森からのお手紙
2009年11月19日更新

2009年 11月号 秋の森「おいしいものいただきまーす」
「秋の恵みは誰のもの」
    森の秋は実りの季節。赤や黄色の色とりどりの葉っぱに混じり、小さな枝に青い実やピカピカに光った赤い実があります。いったいこの実は誰のものでしょう・・・。森にはたくさんの生き物が暮(く)らしています。その生き物たちの“ご飯”、ごちそうを少しだけわけてもらい、秋の恵みをいただくことに。先人達の知恵に倣(なら)い、恵みに感謝(かんしゃ)しながら、ごちそうをつくってみました。  
  コバノガマズミの実   サワフタギの実   フユイチゴの実  
  「コバノガマズミの実」   「サワフタギの実」   「フユイチゴの実」  


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「秋1番のごちそう・自然薯(じねんじょ)のとろろご飯」
    ヤマノイモ(別名:自然薯)はつる性の植物ですが、その細長いハート形の葉っぱを知っていますか? 7月~8月には白い小花を咲かせ、花が終わった後には横広がりの楕円形(だえんけい)の翼(つばさ)が3個ある種子を結び、秋のはじめに葉のわきにムカゴをつけるのがヤマノイモの特徴(とくちょう)です。11月ごろ、葉が黄色くなるとイモの食べごろ。つるをたどって地中を深く掘り、イモを取り出します。そして、折れないように笹やススキを巻いて運びます。皮をむき4~5㎝の長さに切って日陰干しにしたものは山薬(さんやく)とよばれ、漢方薬として滋養(じよう。体の栄養)に利用されてきたそうです。  
  ヤマノイモの種子   ムカゴ   色づいた葉  
  「ヤマノイモの種子」   「ムカゴ」   「色づいた葉」  
  土の中のヤマノイモ   折れないように笹で巻いたもの  
  「土の中のヤマノイモ」   「折れないように笹で巻いたもの」  
  自然薯堀りは、このイモが大好物のイノシシとの競争です。掘ってきたイモは、短冊切りにして揚げたり、すりおろして海苔(のり)に巻いたものを天ぷらにしたり、食べ方はいろいろですが、やはり“とろろご飯”が最高ですね。  


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「麦とろご飯のつくり方」
  <材料 3人分>
  ヤマノイモ1本・米2.5合・押し麦0.5合(または、五穀米(ごこくまい)など)・乾燥(かんそう)しいたけ・醤油(しょうゆ)・みりん・鰹(かつお)だし  
  薬味にねぎ少々、あぶり海苔少々  
  <伸ばし汁のつくり方>
  乾燥しいたけのもどし汁・醤油・みりん・鰹だしを合わせます。伸ばし汁はお好みの濃(こ)さでよいのですが、うどんだしよりやや濃い目につくり、冷ましておきます。
  <つくり方>
  ヤマノイモは土を洗い流し、ひげ根は火であぶって取り除く。  
  ヤマノイモをすり鉢(ばち)ですりおろし、すりこ木でさらにする。  
  卵黄(らんおう)のみを入れ、さらにすり鉢の中でする。  
  なめらかになってきたら、伸ばし汁を少しずつ加え、なじむまですりこ木でする。  
  この作業を数回行い、汁がお玉からスムーズに切れるまで伸ばしたらできあがり。  
  土を洗ったヤマノイモ   伸ばし汁を加えすり鉢でする   麦ご飯のとろろ汁完成  
  「土を洗ったヤマノイモ」   「伸ばし汁を加えすり鉢でする」   「麦ご飯のとろろ汁完成」  
  その他の収穫物(しゅうかくぶつ)もごちそうにしてみました。  
  「アケビの肉づめ」  
  山野に見られるつる性の植物アケビは、他の木に巻きついて高く伸びます。4月ごろ新芽が出ると同時に紫色の花を咲かせます。つるを2~3cmの輪切りにし、日陰干しにしたものは木通(もくつう)とよばれ、漢方薬として利尿作用があり、腎炎(じんえん)、膀胱炎(ぼうこうえん)などのむくみをとるといわれています。
アケビの実は生でいただいても甘くおいしいのですが、皮も炒めたり天ぷらにしたりして食べます。少しほろ苦く、なんとも言えない味。今回は、豚ミンチと豆腐(とうふ)を混ぜて豆腐ハンバーグ風にしたものを皮の中につめ、オリーブオイルでキツネ色に焼いて、自然薯のムカゴとキノコを添(そ)えていただいてみました。
 
  採(と)りたてのアケビの実   キツネ色のアケビの肉づめ  
  「採(と)りたてのアケビの実」   「キツネ色のアケビの肉づめ」  
  「ナツハゼパン」  
  日当たりの良い場所に生え、初夏にかわいらしい丸い筒状の白い花を下向きにつけるのがナツハゼの特徴です。その実は濃い紺色で熟(じゅく)すと一段と黒くなり、酸味があって、生でも、またジャムにしてもたいへんおいしいものです。今回は、ナツハゼとクランベリーを一緒にパンに練りこんで焼いてみました。名づけてナツハゼパン。  
  ナツハゼの実   ふんわり膨(ふく)らんだナツハゼパン  
  「ナツハゼの実」   「ふんわり膨(ふく)らんだナツハゼパン」  
  「干し柿」  
  渋柿は干してお正月用の「干し柿」に、青い未熟果(みじゅくか)からつくるカキ渋は、高血圧や痔(ぢ)にも効くといわれています。若葉はお茶の葉にしたり、抗菌(こうきん)作用があるので柿の葉寿司にしたりします。また、果実のヘタを干したものを柿帝(してい)と呼び、しゃっくり止めにも使っていたそうです。渋柿をむいた皮は、大根を漬ける時に一緒に入れると、きれいな色にできあがります。捨てるところがない万能(ばんのう)なくだものですね。  
  森の豆柿   皮をむいた干し柿   お日さまに当たる干し柿  
  「森の豆柿」   「皮をむいた干し柿」   「お日さまに当たる干し柿」  


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「いのちを育(はぐく)む食卓」
  『食べることは、生きること』これは「いのちを支えるスープ」でお馴染(なじみ)の料理研究家の辰巳芳子さんのフリーペーパー「Fのさかな」の中にあった言葉ですが、『食』は単に空腹を満たすものであればいいというものではありません。「食べる」ことは「生きる」ことそのものなのです。命をよりよいものにするためには、1日3度の食事、1年1095回の食事の質と美味しさと内容が大切です。(以上、抜粋(ばっすい))と書かれています。
ともすれば忙しさにまぎれ、“チン”とレトルト食品に頼ったり、お湯を注ぐだけの食事になってはいませんか。日本は四季折々(しきおりおり)にいろいろな食べ物があり、地域それぞれに食文化が違(ちが)っています。その食べ物を愛し、そこでしか食べられないおいしいものに出会い、それをまた子供や孫に伝えていくことの大切さを、ひしひしと感じるのは私だけでしょうか。今回紹介いたしました4種のごちそうは、秋ならではのもの。もっと詳しくお知りになりたい方は、「トヨタの森 里山学習館エコの森ハウス」までお気軽にお越しください。連絡先電話&FAX 0565-58-2736 月曜~土曜日9:00~16:30までエコの森ハウスは開いております。
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編集・写真撮影:トヨタの森スタッフ


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