森からのお手紙
2010年11月18日更新

2010年 11月号 「ひげさんのデジカメ教室」の一年
    「ひげさんのデジカメ教室」は、カメラや撮影(さつえい)技術(ぎじゅつ)などの勉強ではなく、野山に行ったとき足元の小さい花や小さい生きものに目を向けて、それを記念にデジカメに写しこんでもらえればと思い、企画(きかく)したものでした。

  自然の中で、一生懸命(けんめい)に生きるために根(ね)を張(は)り芽(め)を伸ばす植物は、それだけで生きる力を感じます。自然の中に生きる生きものは「食う食われるの世界」の中で、お互いに関係をつなぎながら必死に生きていることを感じます。

自然報道(ほうどう)写真家の宮崎 学(みやざき まなぶ)氏が「黙(もく)して語らない自然界」といわれるように、こちらから見る気にならなければ何も見えてこないということです。
机上(きじょう)でこんな写真が撮(と)りたい、あんな写真が撮りたいと思っているだけでは何も撮れないのです。まずは、自然の中に出かけて、自然の声に耳を傾(かたむ)けることから始めましょう。
 
ひげさんのデジカメ教室
    昨年は、近畿中国森林管理局(きんきちゅうごくしんりんかんりきょく)主催(しゅさい)の「グループ対抗(たいこう) 里山デジカメ選手権」に、森のスタッフが撮った3枚の組写真を応募したところ入賞いたしました。

「生まれたよ~」と題して、朝露(あさつゆ)に濡(ぬ)れ、乾(かわ)くのを待っている羽化(うか)したばかりのクロスジギンヤンマ。スポットライトを浴び、葉っぱをいっぱいに広げ、一生懸命に大きくなろうとしているマツの赤ちゃん。ふわふわの綿毛(わたげ)に包まれた、あどけない表情のフクロウの巣立ちヒナ、の3枚でした。
 
クロスジギンヤンマの羽化 マツの赤ちゃん フクロウの巣立ちヒナ
クロスジギンヤンマの羽化 マツの赤ちゃん フクロウの巣立ちヒナ
    審査委員(しんさいいん)の一人である写真家の今森 光彦(いまもり みつひこ)氏からは「一つのテーマに絞(しぼ)ってまとめられているので、インパクトが強い組写真になっています。それぞれの誕生シーンで、トンボの羽化、マツの萌(も)え木、フクロウの幼鳥(ようちょう)と、それぞれがそれぞれの環境の中で生きているのが良くわかる写真で、優れたまとめ方をしています」と評価をしていただきました。

  2年目を迎えた「デジカメ教室」は、最終編としてこの里山デジカメ選手権への応募を目標に定め、4月から月一回それぞれテーマを決めて撮影を行いました。
 


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    4月、「春」をテーマに、春を感じる被写体(ひしゃたい)を探しながら思い思いの感性(かんせい)で写真を撮りに、自然生態園(しぜんせいたいえん)を歩きました。この日は風が強く撮影には不向きでしたが、森の中に入るとそれほどでもなく、思い思いの被写体にレンズを向けました。  
  被写体を探して   低い目線から・・・  
  被写体を探して   低い目線から・・・  
  ふわふわの若葉色の新芽   アルミホイルをレフ板代わりに  
  ふわふわの若葉色の新芽   アルミホイルをレフ板代わりに  


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    5月、新緑(しんりょく)の森はどこにレンズを向けても絵になりそうですが、どこをどう切り取ったらよいのか、意外に難(むずか)しいのです。できれば被写体の周(まわ)りを廻(まわ)って、光の具合やバックの色・被写体の向きなどを決め、気に入った場所を探すと良いでしょう。この日はクロスジギンヤンマの羽化やクモ、アカバナトチノキやモミジの種などを撮影しました。  
森と一体になって コメツブツメクサ
森と一体になって コメツブツメクサ
日向にいるワカバグモ クロスジギンヤンマの羽化
日向にいるワカバグモ クロスジギンヤンマの羽化


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    6月、自然の中で暮らしている生きものをテーマにして撮影しました。
森に生きる生きものの多くは、自分が食べられないように自然と同化しているので、見つけるのが大変です。そんな虫たちを探すコツなどをレクチャーしながら歩きました。

始めはどこにいるのか分からなかった虫たちが見えてくるようになり、季節の移り変わりや生きものがここで生きていることを感じてもらえたと思います。
 
クロコノマチョウの幼虫(ようちゅう) 原っぱにいる昆虫(こんちゅう)を気に入った角度から
クロコノマチョウの幼虫
(ようちゅう)
原っぱにいる昆虫(こんちゅう)を気に入った角度から
  ほら あそこに・・・   トノサマガエルが・・・・  
  ほら あそこに・・・   トノサマガエルが・・・・  


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    7月、雨がパラパラ降ったりやんだりのあいにくの天気でしたが、アマガエル、クモの網、キノコなどを撮影しました。雨の日にしか撮れない水滴(すいてき)の水玉レンズを、落とさないように気をつけながらの撮影はとても楽しかったです。  
ススキの葉に水玉が 二人姉妹のキノコ 水玉レンズ
ススキの葉に水玉が 二人姉妹のキノコ 水玉レンズ
水玉を落とさず慎重(しんちょう)に・・・
水玉を落とさず慎重(しんちょう)に・・・


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    9月、4月から7月までの間に撮った写真の中から、デジカメ選手権に応募する作品を選択しました。2人か3人で撮った写真を3枚の組写真にして、タイトルとメッセージをつけることが応募条件でした。

一人で撮った写真を組写真にするのは、タイトルも決めやすいのですが、複数人(ふくすうにん)の作品をあわせて組み写真にすることの難しさを知りました。また、作品だけでなく、里山や写真への思いなどをメッセージにすることも、写真技術だけでなく、詩的(してき)な技術も必要なことが解(わか)り、とても勉強になったと参加者の皆さんからの感想でした。
 
写真選択 迷います 詩的なメッセ-ジを考える
写真選択 迷います 詩的なメッセ-ジを考える
    トヨタの森からは3グループが応募しました。
その内1グループが入選したとのうれしい連絡がありました。
どの作品も素晴らしい写真だったので、審査委員の方々もどれにするかかなり迷われたと思われます。

結果はこのようになりましたが、これからも写真を楽しんで撮っていただきたいと思います。

 
入選作品(テーマ:新緑の光の中で)
入選作品1 入選作品2 入選作品3


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編集・写真撮影:トヨタの森スタッフ

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