TOYOTA
CSRの取り組み


Sustainability Report 2010
スペシャルストーリー エティオスを通じてインドの経済、社会の発展に貢献 -クルマづくりを通じた社会への貢献-

クルマづくりを通じた社会への貢献「エティオス」
クルマづくりを通じて社会に貢献することはトヨタの原点です。自動車により、移動の自由を人々が享受できるのみならず、産業育成や人材育成により、各国/各地域の社会、経済の発展にも自動車は大きなインパクトを与えます。今後、インド、中国をはじめとする新興国で、環境、安全、信頼性等に配慮したサステイナブルなクルマを、リーズナブルな価格で提供することがトヨタの使命です。今回インドで発表したエティオスは、この使命を担っており、さらにはエティオスにより、サプライヤー、ディーラー、従業員の育成を推進。インドの社会、経済の発展にも貢献します。
クルマづくりを通じて社会に貢献
デリーオートエキスポで発表されたエティオス
デリーオートエキスポで発表されたエティオス
トヨタの原点は、「社会のためになるものを作って世の中に貢献したい」という思いでした。そして、モータリゼーションの将来性、社会での必要性を感じ、自動車製造事業に参入。以来、トヨタのクルマづくりの原点はしっかりと息づいています。
日本においてモータリゼーションは大いに発展し、「好きな時に、好きな場所に、自由に快適に移動する」という自動車の利便性を、多くの人が享受できるようになりました。
一方、交通事故の増加や環境負荷の増大など、モータリゼーションに伴う負の側面が拡大したことは否めません。この過程で人々の環境意識が高まり、サステイナブル(持続可能)なモビリティが注目されるようになりました。
「モノづくり、クルマづくりを通じて社会への貢献」を考える時、トヨタは「安全・環境・信頼性・快適性」を踏まえて、サステイナブルなクルマづくりを追求します。この観点から、現在の最大の課題は、新興国で広がるモータリゼーションへの対応です。たとえば新興国の代表的な国の一つであるインドも、ここ数年で急激な経済発展を遂げています。特に著しいのが中間所得層の増加で、2005年度には全世帯の約8%だった年収20万〜100万ルピー(40万〜200万円)の家庭が、2009年度は約13%に増加しています。世帯年収が5,000ドル前後に達するとモータリゼーションが加速するという従来からの学説がありますから2010年度の自動車販売数は、5年前の1.7倍の270万台に達すると見られています。このように大きく発展する新興国の市場で、クルマづくりを通じて社会に貢献することがトヨタの原点であり、使命と考えます。
新興国向けのサステイナブルなクルマづくりへの挑戦
■インド市場セグメント別シェア推移
インド市場セグメント別シェア推移
2010年1月、インドのニューデリーで開幕した自動車ショー「デリーオートエキスポ」で、トヨタは新しいコンセプトカー「エティオス」を世界に先駆けて公開しました。
近年、自動車新興国を中心に急成長しているBセグメント市場*は、インドでも急速に拡大しており、お客様にとって手が届きやすく、利便性の高いクルマの需要が高まっています。開発当時、インドの実情を見極めるため、エティオスのチーフエンジニア則武義典はインドを訪問。酷暑期には50度近い熱波に襲われる地域や、冬は氷点下になる地域など多様な気候の中、狭い道幅と慢性的な渋滞、荒れた路面、そして保管スペースさえ限られているインドの実情に直面し、Bセグメント・カーの重要性を理解するとともに、この環境に不可欠な基本性能を見極めました。目的達成の鍵となったのは「基本に忠実な素性のよい設計」。その設計を実践するため、トヨタのQDR(Quality , Durability , Reliability)を継承・深化させるとともに、広く市場で受け入れられる価格で提供することにこだわりました。
新型エンジンは「素性のよさ、シンプルな構造」をキーワードに、設計段階から現地調達が可能な素材や、現地生産技術に対応した構造・工法とすることで、信頼性、優れたメンテナンス性、ランニングコストの低減を図りました。シンプルな構造により、エンジン本体が軽量化され、車両重量も低減し、その結果、優れた燃費性能を実現。併せてEURO4の排気ガス浄化性能も達成するとともに、現地工場のエコファクトリー化(本誌p.46参照)に加え、梱包の工夫等の運送効率向上により、排気ガスを削減、物流段階においても環境負荷低減に寄与しています。多人数での移動が多いインドの使用状況を踏まえ、天井やドアトリムなどキャビンの内部形状を工夫したり、サスペンションを外側配置にしたりした高効率パッケージで広い室内空間と荷室を確保。さらに安心感を徹底し、競合を凌ぐアクティブ、パッシブの両面から安全性を追求しました。こうして誕生したエティオスは、お客様が必要とする性能・装備を研ぎ澄ますことで無駄・過剰な装備を排除し、コストと性能・品質のバランスを究めたものになりました。
*セグメントとは主に欧州でマーケティング手法として統計調査に使用される自動車の分類で、エティオスが所属するBセグメントは「スーパーコンパクト」を意味します。
エティオスの普及で、新興国の経済・社会の発展に貢献
エティオスの部品検討するTKMスタッフ
エティオスの部品検討するTKMスタッフ
自動車産業は非常に裾野の広い産業です。サプライヤー、TKM(Toyota Kirloskar Motor)従業員、ディーラー、物流会社などその製造・販売には多くの人がかかわり、社会・経済に大きな影響を与えます。また、それだからこそ「モノづくり、クルマづくりを通しての社会への貢献」が可能になります。「エティオス」のインド発売に伴い、現地でのサプライヤーの確保、ディーラーの拡充、サービス網の整備を行いました。
サプライヤーに関しては、新規サプライヤーを含め、エティオスのサプライヤー82社を品質納期、価格等を基準に選定。仕入先の生準活動についても綿密なサポート・フォローを実施しています。
またそのうち約20社にはバンガロール周辺に進出していただくことになっています。現在、サプライヤーとトヨタが一丸となって、立ち上げに向けて準備中です。TKM従業員に関しては、「エティオス」の生産と軌を一つにして「トヨタ工業技術学校」が初の卒業生を輩出。また「エティオス」生産に伴い第2工場を新設、2,000人を新規雇用します。加えて開発に当たっては、スタート時から現地最適車両企画、設計評価を実施しました。ディーラーに関しては、従来69都市に100拠点を展開していましたが、2010年末までに約150ディーラーまで拡大する予定です。その選定の基準は、経営基盤の健全性とお客様第一であり、3S(Sales、Service、Spare parts)店を基本とし、ディーラーはTKMと手を携えてお客様満足の向上を図ります。
また、2010年7月にはインドのユニット生産会社であるTKAP(Toyota Kirloskar Auto Parts)において、エティオスのエンジンとトランスミッションを生産することを発表しました。2012年秋よりエンジンを年間約10万基、2013年年初よりトランスミッションを年間約24万基生産します。投資額は、約90億円を見込んでおり、新規雇用は約500名程度を予定しています。これにより、基幹部品についてもインドを重要な生産拠点と位置づけていきます。
社会・経済への貢献には、単に雇用が増え経済活動が活発になるだけでなく、このような「人づくり」「基盤づくり」を通じた貢献も含まれています。インドで発表された「エティオス」は、今後、インドのみならずブラジル等新興各国でも生産・販売を開始していきます。エティオスが受け入れられ、広がっていくことで、より多くの地域での社会貢献ができると考えています。


コラム 「トヨタ工業技術学校」7月に初の卒業生
トヨタ工業技術学校初の卒業生
トヨタ工業技術学校初の卒業生
TKMが南インドデカン高原のバンガロール市にインド版「トヨタ学園」、「トヨタ工業技術学校」を設立したのは2007年のことでした。「クルマづくりは人づくり」のコンセプトのもと、現地での生産・品質向上を支える優秀な人材の育成、また経済的事情で進学できない人材に教育の機会を提供することが目的でした。同校は3年・全寮制で授業料・生活費は補助、州内地方の中学校卒業生に広く門戸を開放し、毎年10倍以上(2010年度実績15倍)の倍率から選抜された生徒が、専門技術に加え溶接、塗装、組立、保全、メカトロニクスの専門技能を習得してきました。また、知識や技能だけでなく、トヨタウェイをはじめとするトヨタの仕事の進め方も講義に組み入れ、TKMでの技能実習も行っています。
そして2010年7月、「トヨタ工業技術学校」は初の卒業生63名を社会に送り出しました。卒業生の一人は「進学の機会がなかった自分にとって、この学校で学べたことは本当に大きな意味を持っています。ここで、クルマづくりについていろいろなことが学べたのはもちろん、同じ志を持った多くの仲間と出会い、人間的にも大きく成長することができました」と話します。
関連リンク
2010年デリーオートエキスポ トヨタブース公式ホームページ
ニュースリリース:トヨタ自動車 インドで「トヨタ工業技術学校」の卒業式を実施(2010/07/30)
モノづくりのグローバル化と現地化
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