TMMWV、TMMALの設立―エンジン生産の拡充

コアモデルのカムリとカローラの生産を拡充していくなかで、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ケンタッキー(TMMK)とトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・カナダ(TMMC)では、すでに乗用車用エンジンの現地生産も開始しており、現地調達率は大幅に上昇していた。トヨタは、円高リスクの軽減と「新国際ビジネスプラン」(1995年策定)を着実に実行するとともに、来るべき北米自由貿易協定(NAFTA)域内貿易の完全自由化に対応するため、「コアエンジンは全量現地製とする」との方針のもと、北米供給体制の確立を急いだ。

1996(平成8)年にユニット生産を行うトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・ウエストバージニア(TMMWV)を設立し、それまで国内の下山工場から供給していた北米製カローラ用ZZ型エンジンの生産を1998年から開始した。

その後もTMMWVでは北米での車両生産の増加に伴う供給不足に対応するため、工場の拡張を実施していった。1999年からはアバロン用MZ型の生産を開始し同工場のエンジン生産能力は年産50万基へと拡大した。

エンジンに続いてTMMWVでは、2001年に海外初のオートマチックトランスミッション(AT)の現地生産を開始し、カムリとソラーラ用4速ATをTMMKとTMMCへ供給した。また、2003年からレクサスRX330用エンジンとAT、2006年からはアバロンとカムリ用6速ATの生産も開始した。

TMMWVでエンジンとATの生産が順調に拡大していったことで、カムリ、カローラのNAFTA域内現地調達率(NAFTA率)はそれぞれ70%、65%に向上し、自由貿易の基準率である62.5%を上回った。しかし、ライトトラックのNAFTA率は1990年代末にタンドラ、タコマともに60%以下にとどまっていた。ビッグスリーの独壇場であった中・大型ピックアップトラック市場での競争力を強化する意味からも、NAFTA率を基準値以上に引き上げることが求められていた。

これに対応するため、2001年にアラバマ州マディソン郡ハンツビルに、トラック用エンジンを生産するトヨタ・モーター・マニュファクチャリング・アラバマ(TMMAL)を設立した。TMMALでは、2003年からタンドラ用V型8気筒4.7Lエンジン(2UZ型)の生産を開始した。V8エンジンの海外生産としては、トヨタでは初のケースとなった。

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