第1節 豊田佐吉の発明と考え

第2項 豊田佐吉の発明の概要

発明の特色

豊田佐吉の織機についての発明・考案は、最初の木製人力織機を除けば、すべて動力織機に関するものである。

動力織機とは、水車、蒸気機関、ガス発動機、電動機(モーター)などを動力源として作動する織機のことで、力織機(Power Loomの訳)ともいわれる。動力織機のうち、杼(シャトル)内に収められた糸巻きのよこ糸がなくなったときに、よこ糸を自動的に補充しながら織り続けることができる織機を自動織機と呼び、その機構がないものを普通織機と呼んでいる。

自動織機には、よこ糸がなくなる寸前に糸巻きを収めた杼を交換する杼換式1と、杼のなかの糸巻き(木管)だけを交換する管換式2とがある。佐吉は、両方の方式の自動織機を発明したが、杼換式に重点を置いた3。この杼換式自動織機については、のちに製品として真価を世に問うには喜一郎らの新たな発明を必要とした。佐吉の発明は普通織機の機構に関するものが中心といえるが、それらは自動織機にとっても必要な技術である。

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