社長メッセージ

持続的成長の実現に向けた「真の競争力」を追求

平素より当社への格別のご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。

2009年6月に社長に就任して4年の間、私自身およびトヨタは数多くの困難に直面してまいりましたが、振り返ってみますと、平時ではできない貴重な経験を積み、多くを学ばせていただいた時間であったと思います。

特にリーマンショックの後赤字に転落した時には、裾野広い自動車産業では「急成長しても、急降下すれば多くの方々にご迷惑をおかけする。持続的に成長することが最も重要である」ということを学び、また「台数の拡大イコール成長ではない」ということを痛感しました。

同時に、「トヨタがずっと大事にしてきたこと」、「トヨタの原点」を改めて思い出させていただいた4年間だったと思います。「トヨタの原点」とは、「クルマづくりを通じて社会に貢献する」という創業の理念そのものであり、私流に言えば「もっといいクルマをつくろうよ」という一言につきます。

トヨタに関わるすべての人たちが、「もっといいクルマ」をつくることを一番に考えてつくりあげたクルマが出始め、また、生産技術の革新や「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」(TNGA)をはじめとする新しいクルマづくりの革新も進みつつあります。

「トヨタ グローバルビジョン」で掲げたビジネスサイクルが、少しずつではありますが着実に回りはじめたことを実感しております。しかしながら、私どもでは次へのスタートラインに立っただけであり、足下の環境に捉われることなく、「真の競争力」、すなわち「持続的成長を可能にするための競争力」をトヨタに関わる全員で、真剣に考え、追求していきたいと思っております。中長期的な視点での「真の競争力」には、データや数値では計りきれないさまざまな要素があります。「TNGA」、「ビジネスユニット」を軸にした新体制も、すべては、この「真の競争力」を身につけるためのチャレンジととらえております。

トヨタは昨年11月に創立75周年を迎えました。創業者、豊田喜一郎は「日本人の手で、自動車産業を興す」という志でトヨタを創業しました。いま「自動車産業百年の計」は、その第4コーナーにきています。これからの25年は「百年の計」のその先にも目を向け、長期的な構想も描いていかなければなりません。そして私たちの子孫が暮らす「いい町、いい社会」づくりに貢献する―これが、私たちが目指す「持続的に成長する企業」なのです。

「笑顔のために 期待を超えて」。今年度もグローバル33万人が「心」をあわせ、「もっといいクルマづくり」を進め、地域社会に貢献できる企業を目指してまいります。そして、地域に暮らすたくさんの人々と一緒になって社会課題を考え、地球の持続的な成長に向け、トヨタにできること、トヨタに期待されていることを少しでも多く実現できるよう努力してまいります。
今後も一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。

トヨタ自動車株式会社 取締役社長 豊田 章男

2013年8月

トヨタ自動車株式会社 取締役社長

豊田 章男