既成概念を超えて挑戦し続ける。本崎 正規 - デザイナー

Work Style

ものづくりは、二次元 ⇔ 三次元。

自分が入社してデザイナーになってみると、アートの難しさとは違う、工業デザインの超えるべき様々なハードルの高さにあらためて気づかされました。ただカッコイイだけではアートであってもダメだとは思いますが、工業デザインの場合は特に、まずはお客様のニーズありき。「求められている機能は?デザインの雰囲気は?」資料やコンセプトだけでは掴みきれません。

そこで、僕はまず、お客様の気持ちになってみることから始めます。想定されるお客さまの生活圏に行ってみたり、同じ行動をしてみたり。とにかく体験してみる。その上で、お客さまの望んでいるであろう雰囲気や機能をスケッチにしていきます。ただし、スケッチは二次元の世界。「立体にするとこうなっちゃうんだ」という場合もある。だから、簡易的な立体模型とスケッチを往復しながら、体験時のイメージと照らし合わせていきます。頭の中の世界をリアルなカタチに落とし込んでいく感じですね。

“同一車種で内外デザイン案採用”という実績。

「なぜ1台の車をデザインするのに、内装と外装で別々の人が担当するのか」。入社する前まで僕はずっと不思議でした。実際は仕事量が膨大だし、どちらも高い専門性が要求される領域なので、別々のスペシャリストが担当した方がよりハイレベルな提案ができる。だから内外に別れているわけです。それでも無謀ながら、「同じ人間が両方考えるのが理想なんじゃないか」と思ってしまったのです。内装デザイナーなのに外形の検討会に参加したり、スケッチを描いては外形の先輩に見せたり。出来る限りの勉強とアピールを続けました。そしてついにチャンス到来。車両はRAV4。やはり内外同時にアイディア提案する仕事量は膨大なものでした。単純に倍ですから。

でも僕は、このプロジェクトに賭けました。その甲斐あって結果は、“同一車種、内外デザイン採用”。僕が考えていたプロダクトデザインの理想に、一歩近づけたのです。この結果は、僕の努力と言うよりも、両方やらせてくれた上司やチームみんなの理解や協力があってこそ。既成概念にとらわれることなく、まずは全力でトライすることの大切さを学び、同時に、チャンスは誰にでもあるということを実感しました。

飛躍したアイディアでも確実に製品化できる現場。

“同一車種、内外デザイン採用”といっても、その時点ではあくまでもアイディアが採用されたに過ぎません。それよりも貴重なのは、アイディアを製品として成立させ、そのうえで魅力的なデザイン品質になるまできっちり創り上げられる人たちが、トヨタデザインの現場を支えていることだと思います。どんなアイディアでもカタチにできるノウハウや技術があるからこそ、お客さま一人ひとりのニーズに応えるようなデザイン、幅広いラインナップを提供できるんです。

デザイナー個人としても、とてもありがたい環境だと思いますね。たとえどんなに飛躍したアイディアでも、お客さまのニーズやコンセプトをおさえていれば思いきった提案ができる。新しいチャレンジがどんどんできる。どうしたらよいものが提案できるかに集中できる環境があるからこそ、お客さまに満足いただけるクルマがつくれるのだと思います。

Life Style

アイディアソースは、日常にある

どんな仕事でも、知識だけでなく、実体験をともなうからこそいいアイディアが生まれるのだ、と思っています。だから、オンとオフはあえて区切りません。意識的にラップさせて、なるべくいろんなことをするようにしています。入社したばかりの頃は、パーティー用の着ぐるみや浴衣をつくったりしてました。シートやファブリックなどマテリアルの参考になったり、縫製の仕方が勉強になったりするのが楽しくて。業務用ミシンも購入して、趣味の域を超えていたかもしれませんね。

そのほかにも、仲間の結婚式のためにロケまでしてムービーを作りこんだり、部屋をDJブース付きのカフェ風にいじったり。クルマという生活に密着したプロダクトデザインをするうえで、日常の物事に無意識にアンテナを張っている、旺盛な好奇心は大切にしたいと思っています。

右脳と左脳をシンクロする。

雰囲気をデザインする、と言うと大袈裟ですが、僕は趣味でDJもやっています。あくまでも趣味なのでプロの方にはかないませんが、それなりに考えていることはありますね。音楽で雰囲気をデザインするわけですが、それは自分勝手に決めているわけではありません。フロアの状況、お客さまのファッションや表情から、場のニーズをリアルタイムに察知して、次につなげる曲を選ぶ。メローにつなぐか、アップで盛り上げるか。ターンテーブルを操る技術とフロアの心理を読む技術を同時に要求されるわけですね。

実は、デザインを考えるプロセスも、似たような感覚なんです。フロアの空気を察知するように「左脳」でユーザーの欲しい雰囲気や機能を感じ取り、最適な曲を随時に選んでつなぐように、「右脳」でユーザーの気持ちをカタチで表現する。そういった意味で、DJは右脳と左脳の連携を高める良い訓練なのかもしれません。

超えたくなるハードルに向かうときのワクワク感。

仕事も休日もつながった同じ時間軸にあるわけで、その決められた時間内に、どれだけのことが達成できるか。やりたいことをいくつクリアできるか、という自分のルールをつくったりします。基本が欲張りなんです。やらずにはいられない性分。アイディア操作の山場に、仲間のためにムービーを製作しつつ、DJのライブが重なったりすると、かなりキツイ。連日徹夜ですね。でも楽しんでいるので、疲れは感じません。それどころか、イベント終了後は朝まで打ち上げで盛りあがったりします。

もちろん、アイディア操作も、全力ですよ。そんな状態で、仕事もプライベートも、全部がうまくいった時の快感はなんとも言えませんね。超えたいハードルが目の前に並ぶとワクワクしてしまう。いかに自分が厳しい中でいろいろなことをこなしていけるか。自分自身をレベルアップさせるためには、オンもオフもつねに全力です。

インタビュー


  • サイモン・ハンフリーズ
    ジェネラル・マネージャー


  • 藤原 裕司
    エクステリアデザイナー


  • 松田 章
    クレイモデラー


  • 本崎 正規
    デザイナー


  • 堀部 和雄
    木型モデラー


  • 宍戸 恵子
    カラーデザイナー