TOYOTA
CSRの取り組み


Sustainability Report 2010
スペシャルストーリー サステイナブル・モビリティを実現するために -次世代環境車の開発・普及-

燃料多様化を見据え、ハイブリッド車を核に次世代サステイナブル・モビリティの開発・普及を促進
自動車のエネルギー源は、化石燃料を中心として展開してきました。しかし、将来のオイルピークを考えるとエネルギー源の多様化が不可欠です。多様なエネルギー源の中で電気は将来的に有力なエネルギーの一つです。トヨタは従来、自動車の「電気化」の最も現実的な解としてハイブリッド車を推進。すでに全世界で200万台以上を販売してきました。今後、年間販売100万台を目指すとともに、ハイブリッド技術を活用し、さらに将来を見据えて、プラグインハイブリッド車、電気自動車の開発・普及にも積極的に取り組みます。
サステイナブル・モビリティの課題と燃料多様化への対応
■環境・エネルギー問題への対応シナリオ
環境・エネルギー問題への対応シナリオ
■次世代モビリティのゾーンイメージの図
次世代モビリティのゾーンイメージの図
21世紀に入り、自動車の普及が始まってから約100年が経ちました。自動車は先進国においてはなくてはならないものになり、新興国においてもこれから経済発展とともにますます重要性を増すと考えられます。そうした中、自動車が地球環境、社会と共生できるモビリティ社会「サステイナブル・モビリティ」の実現に向け、トヨタは研究開発を最重要点項目として取り組みを進めています。
自動車の環境対応には、大きく3つの課題があります。 1)温暖化防止に向けたCO2削減  2)エネルギー多様化への対応 3)大気汚染防止 がその課題です。
このうち燃料の多様化に関して、当面は石油が主流であると考えられます。そのため、ガソリン車・ディーゼル車については、車両の小型化・軽量化、エンジン・トランスミッションの改良、ハイブリッド化の推進等による燃費向上に力を入れ、課題への対応を推進しています。
また、当面は主流の化石燃料も、生産がピークを向かえ減少に転ずるオイルピークが確実に訪れます。そうしたことから、燃費を向上させるなど今ある石油を大切に使うことと並行して、新しい燃料への対応も進める必要があります。代替燃料には、バイオ燃料、天然ガス、電気、水素など様々な候補が挙がっています。各種代替燃料の採用については、採掘から消費まで(Well-to-Wheel)におけるCO2削減、自動車での使いやすさ、各国・地域のエネルギー事情等を考慮して総合的に判断する必要があります。
数ある代替燃料の中で、電気は将来的に有力なエネルギーの一つです。電気は様々な一次エネルギーからつくることができ、太陽光や水力など再生可能でCO2排出量が少ないエネルギーの利用が可能で、自動車への供給も容易です。しかし、実用化にはまだ課題も多く、電池研究部を新設するなど課題克服に向けた研究開発に取り組んでいます。
ハイブリッド車には、各種代替燃料車に必要な技術が含まれています。たとえば、充電機能を加えればプラグインハイブリッドに、エンジンをなくせば電気自動車に、燃料電池に置き換えれば燃料電池ハイブリッドとして利用できます。そのためトヨタでは、ハイブリッドシステムを「21世紀の環境コア技術」と位置づけ、サステイナブル・モビリティの技術開発に取り組んでいます。
ハイブリッド車の拡充とプラグインハイブリッド車の導入、電気自動車の開発
このようにサステイナブル・モビリティの開発に関しては、様々な可能性があると同時に、また克服しなければならない課題もあります。こうした現状を踏まえ、エコカーの開発には将来を見通した開発の推進と並行して、その時点でベストと思われる技術を発展・拡充していく必要があります。その中心となるのがハイブリッドシステムを採用したハイブリッド車であり、より電気自動車に近いプラグインハイブリッド車です。トヨタでは1997年に世界で初めて量産ハイブリッド車プリウスを市場に投入し、以後ハイブリッド車の拡充、ラインアップの充実に努めてきました。その結果、2010年4月末時点でハイブリッド車の世界累計販売台数は乗用車12車種で250万台に達しました。また、現状モデルラインナップは商用車3車種含め15車種です。今後は、2010年代の早い時期にハイブリッド車の年間販売数100万台、という目標を掲げています。そのため、海外の生産拠点も増やし、アメリカ・中国・タイ・オーストラリア・イギリスで生産します。一方、家庭で充電でき近距離は電気自動車として利用できるプラグインハイブリッド車は、2009年末より日本、米国、欧州にて計約600台のリース販売を開始しました。このようなプラグインハイブリッド車の導入を通じ、性能に関してお客様からの情報を集め、商品性の向上を図っていきます。また燃料電池自動車は2015年頃から市場導入を進めていきますが、インフラの整備等の課題解決に向け行政等と連携して取り組みます。こうしたハイブリッド車、プラグインハイブリッド車の普及はサステイナブル・モビリティ拡大への確実なステップになると考えています。また、2010年5月には、米電気自動車ベンチャーのテスラ・モーターズと提携し、電気自動車を共同開発することを発表しました。

サステイナブル・モビリティに向けた、社会基盤整備と実証実験
将来にわたって持続可能なサステイナブル・モビリティを実現するには、車両技術の研究開発だけでは不十分です。たとえば電気自動車のための充電スタンドの拡充、公共交通の高度化を含めた交通システムの変革など、社会的な受け入れ態勢整備も不可欠です。トヨタは、サステイナブル・モビリティの社会的基盤づくりに向け、国内外で実証実験や取り組みを進めています。2010年4月より豊田市で「『家庭・コミュニティ形』低炭素都市構築実証プロジェクト」を開始しました。このプロジェクトでは地方都市型の低炭素社会システム構築を目標に、自動車からのCO2低減、車の蓄電池の有効活用、公共交通を含めた次世代自動車の導入と利用促進などの実証実験を行います。また、電気自動車の普及に不可欠な急速充電器設置の拡大、充電方式の標準化を目的に、2010年3月には関係各社とともに、CHAdeMO(チャデモ)*協議会を設立。海外においては、フランスストラスブール市にプラグインハイブリッド車約100台が投入されるのを機に、フランス電力会社(EDF)とともに大規模実験を開始しました。EDFは市内に約150基の充電スタンドを設置し、車両の研究開発とともに充電インフラの検証を行い、プラグインハイブリッド車の将来の普及に備えます。車両の研究開発に加え、こうした社会的実証実験や基盤づくりを通して、トヨタはサステイナブル・モビリティをできるだけ早く実現させたいと考えています。

*CHAdeMO:協議会が標準化を進めている急速充電器の商標名
ハイブリッド車の販売台数については本誌p.24とp.27を参照ください(PDFファイル)
PHVの導入状況については本誌p.27を参照ください(PDFファイル)
ハイブリッド車の現地生産等については本誌p.27を参照ください(PDFファイル)


コラム 低炭素・次世代型観光モデルの実現を目指し、プラグインハイブリッド車を観光タクシーとして導入
“世界文化遺産”上賀茂神社で充電中のプラグインハイブリッド車
“世界文化遺産”上賀茂神社で充電中の
プラグインハイブリッド車
国内外からの観光客が多い京都で、創業93年を迎える彌榮自動車株式会社(ヤサカタクシー)は、1998年に初代プリウスを世界で初めてタクシーに採用しました。連日数百キロを走行するタクシーにとって、ハイブリッド車の燃費のよさは環境負荷低減と燃料コスト削減につながるとともに、環境対応車だからと選んでいただけるお客様も増えています。ヤサカタクシーは現在約1,400台の営業車両を保有し、うち10台のプリウスを保有しています。さらに2009年12月のプラグインハイブリッド車市場投入を機に、5台を導入。電気モーターの静粛性など次世代自動車の特性をお客様に実感いただいています。
主要な観光エリアが半径約20km圏内に集中する京都は、プラグインハイブリッド車の走行に適した条件を備え、寺社などにも充電器の設置が進んでいるため、観光途中に充電が可能です。4月からは上賀茂神社をはじめ世界文化遺産をプラグインハイブリッド車で巡る「京のECO旅」がスタートしました。ヤサカタクシーは、エコツーリズムを担う観光タクシー・ハイヤーとして、企業活動を通じて地域社会と環境負荷低減に貢献しています。


PHVの詳細はホームページを参照ください
PHV(プラグインハイブリッド車)
関連リンク
PHV(プラグインハイブリッド車)とは
ニュースリリース:テスラとトヨタ、電気自動車開発で提携 (2010/05/21) 記者会見動画
ニュースリリース:トヨタ自動車、ハイブリッド車の国内累計販売台数が100万台を突破(2010/08/05)
Why Hybrid?〜これからクルマはどんなエネルギーで動く?
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