技術革新が進むボートの世界
近年ボートの技術革新が進むに当たり、クルージングの負担を減らすオートパイロットや嫌な横揺れを防ぐジャイロを搭載したボートを多く見かけるようになった。
また、釣りのシーンにおいては最新鋭のGPS魚探やレーダーが確実に釣果アップに貢献しており、クルマだけでなく、ボートの世界でも日々優れた最新技術の開発が進められている。こうした技術は船長の負担を減らし、最大限のサポートまでしてくれるのである。今回は釣りガールの永浜いりあさんが、1軸TVASを搭載したPONAM-28Vに乗船し、実際に釣りを楽しみながらその優れた機能を体感した。
- 永浜いりあさん自らPONAM-28Vのハンドルを握る一幕も。 凌波性抜群のハイブリッドハルは柔らかい乗り味も特徴の一つで、乗っていて本当に疲れにくい。
- PONAM-28Vに搭載された1軸TVAS。操作も簡単で、ボタン一つで船体の位置をコントロールできる優れものだ。
ターゲットは真鯛とホウボウ
出発地点となったのは神奈川県横須賀市にあるシティマリーナヴェラシス。ここからボートに乗って約20分で真鯛やホウボウが釣れそうなポイントへと移動する。撮影は寒さの厳しい冬に行われ、この日の最低気温はマイナス3度を記録。海上には時より冷たい風が吹き、多少波もあったせいか、ボートのポジションキープに手を焼きそうなコンディションであった。
- 除湿機能付きのマリンエアコン完備で、冬でも暖かい。
- 船内は静粛性も高く、移動中の会話もしやすい。
しかし、GPS魚探を見てみると、既にボートの真下には明らかに魚の反応がある。ここを何度か探ることができれば、簡単に釣果がでそうである。しかしながら、当日は潮の流れも速く、タイラバを落としても反応がある場所を攻められる回数は多くなさそうだ。
当然ボートというのは風や潮によって流されてしまい、自然とポイントからも離れてしまうのだが、こんな状況下でこそ1軸TVASのバーチャルアンカーモードBの出番である。
バーチャルアンカーモードBはGPSにより船体位置を検出し、コンピュータ制御で、船首を風や潮流の方向へ向け、一定の位置に船体を保持してくれる機能だ。たとえ風や潮流が変化しても、船首方向を自動で調整してくれる為、エンジンの回転数をムダに上げることもなく、低推力、低燃費、低騒音で船体の位置を保ち続けてくれるのである。
早速このモードを使うと、タイラバを落としたい位置でボートがしっかりと止まってくれた。そして、タイラバを落とすこと僅か数投目には、いきなり永浜さんの竿に魚がヒット!絶妙のタイミングで合わせのフッキングを決めると、数分のファイトの後には型の良いホウボウが上がってきた。
このように、魚探の反応が出たポイントの上でボートをキープすることさえできれば、必然的に釣果アップの可能性は高まるものなのである。
東京湾でシーバスを狙う
このままの勢いで次は真鯛といきたかったが、肝心な真鯛の食い気が殆んどなく、海況も悪くなってきたため、東京湾内に移動し、シーバスを狙うことにした。大きな橋の周辺や岸壁沿いにはシーバスがいそうな雰囲気がプンプンしている。
ここでは橋脚や岸壁に沿ってボートを流すことで釣果率をアップできると考え、バーチャルスパンカーモードとバーチャルコンパスモードを試してみることにした。バーチャルスパンカーモードは船首が常に風上に向くように自動で制御され、流される方向や速度までコントロールできる機能で、まるでスパンカーを使った時のような流し釣りが快適に楽しめる。
バーチャルコンパスモードは風向きや潮流に関係なく、指定した方向に船首を保持することができ、流される方向や速度もコントロールすることができる機能である。
この2つの機能でシーバスを狙うと、スパンカーモードでは風を交わしながら橋脚を丁寧に攻めることができ、コンパスモードでは船首を希望する方向に向け、岸壁と適度な距離感をキープしながらキャスティングを繰り返すことができたのである。
すると計算されたかのように、永浜さんの竿に続けざまにシーバスが掛かった。
やはりポイントをイメージ通りに攻めることさえできれば、シーバスの目の前にルアーを通す回数も増え、結果的に釣果アップにも繋がるのではないかと感じた。
- バーチャルスパンカーモードとコンパスモードを使い分け、シーバスも2本ゲット。
- 撮影をサポートしてくれた神奈川トヨタ商事の松田さん。釣りの腕前はとても高く、この日は短時間で簡単にシーバスを釣り上げてしまった。