてきました。
事業活動がグローバル化した今日においても、新たなパートナーとの関係も含め、こうした緊密な関係を大切にし、品質等高いレベルのお客様満足の実現に取り組みます。
コラム サプライヤーと一体となった現地現物での不良改善
ジェイテクト一体活動
ジェイテクト一体活動
2006年から、サプライヤーと一体となった体質改善活動「仕入先一体活動」を展開しています。これまでの仕入先品質活動の課題を整理し、サプライヤーの困りごとの解決と工程内不良低減の二つを柱に取り組みました。2010年5月時点で仕入先27社と活動しています。たとえば、ジェイテクトとはオートマチックトランスミッションの構成部品であるオイルポンプを取り上げ、工程での品質造り込みとともに、検査規格や検査方法を適正化しました。1年後には不良率(廃却率)を1/10にすることができ、他部品へも横展開しています。
コラム 販売店を対象に中国でトヨタ品質の安全・安心説明会を開催
セミナーで紹介されたプレゼンテーションの1コマ
セミナーで紹介された
プレゼンテーションの1コマ
米国に端を発したトヨタの品質・リコール問題は、中国の販売店にも影響を与えました。トヨタでは現地の安全・安心のために、2010年4月に技術者を中国に派遣し、4会場で約360社のFTMS現地販売店に対して「トヨタ品質の考え方」と題した説明会を実施しました。技術者でない方にもわかる説明を基本に、「トヨタ品質基準の考え方」「米国での品質問題」「トヨタの設計の考え方」「トヨタの車両安全性能」の解説を行い、「さらなる品質・安全性向上に向けて」今後、トヨタはより迅速なお客様の声の反映、市場調査の徹底に取り組むことを、今回の品質問題から学んだこととして説明しました。今後も「安全・品質」を重視した商品を提供することを約束するとともに、さらなるコミュニケーションの向上などをお願いしました。


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