森からのお手紙
2011年9月14日更新

2011年 9月号 「2011ふくろうシンポジウムin白川郷」 結果報告
    フクロウは可愛(かわい)らしい鳥、幸福(こうふく)を招(まね)く鳥として親(した)しまれています。
  そのフクロウの生態調査(せいたいちょうさ)や保護活動(ほごかつどう)を実践(じっせん)している方々から活動事例を発表していただくことによって市民としての活動に横つながりを持たせ、自然保護の大切さや里山保全の重要性について情報発信するために、8月6日(土)~7日(日) トヨタ白川郷(しらかわごう)自然學校(しぜんがっこう)に、ゲストとして自然界の報道写真家(ほうどうしゃしんか)の宮崎学氏ならびに研究発表者6名、一般参加者32名を迎えてシンポジウムを開催(かいさい)しました。
「2011ふくろうシンポジウムin白川郷」 結果報告  


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<基調講演(きちょうこうえん)&研究発表の内容まとめ>
   


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  • 自然界は人間とは違う時間軸(じかんじく)で動いており、報道写真家としてその時間軸の中にある“今”を切り取って見せていきたい。
  • 自然のことを知りたいのなら、現場に出て、自分で考えて、行動することが大切。
  • 近年自然保護が叫(さけ)ばれているが、本当にその行動が自然保護になっているのか。人間の視点(してん)や時間軸ではなく自然の視点や時間軸で見る必要がある。
 
  基調講演1   基調講演2  


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    八ヶ岳(やつがたけ)周辺では昼間にフクロウを観察(かんさつ)することができるので、フクロウの見方やマナーを伝えるツアーを行っている。
  まずはフクロウの生態を知って楽しみ、そして知るだけでなく守ってもらうことの大切さを今後も伝えていきたい。
  研究発表「フクロウのウォッチング・ツアーと保護活動」  


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    フクロウを取り巻(ま)く生き物、特に昆虫(こんちゅう)に興味を持ち、巣(す)の中にいる甲虫の役割について研究中。
  巣内には羽や糞(ふん)、コケや木屑(きくず)、動物質を食べるきわめて珍(めずら)しい甲虫や蛾が見つかっている。これらの甲虫や蛾は巣内の清掃者として重要な役割を果たしていると考えられる。
  研究発表「フクロウの巣に生息(せいそく)する蛾(が)と甲虫(こうちゅう)」  


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    野鳥(やちょう)はどこから来てどこに行くのか、あまりわかっていない。それを調査するために標識調査を行っている。
  当初、フクロウの雄(おす)は遠くへ移動し、雌(めす)はあまり動かないのではないかと考えたが、雌雄(しゆう)で差は見られなかった。ただ、トヨタの森で放鳥(ほうちょう)した個体が82km離れた掛川市で発見された例もある。
  研究発表「フクロウの標識調査について」  


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    最近樹洞(じゅどう)が少なくなっており、木の分かれ目で住んでいるフクロウがいた。樹洞を修理するとその樹洞に入るフクロウもいた。
  フクロウを観察してわかったことは、子どもへの愛情の深さや子育ての場所へのこだわり、フクロウが生息している環境はすばらしいということだった。
  研究発表「北那須のフクロウについて」  


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    長野オリンピックの会場予定地に生息するフクロウの数を調査したのが始まり。
発信機をつけてフクロウの生活環境や行動範囲(こうどうはんい)、生活史(せいかつし)についての研究をしている。
  雪がたくさん降(ふ)った時に、下に降(お)りてくるものもいれば降りないものもいて、個体による差(さ)が激(はげ)しかった。
  研究発表「長野県北部での調査事例」  


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    これまでフクロウの住みやすい森を作るために、プラスチック製の巣箱の設置(せっち)や、笹(ささ)や木の枝を切って狩場(かりば)の整備(せいび)、ネズミやカエルの住む場所の整備を行ってきた。そのおかげか、トヨタの森でプラスチック製の巣箱でフクロウの繁殖(はんしょく)が確認された。   研究発表「フクロウのための森づくり」  


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    今回のパネルディスカッションではパネリストだけでなく参加者からの意見も聞きながら「フクロウの魅力」について大いに語っていただきました。

  パネリストからは、「目が人間と同じように正面を向いており、親しみを感じる」や「巣を見たときに襲(おそ)ってくるものもいればじっとしているものもいて、個体ごとに個性がある」、「夜、俊敏(しゅんびん)に飛び回る姿(すがた)や動き」、「案外(あんがい)身近で見ることができる」という意見がありました。

  参加者からの意見には「神秘性(しんぴせい)」、「表情がかわいい」、「人間っぽい」、「大きな黒い瞳(ひとみ)」、「身近にいることで親近感(しんきんかん)を感じる」など。他にも「鳴(な)き声」、「シルエット」、「寡黙(かもく)なイメージ」があり、それぞれの言葉に参加者の皆(みな)さんがうなづいている姿が見られました。

  参加者の意見も聞きながら話を進めていくことで、話す人と聞く人に分かれるのではなく、「フクロウの魅力」を会場全体で共有(きょうゆう)することができたパネルディスカッションとなりました。
 
パネルディスカッション「フクロウの魅力(みりょく)について」1 パネルディスカッション「フクロウの魅力(みりょく)について」2 パネルディスカッション「フクロウの魅力(みりょく)について」3


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    皆さんが持ち寄(よ)った地酒(じざけ)や珍味(ちんみ)などをいただきながら話が弾(はず)み、ネットでは名前は知っていたけど話すのは初めてとか、発表時に聞けなかったことなどを質問したり楽しい時間でした。  
懇親会(こんしんかい)1 懇親会(こんしんかい)2 懇親会(こんしんかい)3


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  白川郷自然學校のチーフインタープリター加藤春喜氏の案内で、朝6時出発の早朝ウォッチングに多くの人が参加しました。

  最初に加藤氏の服装(ふくそう)の違(ちが)いを見つけ、観察力(かんさつりょく)をアップして出かけました。

  大きな切り株から何種類の木が育っているのを観察したり、2つのグループに分かれ、自分が生き物になったつもりでペレット*注を隠(かく)したり、相手陣地(あいてじんち)で見つけたりするアクティビティーを体験し、自然の奥深(おくぶか)さや楽しさを体験できました。

*注 ペレット・・・ストーブ等の燃料(ねんりょう)に使うために、木の樹皮(じゅひ)やおがくずを粉状(こなじょう)に砕(くだ)いた上で小さく棒状(ぼうじょう)に固めたもの
  早朝ウォッチング1   早朝ウォッチング2  
  今回のシンポジウムを終えて、参加者からは「次回もこのような企画(きかく)をぜひやってほしい」、「場所を変えてフクロウシンポジウムを開催したら」などの意見が寄せられました。

  フクロウに限らず、森ではいろいろな生きものが一生懸命(いっしょうけんめい)に生きています。私たちはそのような生きものの生態をどれだけ知っているでしょう。

  「もの言わぬ生きもののために、感謝もされず批判(ひはん)もされずただ黙々(もくもく)と作業する。それが僕は好きだし一番合っている。」

これは杉山時雄が「第8回フクロウの棲(す)む森づくり」の最後の締(し)めに言ったことばです。いきもののためにできることを、これからも考えて生きたいですね。


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編集・写真撮影:トヨタの森スタッフ

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