I環境マネジメント I 開発・設計 I 調達・生産 I 物流 I
I リサイクル I 海外での取り組み I 新交通システム I
I 自動車以外の事業 I コミュニケーション・社会貢献活動 I

  

総合的な取り組み、未然防止の徹底、社会への貢献

  トヨタは環境保全を経営の最重要課題のひとつと位置づけ、環境目標の設定、達成計画の策定、実施・評価を継続的に行っています。社長を委員長とする「トヨタ環境委員会」が'92年に発足し、それまで製品・生産・リサイクルの各分野で個別に対応してきた環境に関わるさまざまな課題に対して、全社的かつ体系的に取り組む体制を整えました。

トヨタ基本理念と環境方針
 トヨタは基本理念のひとつとして、「クリーンで安全な商品の提供を使命とし、あらゆる企業活動を通じて、住みよい地球と豊かな社会づくりに取り組む」という項目を掲げています。この観点から'92年に「トヨタ地球環境憲章」を制定し、3つの基本方針「1. 総合的な取り組み 2.未然防止の徹底 3.社会への貢献」を打ち出しています。
 さらに、これらの方針を具体的な企業活動に反映させる「トヨタ環境取り組みプラン」を策定・推進しています。

組織・体制と責任
 「トヨタ環境委員会」の下部組織として、製品環境・生産環境・リサイクルの各委員会を置き、それぞれテーマ別に小委員会・分科会・ワーキンググループを設置して、責任と役割を明確にしたうえで、専門分野および実務での対策に取り組んでいます。
 '98年1月には、活動を促進させる専任組織として社長直轄の「環境部」を設置しました。環境部では、さまざまな取り組みにおける全社的な方向づけを行うとともに、各委員会などの事務局を担当して部門横断的な課題の調整を行う業務などを担っています。

事業活動が環境に及ぼす影響の把握と対応
 自動車はその開発・設計、調達・生産、使用、リサイクルなどの各段階で、種々の環境への影響が発生します。このなかで、たとえばCO2排出量などの環境負荷が最も大きいのは、自動車が製品として機能している期間(使用段階)で、その生涯排出量の約80%以上を占めます。このためトヨタは、燃費向上、排出ガス低減に最大級の努力を傾注しています。 
 生産段階では、エネルギー消費が少なく、排出物を極力出さない生産活動をめざしています。また、設計を含むクルマのライフサイクルの各段階でリサイクル性の向上を促進し、廃棄物低減を図っています。
 このほか、トヨタが直接関わることのできない資源や素材、物流段階での影響も含めたトータルな環境負荷を把握し低減を推進するため、'97年6月に「*LCA社内検討会」を発足させました。2000年度には環境負荷抑制の設計評価手法として活用するため、開発体制を強化し、いっそうの低減を図っていく予定です。

*LCA(Life Cycle Assessment)
原材料採取から廃棄まで、製品のライフサイクルを通した環境影響の分析と評価。

環境監査
 環境マネジメントシステムで決められた方針・目的・目標などが確実に実施されるように、ISO14001の規格に沿って、毎年、技術部門と各工場・事業所で「内部監査」を行い、結果を経営陣に報告し、システムの見直しを図っています。
 同時に、ISO14001の認証取得を積極的に推進し、'97年度には元町・田原工場が取得し、国内すべての車両組立工場で認証取得を完了しました。また、国内自動車メーカーでは初めて、開発・設計部門での認証も取得しました。認証を取得した開発・設計部門と4つの車両組立工場(高岡・堤・元町・田原)では、外部審査機関による環境マネジメントシステムとその運用の審査が定期的に行われます。
 今後は、'99年度末までに国内全工場と海外主要工場で認証を取得する計画です。

環境関連事故など
 環境関連事故では、工場からの油流出事故が1件発生しましたが、所轄官庁に報告するとともに、適切な対応をとり、徹底した再発防止を図りました。また、環境保全に関する社外からの苦情はありませんでした。
 環境関連の訴訟は、自動車排出ガス中の健康影響に関する訴訟が1件あり、現在、審理継続中です。
 環境面(排出ガスなどの)での*製品リコールはありませんでした。

* 製品リコール
自動車の欠陥が、設計や生産過程の過失による場合、生産者が公表して、無料回収・修理することを運輸省が義務付けた制度。

教育・訓練・啓発
 環境対策を推進する原動力は、経営者および従業員一人ひとりの意識と行動です。その徹底を図るため、新入社員から管理職・経営者にいたるまで、環境に関する教育・啓発を行っています。 たとえば工場では、工場長が環境への取り組み方針を示した「環境方針カード」を全員が常時携行し、技術部門では高い目標を達成するための専門的な環境教育を実施しています。
 また、'72年から毎年6月を「トヨタ環境月間」として、環境技術展示会・各種見学会・講演会などを行ってきました。'91年からは、これを「地球環境月間」と改称し、全国のトヨタ系販売店を含め、すぐれた実績をあげたグループの表彰など、さらに活動を拡大してきました。
 '97年度の環境月間では、学識経験者の講演会や各種見学会を実施しました。
 さらに活動を強化し、社内の行動だけでなく一人の消費者・生活者としての意識高揚のための啓発紙の配布も行いました。

環境コストの把握と管理
 環境保全のための日常的な対策や研究開発および投資、リサイクル活動など、環境に関わる費用対効果、あるいは金額・収支の把握は、経営的にもたいへん重要な意味を持っています。
 しかし、現状では設備投資や研究開発費のなかで、環境に関わる部分をすべて明確に区分することは困難です。この分野での会計基準は国際的に定まっておらず、いわゆる「環境会計」として研究が進められている段階です。
 こうしたなかで本報告書では、把握可能な「環境対応を主目的に支出された費用および通常の研究開発費や設備投資などの中で、一定の基準で環境対応分と判定できるもののみ」を環境コストとして集計しました。'97年度におけるその総額は一部推計を含めて約900億円で、当社売上げの約1%程度にあたります。
 今後、トヨタは環境コストを、より特定できる範囲を広げ、開示するように努めます。
 

クルマの一生をエコロジーの輪の中へ

クルマをどのようにつくるべきか
 製品開発におけるトヨタの基本的な考え方は、「1.地球環境、地域環境および廃棄物に対する発生源対策を重要課題と位置づけた製品開発に積極的・継続的に取り組む 2.環境法規制を遵守するとともに自主基準を定め、汚染防止に努める 3.環境監査を実施し、自主管理の徹底と継続的向上に努める」ことです。これらの推進により、問題の発生を未然に防止することを主眼としています。
 具体的な取り組みは次の6項目です。(1)燃費の向上(2)排出ガスの低減(3)車外騒音の低減(4)エアコンの省冷媒化(5)環境負荷物質の低減(6)リサイクル性の向上。これらの各項目で具体的な目標を掲げ、製品の環境マネジメントシステムを構築しました。
その結果、1998年3月、自動車メーカーとしては国内で初めて「自動車の開発・設計部門におけるISO14001」を認証取得しました。なお、「ハリアー」('97年12月発売)は、このシステムが全面的に適用された最初の製品です。
 このほか、クリーンエネルギー車についても、多面的なアプローチで開発・普及に取り組んでいます。

(1) 燃費向上
 自動車のCO2排出量を低減するには、エンジンの燃費を改善することが最も効果的です。トヨタは、「2000年度の*等価慣性重量別ガソリン乗用車の区分平均燃費をそれぞれ区分1(875kg):18.2km/l 、区分2(1,000〜1,500kg):13.0km/l 、 区分3(1,750kg〜):9.1km/l を達成する」という政府の目標値を勘案した自主目標を掲げて、1.エンジンの効率改善および動力伝達装置の改善 2.走行抵抗の低減 3.軽量化に取り組んでいます。
 '97年度には、ガソリンエンジン車に、運転状況に応じてエンジンバルブの開閉を最適制御する連続可変バルブタイミング機構(VVT-i)、オートマチック車の動力伝達を大幅に改善するフレックスロックアップ機構を新型車・フルモデルチェンジ車に展開しました。また、「カルディナ」「ハリアー」に*新型オートマチック・トランスミッションを採用しました。
 さらに、'97年12月には、ガソリンエンジンと電気モーターを併用させたトヨタハイブリッドシステム搭載の「プリウス」を発売しました。これにより、CO2排出量を同クラス(1.5L)のガソリン車に比べて半減、CO、HC、NOxを規制値の約1/10に低減し、2000年に予定されている新規制をクリアするレベルを実現しました。

* 等価慣性重量
排出ガスおよび燃料の試験を台上で行う時の基準重量。
* 新型オートマチック・トランスミッション
前輪駆動(FF)車用に開発された軽量・小型の4速用オートマチック・トランスミッション。

(2) 排出ガスの低減
 自動車のライフサイクルを考えた時、排出ガスは当初のレベルだけでなく、触媒などが劣化する一定の走行距離時点(耐久後)でも浄化レベルが低下しないことが重要です。トヨタは、この考えのもとに耐久性を考慮した自主基準値を設定して製品開発を進めています。
 ガソリンエンジン車については、2000年10月からの*乗用車新排出ガス規制に先行して、'97年12月にCO、HC、NOxを同時に浄化する従来の三元触媒をさらに精密に機能させる「新排出ガス低減システム」を搭載した「ハリアー」を発売しました。
 また、ディーゼルエンジン車についても、「*EGR(排気再循環装置)」、「ディーゼル用酸化触媒」などを採用し、「ハイエースレジアスバン」「イプサム」をはじめ6車種10型式の車両を平成9年('97年)・10年('98年)規制対応車として、いち早く市場に導入しました。

* 乗用車新排出ガス規制
日本で2000年(平成12年)から実施される新規制。
* EGR(排気再循環装置)
排気の一部を吸気系に戻し、混合気が燃焼する時の最高温度を低くしてNOxの生成量を抑える装置。

(3)車外騒音の低減
 自動車の騒音は、エンジン、冷却ファン、吸気系、排気系、タイヤなどから発生しますが、トヨタでは30年前からこれらの低減に取り組み、当時に比べて75〜80%の騒音エネルギーを低減しました。現在では加速走行が76dB(デシベル)以下に設定される新規制('98年以降順次実施)に対して確実に適合できるように自主目標を設定して開発を進め、'97年は10車種がその目標を達成しました。

(4) エアコンの省冷媒化
 カーエアコンの冷媒に使われていた特定フロン(CFC12)は、オゾン層破壊物質であったため、'93年末までに全車種で代替フロンHFC134aに変更しました。しかし、HFC134aは、オゾン層を破壊しないもののCO2の1300倍の地球温暖化効果を持っていることが新たに指摘されました。そのため、トヨタではHFC134aの省冷媒化の自主基準を定め、「2000年までに量産化する新型車・フルモデルチェンジ車で実現する」という目標を設定しました。そして、機器の改良によって、'97年度は5車種でこれを達成し、冷媒量を平均20%削減しました。
 今後は、さらに適用車種を拡大するとともに、より環境負荷の少ない冷媒に対応するエアコンの研究を進めます。

(5) 環境負荷物質の低減
 自動車は多くの物質から構成され、その中で環境に負荷を与える恐れのある物質について、開発段階で管理するとともに使用量の削減に努めています。具体的には、鉛使用量の低減やエアバッグのガス発生剤として使用していたアジ化ナトリウムの全廃など、特に自動車の廃棄段階に配慮した開発を進めています。

(6)リサイクル性の向上
 樹脂部品などのリサイクル技術や車両解体性の評価・研究をもとに作成した車両リサイクル設計ガイドラインを活用して、開発・設計段階から使用済み自動車のリサイクル性を考慮した事前評価システムを再構築しました。これを'98年3月、ISO14001認証取得とともにスタートしています。

■クリーンエネルギー車への多様なアプローチ
 究極のエコカーをめざす道は、決してひとつではなく、いろいろなタイプのクルマが競い合うことが重要と考えています。
 トヨタは、電気自動車(EV)分野では、1回の充電で200km以上の走行を可能とした「RAV4 L EV」3ドア車を'96年9月に発売し、'97年10月には5ドア車を発売しました。また、'97年10月には、都市型コミューターとして、2人乗りEVである「e・com(イ-・コム)」を東京モーターショーに出品するなどEVのいっそうの実用化に向けた検討を行っています。
 燃料電池電気自動車(FCEV)では、排出ガスをいっさい出さない水素を直接燃料とする水素吸蔵合金方式(ガソリン換算燃費で34km/l)を'96年に試作し、それに続いて、'97年10月には、メタノールを燃料に車両内で水素をつくる方式の試作車を発表しました。
 このほか、熱効率が高く、CO2排出の低減が期待できる天然ガス(CNG)車については、これまで「タウンエース」「カローラ」の商用車、「クラウン」「ダイナ」をベースにしたCNG車を販売してきました。
 これらクリーンエネルギー車の普及には、車両コストや航続距離などの技術的課題、燃料供給体制の整備などの課題がありますが、着実に改善が進展しています。
 

環境と共生できるクルマづくり

生産における5つの観点
 トヨタは、製品の高度化に対応しながら、より環境への影響が少ないクルマづくりに努め、トヨタ環境取り組みプランの目標達成に向け、以下の5つの観点から活動を行っています。
(1)未然防止の徹底
(2)少エネ・省エネによる地球温暖化防止
(3)法規制および社内基準の遵守
(4)5R活動による廃棄物の低減
(5)仕入先との連携

(1) 未然防止の徹底
 トヨタでは1984年に「環境保全事前検討制度」を設け、新たに原材料・副資材を導入したり、施設を新設・増設する場合、事前に環境への影響を評価し、適切な対策を講じてきました。'97年度は、この制度に基づき、364件の事前検討を行いました。
 現在法制化が検討されている*PRTRに先がけ、'94年度よりこの制度を改定し、どのような化学物質が、どこで、どれだけ使用されているかを把握するシステムを整備しました。また、大学との共同研究により、化学物質の環境影響評価の手法を確立し、トヨタからの排出による影響を評価しています。
 '89年度には*トリクロロエチレンを全廃したのをはじめ、特定フロン、*1.1.1.-トリクロロエタンを、さらに'97年3月には、*ジクロロメタンを全廃しました。また、ボデー塗装工程からの*VOC、鋳造工程から発生するホルムアルデヒドの削減シナリオを策定し、低減を図っています。
 その他の物質についても環境影響評価に基づき、削減シナリオを策定・低減し、環境負荷物質による大気・水質および土壌の汚染防止に努力しています。

* PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)
環境汚染物質排出・移動登録。
* トリクロロエチレン
部品洗浄などに使われてきた有機溶剤。
* 1.1.1.-トリクロロエタン
バンパーや部品洗浄に使われてきた有機溶 剤。特定フロンと同様にオゾン層破壊の要因となる。
* ジクロロメタン
塗装治具の洗浄などに使われていた有機溶剤。
* VOC(Volatile Organic Compounds)
揮発性有機化合物・有機溶剤の総称。

(2) 少エネ・省エネによる地球温暖化防止
 トヨタは「2000年度末までにCO2総排出量と原単位(売上高あたりのCO2排出量)を'90年レベルに安定化」するとの目標を設定しています。そして、その達成に向けて、必要な時、必要な所で、必要なだけエネルギーを使う「少エネ」と、生産に必要なエネルギーを効率的に低減する「省エネ」の二つの考え方で取り組んでいます。
 '97年度は、原油換算で5万7,000klのエネルギー低減対策を実施し、 '90年比エネルギー総使用量は101%、売上高あたりの使用量は97%となりました。
 車両の高機能化が生産エネルギーの増加要因となっているため、今後さらに新技術の導入や設備・工程の集約により、いっそうのエネルギー低減を図っていきます。

(3) 法規制および社内基準の遵守
 トヨタでは、法規制とこれを上まわる自治体との協定基準を遵守し、実測結果を定期的に自治体・公的機関に報告しています。
 酸性雨や大気汚染の原因となるNOx(窒素酸化物)・SOx (硫黄酸化物)・ばいじんについては、良質な燃料や燃焼方法の改善などの発生源対策と、集じん装置などの後処理対策により低減を行っています。
 排水管理は、各工場の特性に応じて、油分離・凝集・沈殿・加圧浮上・生物処理・ろ過(一部では活性炭吸着を加えた高度処理)を組み合わせた排水処理を実施しています。さらに、冷却水の循環再利用、塗装洗浄水の多段使用などで98%の水を回収しています。
 *廃棄物については、'92年から特別管理産業廃棄物だけでなく、すべての廃棄物に対して独自の廃棄物マニフェスト(管理票)を導入し、廃棄物が発生した工程、種類、量、処理・処分方法を把握し、適正な廃棄物管理を行っています。

* 廃棄物
焼却などの中間処理と埋立処分を合計した
処理処分量。

(4) 5R活動による廃棄物の低減
 各工場では、'73年から廃棄物の低減運動を開始し、'90年以降は「5R活動」として取り組みを強化しました。'95年には「2000年度末までに廃棄物発生量を'90年レベルの75%低減、台あたりの廃材を30%低減」という目標を掲げて活動しています。
 5R活動では、まず開発・設計・生産段階で、材料や生産技術の変更によって、Refine(質変換)・Reduce(低減)を図り、やむなく発生した廃棄物はReuse(同一工程内で再使用)・Recycle(別用途で再利用)により再資源化します。
 それでも有効利用できない場合は、元町工場に隣接する「トヨタ環境センター」で焼却によるスチーム回収と発電を行い、Retrieve Energy(エネルギー利用)としてエネルギーを元町工場に供給しています。
 これらの結果、'97年度には廃棄物発生量5万4,000t('90年レベル比62%減)、廃材発生量27.8kg/台('90年レベル比13%減)となりました。

(5) 仕入先との連携
 関連仕入先を含めたトヨタグループの環境対策を充実するため、全豊田環境保全研究会、全豊田生産技術連絡会、仕入先環境連絡会において、廃棄物問題、エネルギー低減、環境マネジメント・監査などを重要課題として、活動を組織的に推進しています。
 とくに、仕入先環境連絡会では、参加会社の廃棄物発生量を「'97年度までに'92年度比50%低減」という目標に'92年度から積極的に活動した結果、'97年度には51%の廃棄物低減を達成しました。
 

エネルギー効率化・省資源を推進

 トヨタの物流システムには、たとえ遠隔地の工場であっても、後工程でムリが発生しないよう万全の準備を整える「トヨタ生産方式」の考え方が貫かれています。そのために、物の流れと情報をコントロールする物流拠点の整備、綿密な運行ダイヤによる整然としたスケジュール、トラック・船舶・鉄道を組み合わせた複合輸送、他社との完成車共同輸送などを推進しています。
 たとえば、名古屋・博多間の部品輸送を海陸複合で行うことにより、陸上輸送で行った場合に比べてNOxの排出を21%低減しました。また、帰り便についても、回収バンパーなどの部品や完成車の積載による双方向物流に努めています。
 一方、梱包・包装材の節減については、「2000年までに'95年レベルの15%低減」を目標に、出荷容器のリターナブル化や物流容器の規格サイズ化・反復使用などを推進し、'97年度は目標1,900tを大幅に上まわる4,200tの削減を達成しました。
 

すべてのライフステージで推進

自主行動計画を策定して推進
 トヨタは、資源の有効活用の観点から、自動車のライフサイクルである開発・生産・使用・廃棄のすべての段階でリサイクルを考慮したクルマづくりを積極的に推進しています。

(1) リサイクル・環境負荷に配慮した車両開発
 トヨタは、リサイクル性に優れた樹脂材料TSOPを独自に開発し、全樹脂の25%まで使用を拡大しました。また、解体性や分別性の向上のために部品の一体化、独自の締結構造、材質マーキングなどを推進しています。さらに、廃棄時の環境負荷低減にも配慮した車両開発を行っています。
 一方、リサイクル可能率については社内基準を設け、2000年以降の可能率90%達成を掲げて開発を進めてきました。しかし、リサイクル可能率は、国際的に統一した定義がなく、各国インフラ整備の状況などにより大きく変化します。そのため、トヨタでは、新たなリサイクル基準を検討しています。

(2) 生産段階でのリサイクル技術の開発
 生産工程で発生する廃材を再資源化する技術の開発に取り組み、開発した技術は販売店などでのリサイクルにも応用しています。
 '97年度は、ウレタン樹脂バンパーのリサイクル技術の適用拡大やゴムの特性を損なうことなく、またゴムに再生する技術を開発し、同種部品へのリサイクルを実現しました。

(3) 販売会社のリサイクル活動を積極的に支援
 販売店で修理交換されたバンパーの回収に'91年から取り組み、'97年度には約36万本を回収し、新車バンパーをはじめ多くの自動車部品に再利用しました。
 市場に出回っているエアコン冷媒用CFC12は、従来の回収・再利用から回収・破壊に切り替え、(社)日本自動車工業会(自工会)を中心にシステム構築を進め、'98年1月に首都圏でスタートしました。代替フロンHFC134aについても、同時期に回収・再利用を開始しています。
 ガス発生剤としてアジ化ナトリウムを使用していたエアバッグは、自工会を中心に処理システムの構築を進めています。エンジン冷却液*LLCの処理については、'98年1月に濃縮分離装置を各販売店に1基ずつ無償配置しています。

*LLC(Long Life Coolant)
長期間使用可能な冷却液のことで、不凍液、防錆剤、酸化防止剤などが添加してある。

(4) 使用済み自動車のリサイクル技術の開発
 トヨタは、'70年に豊田通商(株)などと共同で、シュレッダー会社「豊田メタル(株)」を設立、車両重量の約75%を占める鉄およびアルミなど非鉄金属の効率的な回収技術の開発に取り組んできました。
 また、シュレッダーダスト(有用金属を回収した後の破砕くず)の活用化にも取り組み、銅やガラスの回収・リサイクル技術、発泡ウレタン・繊維類を分別して自動車用防音材に活用する技術、さらに残ったダストは溶融固化して体積を約1/5に低減する技術などを開発しました。
 '97年度は、この成果として銅14t、ガラス37tを再利用し、防音材はプリウスなど4車種に採用しました。また、開発した技術は試験プラントで2年半の実証を経て、'98年8月から実用化プラントへと移行します。これにより通産省が提唱している「2015年にシュレッダーダストの埋立容積を1/5に低減する」という目標をいち早く達成します。
 また、ハイブリッド車「プリウス」に使われているニッケル水素バッテリーユニットのリサイクルシステムの構築を'98年に確立しました。
 

ガイドラインを設定し海外事業体を支援

 トヨタは、これまでの経験と技術を積極的に海外事業体へ展開し、グローバルな環境改善活動に取り組んでいます。
 '97年度には環境取り組みプランの地域別ガイドラインを策定し、各事業体の自主的な取り組みを促進しています。さらに、国内および現地での教育研修を通じて、蓄積した環境マネジメントのノウハウ・環境技術の移転・相互交流を行っています。
 また、'96年からISO14001に対応した内部監査を海外事業体にも順次展開、すでにTMUK(英国)、TMT(タイ、ゲートウェイ工場)、TMCA(オーストラリア、アルトナ工場)、CAPTIN(カナダ)の4事業体で外部認証を取得しています。今後も海外事業体を積極的に支援し、'99年度末までに、世界の主要生産拠点で認証取得する計画です。
 

情報通信技術で交通流を改善

 環境負荷が少なく、円滑で快適な交通社会を実現するには、交通環境改善への総合的な取り組みが必要です。
 トヨタは、道路・クルマ・人を高度な情報通信で一体化した次世代型交通システム「ITS(Intelligent Transport Systems)」の技術開発を積極的に進めるとともに、産・官・学が一体となった推進プロジェクトにも参画しています。
 '97年度には、さまざまな交通情報をリアルタイムで提供するシステム(*VICS)を主要都市でサービス開始したほか、長野冬季オリンピックでは車両運行にも採用されました。
 また、有料道路でのノンストップ自動料金収受システム(*ETC)、タクシーや工事用車両を目的地までスムーズに誘導する“TIME・t”、自販機への商品補給を支援する“TIME・d”などの高度車両運行管理システム、バス到着時刻を停留所に表示するバスロケーションシステムなどの開発に取り組んでいます。
 今後も、鉄道の効率性とバスの自由性を組み合わせた輸送システムや電気自動車によるコミューター共同利用システムなどの開発を進め、総合的なITSの実現に取り組んでいきます。

*VICS (Vehicle Information & Communication System )
FM電波を使った道路交通情報システム。
*ETC(Electronic Toll Collection System )
ゲートと車両間の電波交信によるノンストップ自動料金収受システム。
 

それぞれの分野で環境取り組みを展開

 トヨタは、自動車以外にも、産業車両・機器、住宅、マリン、アグリバイオ・環境緑化、情報通信などの分野で事業活動を行っています。これらが全売り上げに占める割合は約5%で、トヨタの関わり方も、生産のみ、販売のみ、他社への資本参加など形態はさまざまです。
 トヨタは、それぞれの事業活動に関して、省エネ・省資源・リサイクルの推進、廃棄物低減などの支援を行っています。
 

社会とともに、より良い未来をめざす

 環境対策の取り組みは、各界のオピニオンリーダーや消費者・生活者の方々の協力が不可欠です。トヨタは環境問題に関するコミュニケーション活動を積極的に展開しています。
 '97年7月には、第1回「トヨタ環境フォーラム」を開催し、パネルディスカッションや技術展示を行いました。
 また、環境関連の先端技術の研究開発への助成プログラムなど、社会貢献活動を実施しています。さらに、米国東海岸の子供たちへの環境教育プログラム協力('96年〜)、当社ボランティアセンターを通じての植樹活動を推進しています。今後は、計画モデル林として整備した「トヨタの森」などを活用し、環境教育NPOと連携した里山管理リーダーの養成、などの環境保全活動を積極的に展開していく計画です。