従業員とともに
「もっといいクルマ」をつくり、「いい町・いい社会」づくりに貢献し、それが安定した経営基盤につながる。このよい循環を回し、「持続的成長」を実現
経営基盤を支えるのはヒト。グローバル30万人を超えるすべての従業員が創業以来の価値観である「豊田綱領」「トヨタ基本理念」「トヨタウェイ」を共有し、一人ひとりが活動に取り組んでいます。こうしたグローバルな価値観の共有を基盤とし「いいクルマ」をつくり、そのクルマを通じて社会に貢献する。
そして結果として台数や収益を伸ばす。さらにはまた、「いいクルマ」づくりへの再投資へつなげていく。このサイクルを回し、「持続的成長」を実現していくことがトヨタの事業活動の考え方です。
今後もさらなる改善によりこのサイクルを支える、環境変化に対応できる強い経営基盤の実現を図っていきます。
トヨタは創業以来、「よりよいモノづくり」を追求することを通して、社会に貢献することを理念としてきました。その中で、トヨタ独自の経営上の信念や価値観がつくり上げられ、また経営管理や実務遂行上の手法が編み出され、トヨタの競争力の源泉として伝承されてきました。そのような「暗黙知」としてトヨタの中に受け継がれている経営上の信念・価値観を誰の目にも見え、体系立って理解できるよう、「トヨタウェイ2001」として整理・集約しました。この「トヨタウェイ2001」はモノづくり、仕事に対する価値観を定義した「知恵と改善」とその主体である従業員に対する思想を定義した「人間性尊重」を二本柱に、「チャレンジ」「改善」「現地現物」「リスペクト」「チームワーク」の5つのキーワードでまとめられています。トヨタウェイをグローバルトヨタで共有し、実践していくことにより安定した経営基盤が構築され、「もっといいクルマ」「いい町・いい社会」づくりに資することができると考えています。
「安定した経営基盤」を実現するため、トヨタでは、相互信頼・相互責任に基づく安定した労使関係を構築し、全従業員に“考える力・創造力・実行力”を最大限に発揮してもらう、『人間性尊重の経営を具現化すること』を目指しています。
トヨタは1950年代に経営危機により、労働争議と人員整理を経験しました。この辛い経験を経て、「二度と自分たちの仲間を解雇しなくてもよい会社をつくろう」と決意し、労使で何をすべきかを徹底的に話し合いました。その結果、「従業員は生産性の向上に積極的に協力し、会社は労働条件の維持・向上に努める」という理解を労使で共有し、また危機感も共有することによりお互いが会社の繁栄に向けそれぞれの役割や責任を遂行する、「相互信頼・相互責任」という関係を培ってきました。
まず、従業員が安心して働けるために雇用、安全・健康を最優先事項と考え、様々な施策を展開してきました。次に従業員との2Wayコミュニケーションを充実させ、全社の一体感を醸成し、危機感を共有することにより改善を促進する仕組みづくり。また、多様な価値観・発想を尊重し、個人の創造力発揮とチームワークの醸成に努めてきました。さらに、人材育成・仕組みづくりの充実も図っています。
こうした4つの原則に基づく人事労務管理を行うことにより、会社全体のパフォーマンスが最大化され、経営基盤の安定化が図れるものと考えています。
こうした思想は「トヨタウェイ」を支える「人事労務トヨタウェイ」として体系的に整理され、グローバルのトヨタ全事業体に共有され、その思想に基づく経営、諸施策が全世界で展開されています。トヨタでは、この相互信頼と相互責任を基盤とする労使の絆を強固なものにし、人間性尊重の経営を実現することでお客様の満足と社会への貢献が実現できるものと考えています。

1.内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民を目指す
5.労使相互信頼・責任を基本に、個人の創造力とチームワークの強みを最大限に高める企業風土をつくる
第1章.私たちは、会社との誠実な対話と協議を通じ、私たちとトヨタの関係の礎となる、労使の「相互信頼・相互責任」の価値観を構築し、ともに分かち合えるよう努めています。トヨタは、私たち全員が安心して働き、生活できるよう雇用の確保と労働条件の長期安定的な維持向上を可能とすべく、業績向上に努力するとともに、一人ひとりがいきいきと働きやすい環境づくりに努めています。
<従業員>私たちは、均等な雇用機会を提供するとともに、従業員の多様性・一体感の確保に努力します。
また、従業員に対する差別を行いません。(基本理念5)
<従業員>私たちは、全従業員に対し公正な労働条件を提供し、安全かつ健康的な労働環境を維持・向上するよう努めます。(基本理念5)
「労働争議」(1950年)の辛い経験を教訓に、1962年に「労使宣言」を締結しました。「労使相互信頼・相互責任」は当社の労使関係の基盤であり、締結から50周年を迎えた2012年、労使の絆をより一層強固にしていくことを改めて確認しました。

従業員の安全・健康の確保は、企業活動で最も大切なものの一つで、時代に左右されない普遍的な取り組みです。1957年、最高顧問豊田英二が当時の会社代表安全管理者に就任した際、安全衛生に関する基本的な考え方として、「安全な作業は、作業の入口である。わたしたちは、まずしっかりとこの入口を通りましょう」を示しました。この基本理念を常に念頭に、心身ともに健全で活力ある職場環境づくりに継続的な取り組みを実施しています。

2012年度は、グローバル会社方針のもとに「相互啓発型の安全・健康文化づくりの推進」を掲げ、安全と健康を「風土・文化」にまで高めるため、職場一人ひとりが、自らのリスクに気づき、自立的に未然防止の行動が実践できるよう、全員参加による基本ルールの遵守と相互啓発のボトムアップ活動に取り組んだ結果、2008年の半減まで向上しました。
2012年度は、従業員が自分の身は自分で守る意識づくりに向けて「健康マインド向上活動」と健診に基づく「リスク低減活動」を実施してきました。「健康マインド向上活動」については、職場に出向いて職場体操の支援を行ったり、健康づくりに積極的な職場に対して表彰する活動(誉める活動)を実施してきました。「リスク低減活動」については、健康BIP2活動(BMI、喫煙)を主体に、職場に対して食育や禁煙に関する講演会やミニ講話を実施しています。メタボリックシンドローム対象者へは特定保健指導を実施し生活習慣改善を図ってきました。その結果、喫煙率は少しずつ減少してきており、今後も継続した活動を実施していきます。

2009年より、全社安全現地現物活動を継続して実施しています。 社長、副社長が参加し、安全文化向上・災害低減に大きな効果を上げています。

2012年度は、メンタルヘルス活動において、メンタル不調の未然防止を目的に、本人自ら気づき・ストレスへの対処法を学習する「セルフケア研修」を新任の主任、若年層を対象に実施しました。
特に若年者に対しては、自ら気づき・ストレス対処する学習と初級技能職の教育を新たに追加しました。管理監督者向けの「ラインケアー研修」では“聴く”こと(リスナー)をポイントとして、コミュニケーション能力を向上させる内容を追加し、職場での面倒見や関係者との連携を図れるようにしています。
また、リスナー研修受講後4年経過した人へは“伝え方”(アサーション)を新たに取り組んで復習にも力を入れています。なお、産業保健スタッフが行う健康相談についてはガイドラインを定め、2012年から相談内容・対応の標準化・システム化等にも取り組んでいます。
2012年度は、海外勤務者の健診受診と健康フォローシートを活用した「産業医アドバイス内容の提供」を継続し、実施してきました。
また、産業医等が定期的に現地の医療状況を巡回把握するとともに、現地勤務者に対してはインターネットを活用した医療情報の提供や自己健康管理に関するフォローメールの発信をしています。なお、現地窓口担当者と定期的にTV会議で情報交換も行っています。

人材育成の根幹は「トヨタウェイ」の実践です。すぐれたモノづくりの発展と継承に欠かせないOJT(職場での教育)を基本としながら、さらに、トヨタウェイの5つのキーワードを基軸とした教育プログラムを実施し人材育成に取り組んでいます。
トヨタ共通の価値観・考え方であるトヨタウェイをグローバルで働く従業員が理解し実践できるように、仕事の型・手法として体系立てて整理したものを「グローバルコンテンツ」と呼んでいます。
グローバルコンテンツは国内外を問わず、研修や職場でのOJTを通じてトヨタの従業員に伝えられています。


トヨタの人材育成の基本はOJTですが、OFF-JTでも上司や先輩の指導を受けながら成長する機会を設けています。たとえば、問題解決の研修では集合研修後約半年間、実際の業務で問題解決に取り組むことを全世界共通のプログラムとしています。
ICT制度は、海外事業体の自立化を推進するため、海外事業体の従業員がTMCに出向し、OJTを通じて人材育成を図る制度です。半年から3年の任期で、スキル・ノウハウやトヨタウェイを習得。2013年5月1日時点で、36ヵ国52事業体から451人のICTが在籍しています。

ICT 人材開発部
モニカ・ドンブロフスカ
派遣元:TMIP(ポーランド)
派遣期間:2013年3月~2015年2月
入社前海外留学制度は内定期間に留学を通じ、グローバルに活躍する能力・視点を持った人材を育成するための制度です。対象者は4月下旬から5ヵ月間、ビジネス英語教育で名高い米国ペンシルバニア大学に留学し、高いレベルの授業を受けつつ、自ら文化の違う環境に飛び込み、コミュニケーションを実践し、10月に入社します。2012年度は12名が選抜され派遣されました。

VA開発部
(派遣期間2012年4~9月)
生原 尚季
若手社員の早期育成・さらなる能力向上を目的として、2014年1月からの派遣開始に向けた、「修行派遣プログラム」を新設しました。入社4年目以降の社員を、海外現地法人、海外大学院(MBA含む)、国内関連会社等に1~2年研修派遣し、実務理解、異文化理解やビジネスの場で通用する語学力の習得等を研修ミッションとして課します。海外現地法人へは、すでに現状年間100名程度の研修生を派遣していますが、本プログラムの開始に伴い、派遣数の大幅な拡大を見込んでいます。