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トヨタ「APA コスタ・ドス・コライス環境保護地域」(ブラジル)

ブラジルトヨタ基金 (TBF)

背景

ブラジル北東の沿岸部に位置する「APA コスタ・ドス・コライス」は、ブラジル政府が自然資源の保全と秩序ある利用に向けた法制化などを目指し、環境保護地域に指定しました(1997年)。全長135kmに及ぶブラジル最大の広さであり、サンゴ礁を含む環境保護地域としては初めてのものです。

当時、地域には約1800万人が住み、自然資源の開発によって経済は成り立っていましたが、持続可能な利用や保護のための規制がなく、魚の乱獲、石灰岩の採掘しすぎによる環境悪化が急速に進んでいました。

APA コスタ・ドス・コライス環境保護地域の位置APA コスタ・ドス・コライス環境保護地域の位置

トヨタ「APA コスタ・ドス・コライス」プロジェクトの誕生

この地域を持続的に保護していくため、2011年にトヨタ「APA コスタ・ドス・コライス」プロジェクトは誕生しました。ブラジルトヨタ基金と「SOSマタ・アトランティカ(NGO)」が連携し、運営は「ブラジル連邦政府環境省シコ・メンデス生物多様性院」が詳細な計画を作成し、目標の達成を目指しています。
プロジェクトでは、今後5年で保護地域をタマンダレ市以外の10の自治体に作り、動植物の繁殖を促進する予定です。

動植物の繁殖を促進動植物の繁殖を促進

1年目である2012年は、管理者への啓発、本部へのコンピューター設置、広範囲な調査用のモーターボートやバイクの配備など、体制強化に注力しつつ、地域支援プロジェクトとして、1. 生物多様性の保全、2. 環境教育、3. 地域の自然と共存できる観光業の展開 など、様々なNGOと共に活動しました。

サンゴ礁の調査サンゴ礁の調査

1. 生物多様性の保全:マナティーとその生息地の保護

マナティーは、環境の影響を最も受けやすいため、環境悪化の指標として考えられています。90年代初期のブラジル北東の沿岸部での調査において、マナティーは200頭しか確認できず、絶滅危機種に認定されました。現在は、500頭まで回復しましたが、依然として継続的なモニタリングや保護が必要です。

そこで、マナティーの生息環境保護の重要性を広く伝えるために、「トヨタAPA コスタ・ドス・コライス・プロジェクト」ではマナティー協会と協力し、ポルト・デ・ペドラス市を流れる川のガイドツアーを開始し、船長や観光客や地元の人々に対して、環境に関する知識(例:種の歴史、地域の生物多様性、マングローブ保全方法や海岸清掃活動など)を伝える取り組みを行っています。

ブラジルで絶滅の危機にあるマナティーブラジルで絶滅の危機にあるマナティー

マナティー協会 テルリアナ・フラヴィア・ヘゴ会長マナティー協会 テルリアナ・フラヴィア・ヘゴ会長

マナティー協会のヘゴ会長は、「ブラジルトヨタ基金がビジターホールを拡張し、映像機器を提供してくれたおかげで、観光客や地域の方々に、川の保全やマナティー保護の重要性を容易に理解していただけるようになりました」と話しています。

2. 環境意識を高める取り組み(環境教育)

「ブラジル環境・再生可能天然資源院」と共に、「APA コスタ・ドス・コライス」の近辺の公立校の教員や管理職の方々を対象に、沿岸生態系に関する知識や、学生と一緒に環境意識を高めていく活動の進め方などについて研修しています。

環境保護地域のマングローブ環境保護地域のマングローブ

ブラジル環境・再生可能天然資源院 コーディネーター クレメンチ・コエリォ・ジュニア氏ブラジル環境・再生可能天然資源院 コーディネーター クレメンチ・コエリォ・ジュニア氏

「ブラジル環境・再生可能天然資源院」のコエリォ氏は、「トヨタ・APA コスタ・ドス・コライス・プロジェクトを受けて、環境保護地域での活動が始まりました。私達の目標は、マングローブや沿岸の生態系保護の重要性について教師に伝えていくことです。その一環で“ブラジルの素晴らしいマングローブ”という、教師が学生と一緒に行う47の活動事例が載っている冊子が役に立っています。海や陸地に流出した場合の除去方法や経過観察方法が載っており、実験を通じて学習することでより理解が深まります」と語ります。

3. 地域の自然と共存できる観光業の展開

漁師、地域の事業者、学生などで構成されるENC(環境海事共同組合)では、2011年7月に設立された「APA コスタ・ドス・コライス諮問員会」に積極的に参画し、地域の環境活動や運営を議論し、サンゴ礁保護地域の選定や地域住民によるモニタリング研修などを実施しています。

地域住民によるモニタリング研修地域住民によるモニタリング研修

生物学者、ENC書記官 ラリッサ・ビラ・ノバ氏生物学者、ENC書記官 ラリッサ・ビラ・ノバ氏

生物学者でENC書記官のノバ氏は「環境悪化の最大の原因は誤った情報です。正しい情報を得るためには、広い環境保護地域をモニタリングする費用が必要になります。ブラジルトヨタ基金の支援なしでは、活動の拡大は難しかったでしょう」と語ります。

今後の計画

プロジェクト2年目の目標は、環境省から5ヶ年計画について承認を得て、科学的な知見の蓄積に加え、環境経営、海洋保護区の設置、インフラ整備、活動の監視や調査など、さらなる活動を実施する予定です。

また、ブラジルトヨタ基金は、今後10年間、積み立てを行う予定です。
基金の運用益により、地域の保護や管理活動を継続的に賄える仕組みを目指します。

トヨタ「APA コスタ・ドス・コライス環境保護地域」プロジェクト
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