第2節 環境・安全問題への対応

第3項 限りある資源を有効活用

「トヨタリサイクルビジョン」の策定

トヨタは2005(平成17)年の「自動車リサイクル法」施行に先駆け、2003年6月に「トヨタリサイクルビジョン」を策定・公表し、解体技術、リサイクル処理技術の開発、植物原料など再生可能資源の活用、リサイクル実効率95%早期達成などの重点実施項目を掲げた。日本においては、2010年度時点で車両リサイクル実効率97%を達成している。

また、2008年には社内体制を改組して「資源循環委員会」を設置し、使用部品中の稀少金属を主対象に、「回収・物流」と「技術開発」をリサイクルの両輪として取り組みを強化した。

とくに、ハイブリッド車(HV)普及進展に伴う販売店・解体事業者からのニッケル水素電池の引き取り依頼の増大に対応できるよう、安全で効率的な物流網を構築し、2009年10月にトヨタHV引取受付センターを環境部内に設置、同電池の回収・リサイクルを事業化した。

翌2010年10月には、豊田ケミカルエンジニアリング、住友金属鉱山、プライムアースEVエナジーと共同で、使用済みのHV用ニッケル水素電池に含まれるニッケルを電池原料として再資源化するリサイクル事業を開始している。

さらに、これまでに築き上げた回収・物流網を活かし、2011年5月発売のプリウスαの3列シート車に搭載しているリチウムイオン電池の回収網も構築した。この取り組みでは、補給部品物流の帰り便や豊田通商の触媒回収網を活用したニッケル水素電池回収システムとの共用化で、より高効率・低炭素な回収を図っている。このほか、磁石や銅、ニッケル水素電池ユニットに使用しているレアアースのネオジム、ジスプロシウムのリサイクル技術開発も推進するなど、持続可能な循環型社会構築に取り組んでいる。

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