第3節 北米で現地生産をスタート

第4項 現地に根づく工場運営

現地調達率向上への取り組み

トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・USA(TMM、現・TMMK)では量産化と並行して新たな挑戦が進められた。海外では初の本格的なパワートレイン工場の設置である。75%程度と定めていた現地調達率を達成するにはエンジンやアクスル(車軸)などの現地生産が不可欠であり、1987(昭和62)年11月に建設を発表した。

海外でのエンジン生産は、それまでもオーストラリアやインドネシアなどで行っていたが、年産数万台の規模にとどまっていた。本格的なエンジン生産には粗形材(鋳鍛造品)や機械加工で巨額の投資が必要となるほか、材料の確保など技術的な問題が多かったからである。そこでTMMでは、機械加工に生産性の高いトランスファーマシンを導入することとし、その採算効率から生産規模を年産20万台強と決めた。車両生産の20万台に見合う規模であったが、米国での生産に必要な量を超えた分は日本で引き取ることとした。この施策は同時に、トヨタが抱えていた海外部品の輸入拡大という貿易面での課題解決を目指したものでもあった。

TMMのパワートレイン工場は1988年4月に着工され、まずエンジンとアクスルの組立から始めて、1992年春までには機械加工の現地化による一貫生産を確立するという長期のプロジェクトとなった。同じエンジンを製造する上郷工場での研修生受け入れなど、ここでも人材育成に力を入れ、1989年11月には現地組立による第1号エンジンの火入れ式を行った。1990年秋に始まった機械加工ラインの据付と工程の整備も、1992年3月には終わり、当初のスケジュールどおりに完了することができた。パワートレイン工場の稼働により、1991年の段階でTMM製カムリの現地調達率は75%まで高められた。

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