クルマの安全性の追求

トヨタでは実安全の取り組みを続けています。 トヨタではまず、事故調査のデータを用いて「なぜ事故が起きたのか」「どのような原因でけがをしたのか」を解析、その事故を、さまざまなシミュレーションにより再現し、対策技術を開発します。
さらに、実車実験で確認した上で商品化、その後も「市場での事故調査・解析」で効果を検証しています。

このように、実安全とは、実際の事故に学び、改善を続けていくことで、常に安全性を高めていくという考え方です。

トヨタでは、国内外から多くの事故データを入手・解析し、安全な車づくりに生かしています。 また、コンピューターによる衝突シミュレーション、年間約1,600回もの実車による衝突試験を繰り返し、安全なボディ構造と乗員保護装置の開発を目指しています。

トヨタの安全研究施設は、建屋面積約3万9,000m2、延床面積約4万4,000m2で、縦方向280m、横方向(最大)190mと広大です。
全天候型の衝突試験場は、2つのバリア衝突レーンと車対車衝突レーンからなり、車対車衝突レーンでは、最高時速140kmでの2トン車同士の衝突試験や、15度ピッチでの異なる角度、異なる速度での車同士の衝突試験が実施できます。
また、衝突試験場のエリア内で、実際のロールオーバー転覆事故を再現する様々な形態の試験が実施できます。

トヨタは、交通事故の低減を目指し、予防安全技術の開発を促進するために、ドライバーの運転行動を解析し、効果的に事故を低減する方法を探索するツールとして、ドライビング・シミュレーターを東富士研究所に設置しました。

トヨタが開発・導入したドライビング・シミュレーターは、ドライバーに模擬運転であることを極力感じさせない、限りなく実走行に近い試験環境を追求し、世界最高レベルの性能を実現しました。

ドライビング・シミュレーターは、自動車の走行を映像や加減速度発生装置などを活用して模擬する装置であり、自動車の研究開発においては、実車では危険が伴う実験や、特定の条件下で自動車を走行させる実験などに主に活用されています。

事故の要因は、ドライバーの「認知・判断ミス」が93%(図1)を占めると言われています。
ドライバーを事故から遠ざけるために、トヨタはこのドライビング・シミュレーターを活用し、人間(=ドライバー)の領域にまで踏み込み、今後の予防安全技術開発に取り組んでいます。

「車外の風景はもちろん、走行音、振動までもリアルに」

大きなドーム内は球面スクリーンになっていて、360度の高画質な映像が車外に広がります。 走り出すと、路面の振動が伝わってきます。ロードノイズ、風を切る音までも実際に運転しているかのように感じることができます。加減速時や、カーブ走行では、実車と同様の体感加速度が発生します。シミュレーターでの運転であることを忘れさせるリアル感を最先端の技術が可能にしています。これらは全て、被験者から実際の運転状態に限りなく近いデータを取るための工夫なのです。

「取り組んでいるのは日常事故の減少」

車内から見える風景は、普段、多くのドライバーが通勤時や休日の運転中に見ているような風景です。このドライビング・シミュレーターでは、世界中のどんな街も、またどんな気象状況も作り出すことが可能です。しかし、あえて日常の風景を選んでいるのには理由があります。それは、多くの自動車事故が、ごく日常的な場所で起きているからです。普通の運転中にミスを起こしてしまうドライバーの特性を解析し、その結果を積み重ねていくことが予防安全技術開発に不可欠なのです。

「実際の走行では不可能な実験が可能」

テストコースという限られた環境下でも「居眠り、わき見、飲酒」など実際の走行では危険が伴う実験は実施困難ですが、ドライビング・シミュレーターを使用することで、安全に行うことができます。様々な状態下でドライバーが何を見ているのかを視線計測装置で、同時にステアリング、アクセル、ブレーキなどの運転操作量をさまざまな装置を使って計測します。さらに、ドライバーの心理・生理状態の分析に有効な脳波、心拍を始めとした多くのデータも取得が可能です。 これらを用いてドライバーをより危険から遠ざけるための運転支援技術を研究・開発し、実車に搭載していきたいと考えています。

トヨタは、ITS*1 技術を活用して交通事故の低減を目指す、「ITS実験場」をトヨタの東富士研究所(静岡県裾野市)に新設し、本格運用を開始しました。 *1 ITS:高度道路交通システム(Intelligent Transport Systems)

今回新設したITS実験場では、3.5haの敷地内に、一般道路や信号機を忠実に再現した市街地コースを整備。さらに、総務省より2011年12月にITS向け周波数として割り当てられた700MHz帯の電波が利用可能な路車間通信装置、車両検知装置、歩行者検知装置、コース監視装置、交通信号機・制御装置などを設置しています。なお、700MHz帯の電波は、回折しやすく、広範囲に送受信できるので、見通しの悪い交差点でのクルマとの通信などに有効です。

トヨタはITS実験場の本格運用により、市街地や交差点でのクルマ・歩行者との事故防止を目指した安全運転支援システムや、燃費向上を目指した環境システムの研究・開発を加速させて、クルマと道路インフラ(路車間)に加えて、クルマとクルマ(車車間)、あるいはクルマと歩行者(歩車間)が直接通信し、連続的に情報交換することによって、見通しの悪い交差点でのクルマや歩行者との事故防止を目指した次世代のインフラ協調型安全運転支援システム*2の研究・開発を進めています。専用のITS実験場で、道路環境が様々に変化する公道では実施困難な試験・評価を繰り返し実施することで、より信頼性の高いシステムの早期実用化を目指します。

  • *2 インフラ協調型安全運転支援システム: ITSのひとつで、ドライバーから直接見ることのできない情報を、道路に設置された通信インフラや他の車両などから無線通信によって受信しドライバーに知らせることで、安全運転の支援や事故防止につなげるシステム

自動車の衝突試験では、乗っている人への衝撃を評価するために「ダミー人形」が使われています。ダミー人形は、人間の体型や体重は似せていますが、耐久性を考え、人間の身体よりも頑丈に作られているため、衝突時に、内臓など各部位が、実際にはどのように衝撃を受けるか、詳細に測定することは難しいです。トヨタでは実際の事故から学び、改善を繰り返す「実安全」への取り組みを行っており、実際の事故により近いシミュレーションをするべく、コンピューター上で解析できる、バーチャル人体モデル「THUMS」を1997年から開発しています。
*THUMS:Total Human Model for Safety

THUMSは骨格・靭帯・腱などを有しており、より人体に近い状態を再現しています。このTHUMSを通じて、衝突事故における乗員や歩行者の傷害のメカニズムを解析しています。そして得られたデータを、側面衝突時のエアバッグや、追突された時のむち打ち傷害を低減するシート(WILコンセプトシート)の開発などに活用してきました。また現在トヨタのみならず世界中の研究者の方に利用いただき、クルマのさらなる安全性能向上に貢献しています。

更にTHUMSは、常に改良を重ねており、2009年に開発されたVersion 4では新たに肺や心臓、肝臓などの内臓器官への衝撃も、詳細に解析できるようになりました。今後は、小柄な女性など、より多く体型をそろえることや、筋肉の詳細な情報を追加など、より実際の事故に近いシミュレーションをするべく、開発を進めています。

トヨタ自動車は2011年10月3日、大学や研究機関にお求め安い価格でTHUMSをご購入頂き、様々な分野での安全研究を進めて頂ける様、「THUMS アカデミック・パッケージ」を設定いたしました。詳細は下記代理店にお問い合わせ頂きます様、お願い致します。

株式会社 JSOL
TEL:+81-(0)3-5859-6020
http://www.jsol.co.jp/cae/
E-mail:cae-info@sci.jsol.co.jp

世界中で認められているトヨタの安全性

トヨタ車は世界の第三者機関が実施する安全テストにおいて、概ね高い評価を獲得。
国や地域を超えて、大きな安心をお客様にお届けしています。

上図の情報は2015年12月現在のものになります。

さまざまな角度から、安全を実際に検証する「実安全」。そのバックボーンには、究極の安全を目指す真摯な姿勢があります。

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