LEXUS Sport Yacht Concept 開発ストーリー ボートショー企画「海ゼミ」で語られた、コンセプトボート開発までの道程

ボートショー企画「海ゼミ」で語られた、コンセプトボート開発までの道程

LEXUS Sport Yacht Conceptのグラマラスで美しい曲線形状の船体は特に注目したいポイントの一つ。
職人の繊細な磨きあげにより左右の均衡がとれ、美しいフォルムを実現している。

ボートショー開催期間中にパシフィコ横浜会場にて開催された「海ゼミ」。
「楽しく学べるマリン」を合い言葉に全16講座が開催され、ビギナーからベテランまでが楽しめる内容で連日賑わいをみせた。
この「海ゼミ」ではLEXUS Sport Yacht Conceptの開発担当者達によって、プロジェクトスタートから完成までのストーリーが紹介された。

2015年7

開発キックオフ

豊田社長の一言で動き出したこのプロジェクトはボートの大きさと初期のデザイン案を決める中で、「誰の設計」で「どこで作るか?」という検討から始まった。外観のスタイルデザインは、トヨタ社内のレクサスデザインチームが担当することになったのだが、そのデザインを設計し、カタチにする企業を選定する必要があったのだ。
企業選定に当たっては、トヨタマリンの中で幾度も熱い議論が交わされ、その結果、構造などの基本設計はイタリア、生産をアメリカのマーキー&カーバー社で行うことで合意した。そして、2015年7月にはついにキックオフミーティングが開催され、ミーティングでは当時の友山専務が直々に激励に訪れ、協力企業に対してトヨタがこのボートにかける本気度を伝えたのである。
開発を始める前には田原工場でレクサス製造現場の視察も行われ、「レクサス品質」に対する関係者による考え方の共有も図られた。そして、プロジェクトが始まって5ヶ月が経過した同年12月には1分の1モックアップモデルができあがり、スタイル確認と内装の詳細決めが始まった。この工程ではデザイナーと開発担当者達の間で、家具の形、色、柄などがレクサスのテイストを加えながら一つ一つ慎重に決まっていったのである。

徹底した生産管理

2015年の夏から動き出したLEXUS Sport Yacht Conceptの開発は年が明けた1月には型の制作に着手、3月にはハルができあがり、本格的な組立が始まった。この工程では確実に「レクサス品質」を実現すべく、トヨタから3人のエンジニアがほぼアメリカに常駐状態となり生産を監督していた。こうした徹底的な生産管理体制により、LEXUS Sport Yacht Conceptは高いクオリティで生産されていくのであった。

搭載エンジンの開発

LEXUS Sport Yacht Conceptのエンジン開発は冒頭7月のキックオフミーティングよりも更に前、開発企画ができた時点から既に始まっていた。搭載されるエンジンにはレクサス最高峰の高回転、高出力を誇り、LC500、RC-Fなどにも搭載される2UR-GSEを選択。 このエンジンをボートに搭載するためマリナイズすべく、開発委託先の選定が行われ、マリナイズ部品の設計・製造はレースチームで有名なサードの関連会社シグマオートモーティブ、ECUとハーネスの設計はトヨタテクニカルディベロップメント、そして、制御適合チューニングは豊田自動織機に依頼することになった。
マリナイズする過程では様々な課題を乗り越え、クルマ用のエンジンの改造・強化に成功し、マリナイズされた専用エンジンが完成したのである。

2016年8

カップリング・塗装

ハル完成の後、組立作業は順調に進み、8月頃にはデッキをかぶせる「カップリング」の作業段階に入っていた。全長12m以上、横幅3.9mもあるハルとデッキは全て曲線状になっており、誤差なく合わせるのは至難の技だが、マーキーの職人たちは事もなげに、ピタリと合わせてしまった。また、開発担当者達が一番神経を使ったポイントはボート外観のグラマラスな曲面形状で、ゆがみやひずみが無いように仕上げつつ、左右のバランスを均等に保っている。全体の形自体はNC加工で作った型によりできてはいるが、最後の仕上げは手作業での磨きあげが必要なため、バランスを取りつつ調整していくのは非常に繊細な作業であった。それでも、根気強く現地の職人とやりとりを重ね、丁寧に磨きあげを繰り返すことで、ついに理想的な形を造ることに成功したのである。その後、行われた塗装工程も順調に進み、シルバーとゴールドを基調に美しい色合いで塗装されていった。
外観の曲面形状と船体塗装が完璧に仕上がったことで、LEXUS Sport Yacht Conceptは見た目ではほぼ完成という段階にまで到達したのであった。

2016年9

ついに完成

長きに渡るプロジェクトもいよいよ塗装が終われば後はエンジンのチューニングのみだ。9月下旬にはミシガン湖グリーンベイにあるサウスベイマリーナで初めて水に浮かべられ、事前に適合した制御確認とチューニングを完了させ、ついに完成の瞬間を迎えたのである。その後、陸路でマイアミ入りし、2017年1月に世界中から高い注目を集めたマイアミでのローンチイベントで世界初公開されたのである。マイアミでのローンチイベント以降、LEXUS SportYacht Conceptは日本のボートショーでもボートオブザイヤー特別賞を受賞する等、高い注目を集め続けた。今回の海ゼミではそんなLEXUS Sport Yacht Conceptの開発から完成に至るまでの過程や開発担当者達の仕事にかける情熱が分かりやすく伝えられていたのである。

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