TOYOTA
CSRの取り組み


Sustainability Report 2010
2009年度のサマリー 社会側面
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安全の基本である「安全技術・車両開発の考え方」の紹介 [地域社会・グローバル社会] 【交通安全】
実安全を追求し、「交通事故死傷者ゼロ」の実現を目指して
クルマを移動手段とするモビリティ社会がこれからも健全な発展を遂げていくためには、環境への影響、交通事故、渋滞など負の要素を最小にすることが必要です。安全に対するトヨタの基本的な考え方は、事故分析に基づき、「実安全」を追求することです。事故を起こす可能性を事前に極力少なくする「予防安全」、事故の被害を最小限にする「衝突安全」の両面から安全対策に取り組むとともに、ドライバーや歩行者など「人」への啓発、「交通環境」整備など、三位一体での「交通事故死傷者ゼロ」への総合的アプローチを展開します。
「人・クルマ・交通環境」の三位一体の取り組み
実際に社会で発生している様々な事故を調査・解析し、対策技術の開発、普及、効果の検証を行うためには、まず、事故や人間研究のデータから、「なぜ事故が起きたのか」「どのような原因でケガをしたか」を解析します。そして事故をシミュレーションにより再現し、対策技術を開発します。その技術を実車試験で確認した上、商品化後も「事故調査・解析」を行っています。

グローバルな視点から見ると、中国やインドなどの自動車新興国では、モータリゼーションの発展に伴い交通事故が増加しています。交通事故による全世界の死亡者は年間およそ130万人で、死亡原因の9番目になっています。特に新興国では、クルマの増加に人の教育や交通環境が対応できず、事故が増加していると考えられます。

究極の目標である「交通事故のない世界」を達成するためには、より安全なクルマの開発が必要なことはもちろんですが、それだけでは十分ではありません。安全なクルマづくりと並行して、ドライバーや歩行者という「人」に対する啓発活動、「交通環境」整備への働きかけも欠かせません。

トヨタでは健康で豊かなモビリティ社会の実現に向け、「交通事故死傷者ゼロ」を目指し、「人」「クルマ」「交通環境」の三位一体による、総合的なアプローチで交通安全への取り組みを推進しています。

■全世界の交通事故死者数
全世界の交通事故死者数
■三位一体による交通安全の取り組み
三位一体による交通安全の取り組み
 
■安全基本理念
(1)健康で豊かなモビリティ社会への貢献
トヨタは常に「人」中心に考え、クルマを通して「人」が快適に移動できる交通死傷者のないモビリティ社会を目指します。

(2)社会との協調
グローバル社会の一員として、政府・自治体などをはじめ幅広い層と積極的に協力し、交通環境改善・安全意識向上に努めます。


(3)安全な車両の開発
事故分析に基づき必要な「予防安全」技術と「衝突安全」技術を世界に先駆けて開発し、より多くの皆様に提供できるよう取り組みます。
交通安全への取り組み
安全技術・車両開発の考え方
予防安全
車両開発にかかわる安全技術は、大きく「予防安全」と「衝突安全」に分けられます。「衝突安全」では衝突後の被害軽減を目的とするのに対し、「予防安全」では、衝突自体を起こしにくくすることが目的です。その基本は、衝突に至る可能性のある車両状態を検知して安定性を確保し、ドライバーが事故を回避する運転行動を支援することです。
予防安全のため最初に開発されたのはABS (Anti-lock Braking System)で、1971年に商品化されました。そして1987年には加速時に駆動輪の空転を制御するTRC(Traction Control System)を商品化。1995年には、車両の横滑りを抑制するVSC(Vehicle Stability Control)が商品化されました。
また、車両が不安定になる前からその要因を取り除く技術も開発しています。たとえば、夜間運転時におけるドライバーの視界を支援するナイトビューシステム、運転の負荷を軽減するACC(Adaptive Cruise Control)*1やLKA(Lane Keeping Assist)*2、さらに衝突の可能性を事前に検知し、衝突被害の軽減を図るPCS(Pre-Crash Safety System)などの開発に力を入れています。
今後も、さらなる進化を目指してドライビングシミュレーターなども活用し、新しい予防安全技術の開発を続けます。
■プリクラッシュセーフティ
プリクラッシュセーフティ
先行車などと衝突する可能性が高いと判断した場合、ブザーなどでドライバーに警報するとともに、ブレーキアシストや自動ブレーキにより被害軽減を図ります

■ドライビングシミュレーター
ドライビングシミュレーター
居眠り運転、飲酒運転といった運転特性を安全に解析するもので、交差点模擬走行など実走行に近い走行が可能。予防安全装置の効果推定などに活用します
*1. ACC: 従来のクルーズコントロールに高性能レーダーを組み合わせ、前方のクルマに合わせ一定の車間距離を保ちながら追従走行するシステム
*2. LKA: カメラで道路形状を認識し、電動パワーステアリングの制御で車線に沿った走行をしやすいように支援するシステム
衝突安全
「衝突安全」に対する基本的な考え方は、衝突時に乗員をしっかり守りつつ衝突エネルギーを吸収するボディ構造と、乗員を効率的に保護する装置を組み合わせ、衝突の被害を最小限に抑えることです。
こうしたボディ構造、安全装置の開発には実車を使用した衝突試験やコンピューターシミュレーション技術が欠かせません。トヨタでは1966年に安全実験課を新設し、40年以上研究開発を行い、その間の評価・計測技術は格段の進歩を遂げ、製品開発に確実にフィードバックさせています。2003年、東富士研究所にできた新衝突安全実験棟は全天候型で、様々な衝突試験やロールオーバー(横転)試験が室内で行えます。
衝突試験としては、1995年、当時まだ一般的ではなかったオフセット衝突試験を採用し、実安全性能に着目して開発を行ってきました。世界トップレベルの安全性を追求するため、GOA(Global Outstanding Assessment)という衝突安全性の自主目標を設定し、衝突安全ボディを開発。さらに、大きな車両と小さな車両相互の安全性確保を目指すコンパティビリティ性能、歩行者の保護やむち打ち傷害軽減性能など、時代に合わせた評価条件・評価方法を随時追加し、より多くの事故に対応できるよう、常に進化を続けます。
また、人体の傷害メカニズムを解明するため、人体ダミーでは計測不能な人体への影響をシミュレートする人体モデルTHUMS(Total Human Model for Safety)を豊田中央研究所とともに開発し、人体各部の傷害予想に役立てます。
■THUMS
THUMS
人体ダミーでは限界のあった各部の傷害程度を予測することができ、現在は、歩行者傷害軽減ボディや、むち打ち傷害低減シートなどの開発で活用します

■オフセット衝突試験
オフセット衝突試験
東富士研究所内安全研究棟のオフセット衝突は、衝突ポイントや速度のきめ細やかな試験が可能で、高速での衝突や横転による事故など、多様な事故が再現できます
統合安全コンセプト
トヨタでは、クルマの安全にかかわる将来のビジョンを「統合安全コンセプト」という形にまとめました。これは、クルマに搭載された個々の安全技術やシステムを連携させ、より高次元な安全を追求しようというもので、将来的には道路インフラとの協調、自車以外のクルマからの情報活用も図り、「事故を起こさないクルマ」実現を目指します。
「統合安全コンセプト」では、危険の大きさで運転状況を分類。パーキング・予防安全・衝突安全・救助の各運転ステージでドライバーをアシストし、各システムをさらに連携させていくことでクルマをより危険から遠ざけることで、「事故を起こさないクルマ」を実現します。
■個々の技術・システムの連携イメージ
個々の技術・システムの連携イメージ
コラム 歩行者の保護に向けた自動車安全技術の開発
■2009年の交通死亡事故の特徴
2009年の交通死亡事故の特徴
2009年、日本では4,914名の方が交通事故を原因に亡くなられました。その内、歩行中の事故により亡くなられた方は1,717名、自動車乗用中の1,600名の方を上回っています。自動車の乗員はもちろんのこと、歩行者の保護に向けた取り組みも重要です。
トヨタは万一の対人事故に備え、頭部や脚部への衝撃をやわらげる衝撃吸収構造をエンジンフード、フェンダー、バンパーなどに採用しています。また、プリクラッシュセーフティでは、ミリ波レーダーと新開発のステレオカメラにより、クルマや障害物はもちろん、これまで検知が難しかった歩行者の検知も可能にしています。
コラム インフラと協調して交通事故低減を目指すITS技術
トヨタは自動車の安全技術・装備を進化させるとともに、ITS技術を活用した「インフラ協調型安全運転支援システム」の開発に積極的に取り組んでいます。これは道路とクルマ、あるいはクルマ同士の情報通信により、ドライバーの安全運転を支援して事故の防止につなげるシステムで、関係省庁や他民間企業と連携して早期実用化を目指しています。2009年度は、クルマとインフラとの双方向通信により高速道路上を中心に安全運転をサポートするDSRC*(スポット通信サービス)の運用開始に合わせ、DSRCユニットをレクサスLSに搭載しました。具体的には、見通しの利かないカーブの先の停止車両や渋滞、高速道路で合流してくるクルマの存在などを事前に知らせることで、事故防止につなげます。

*DSRC :  Dedicated Short Range Communication
■DSRC運用イメージ図
DSRC運用イメージ図
システム構成例
代表的な安全技術・装備
■VSCによる事故低減効果
VSCによる事故低減効果
 
[予防安全]
滑りやすい路面での横滑りを抑制するVSC
(車両安定性制御システム)

VSC*は、ドライバーの操作ミスをクルマがカバーして安定性を確保する事故回避操作支援技術の一つです。急なハンドル操作や滑りやすい路面などで発生する横滑りを抑制し、ドライバーによるクルマのコントロールをサポートします。クルマの横滑りをセンサーが感知すると、4輪それぞれのブレーキ力とエンジン出力とを自動的に制御。たとえば、滑りやすい路面でハンドルを切っても曲がらない場合(アンダーステア)では、エンジン出力を低下させるとともに、内側後輪にブレーキをかけ、クルマを内側に向けます。また、急激なハンドル操作でクルマがスピン(オーバーステア)し始めると、外側前輪にブレーキをかけてスピンを抑制します。
*VSC: Vehicle Stability Control
衝突被害を軽減するプリクラッシュセーフティシステム
プリクラッシュセーフティシステムとは予防安全の一つであり、衝突不可避と判断した場合は、「プリクラッシュブレーキ」や「プリクラッシュシートベルト」等のプリクラッシュセーフシステムを作動し衝突被害軽減を図ります。さらに、先進技術の一つであるドライバーモニターは、ドライバーの顔の向きと目の開閉状態を検知し、衝突の可能性を判断した場合、通常よりも早く警報ブザーと表示で注意を促します。
さらに、衝突の可能性が高まると警報ブレーキにより、体感的に警告することで認知の遅れに対応し、プリクラッシュブレーキにより、衝突速度を低減します。
■ドライバーモニターの作動イメージ
“ドライバーモニターの作動イメージ ドライバーモニターの作動イメージ
ドライバーモニターの作動イメージ
上下まぶたを検知し、左右眼開度を算出
[衝突安全]
重量の異なる車同士の衝突時における共存を考えた全方位コンパティビリティボディ構造 

衝撃吸収ボディと高強度キャビンからなる衝突安全ボディ“GOA*1”は、重量・車高の異なるクルマ同士の衝突時における共存を追求するコンパティビリティ*2の概念を採り入れて進化しています。自車よりも重い2トンクラスの車両との衝突を想定した前面・側面・後面からの衝突実験を実施。同排気量クラス世界トップレベルの衝突安全性能を追求しています。
■全方位コンパティビリティボディ構造
全方位コンパティビリティボディ構造
*1.GOA(Global Outstanding Assessment) : クラス世界トップレベルを追求している安全性評価
*2.コンパティビリティ : 軽いクルマの衝突安全性確保と、重いクルマの加害性低減によって双方の安全を図るという考え方
シートベルトの補助装置として有効なSRSエアバッグ
SRSエアバッグは、万一の衝突時に前方から強い衝撃を受けたときに作動。シートベルトの働きと併せて、前席乗員の頭や胸への衝撃を緩和します。また、車両側方からの衝突により強い衝撃を受けた場合、SRSサイドエアバッグは、乗員の胸部への衝撃を緩和します。SRSカーテンシールドエアバッグは、フロントピラー、ルーフサイド部、リヤピラーに格納されたエアバッグが、乗員の頭部の側面を覆うように広がり、衝撃を緩和します。
エアバッグ(写真はプリウス)
エアバッグ(写真はプリウス)

サイド&カーテンシールドエアバッグ(写真はプリウス)
サイド&カーテンシールドエアバッグ(写真はプリウス)


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