グローバルな視点で、トヨタデザインの舵をとる。サイモン・ハンフリーズ - ジェネラル・マネージャー

Work Style

お客さまの「ワクワク」を実現させたい。

トヨタの誇れるものを1つ挙げるとすれば、それは、何よりもお客さまのニーズに応えようとしていること。一人ひとりの「欲しい」を叶える。それぞれの人が心から「ワクワクする」そんなクルマを作りたいと、ものすごくこだわっています。必要な機能やデザイン、カラーや大きさなど、欲しいクルマは人によって異なるもの。家族構成や趣味、性別、年齢、生活環境が違うからです。だから、究極的には、ひとり1車種こそ理想のクルマ作りなのだ、と。

今の時代には、お客さまの価値観の多様化がさらに進んできていますが、それに応えることが、トヨタデザインの精神だと思います。一般的には、非効率なので考えられないことかもしれません。でも、トヨタは本気で考えている。それをいかに効率的に生産するかも含めて。最初は驚きました。まさか一人ひとりのニーズに、本気で応えようとしているなんて。でも今は、それが私の誇りです。

Life Style

日本人は、「もったいない」。

私がトヨタに入社したばかりの頃。日本人スタッフと、かなりホットなディスカッションになったことがあります。「あなたたちには、素晴らしいカルチャーがあるのだから、そこからイメージしたクルマを提案したらどうか」と。自分たちの考え方や文化的背景を積極的に取り入れて、もっと自信を持ってやった方がいい。遠慮しない方がいい、と言ったのです。日本には、世界に誇れるカルチャーがある。美しい場所がある。そして、ものすごいノウハウがある。それをもっともっと、デザインに活かすことができる。このままでは“もったいない”。日本人独自の感性を、もっと打ち出した方がいい。そう思っていました。

本物のオリジナリティは、自分の中にあるルーツやカルチャーからしか生まれない。だからこそ、そこから生まれたものは、誰にも真似することができない揺るぎない物になる。まさにこの考え方の延長線上に存在する思想こそが、トヨタデザインが掲げる、「j-factor」なのです。

外国人と日本人が創る「j-factor」。

「j-factor」のjはもちろん、Japan。直訳すると日本的要素です。
これは、日本のカルチャーのカタチだけを真似るような、表層的な原点回帰ではありません。もっと根底にある日本人的感覚、たとえば、異なる2つの価値観を対立させるのではなく調和させ、まったく新しいものを発想する考え方や、整然と並んでいるものを「あえてくずすことによって完成させる美意識」を、もっと積極的にデザインに取り入れていこう、というものです。

そもそも「j-factor」は、日本で生まれた思想ではありませんでした。原点は、欧州のデザイン拠点であるED2(スクエア)。今では、「j-factor」という考え方のもと、日本人も交えた世界中のトヨタデザインのメンバーが一丸となって、新しい価値をつくりだしています。

DNAに刻まれる日本の文化。

本当は日本には2年間のつもりでした。それが、5年経ち10年経ち、気がついたらもう17年間。長年暮らしていく中で、いろいろな日本に触れることができました。合気道もそのひとつ。動きの美しさ。美しいのにものすごく大胆。何の無理もしていないようでいて、とてつもないパワーが出る。デザインフィロソフィーを考えていた頃、この合気道のイメージが頭に浮かんできたことがありました。美しくて、でもパワーを感じる。そして無理をしていない自然体のカタチ。内に強さを秘めながら静けさのある佇まい。

合気道とデザイン。一見両者は関係ないように思えます。でもこうした武道などで表現される人の動きや勢い、あるいは仕草などがブランドの持つキャラクターや造形のイメージを掻き立ててくれることがあります。そして合気道は私が日本に来たことで触れることのできた日本の武道であり文化。他にもさまざまな日本の文化と触れ合うことができましたが、その一部は17年間で、私の中に刻み込まれ私の持つDNAと溶け合った気がします。

インタビュー


  • サイモン・ハンフリーズ
    ジェネラル・マネージャー


  • 藤原 裕司
    エクステリアデザイナー


  • 松田 章
    クレイモデラー


  • 本崎 正規
    デザイナー


  • 堀部 和雄
    木型モデラー


  • 宍戸 恵子
    カラーデザイナー