モビ・レポ!モビリタを体験したゲストが語る安全の話 クルマ雑誌「ahead」プロデューサー 近藤正純・ロバートさん 後編 近藤正純・ロバートさん
近藤正純・ロバート プロフィール
職業:出版社社長
生年月日:1965年3月19日 血液型:A型
好きな言葉:それを夢見ることができるならば、あなたはそれを実現できる
       (ウォルト・ディズニー)
関連サイトはこちら ※外部サイトへリンクします。
「ahead」ホームページ: http://www.ahead-magazine.com/index.html
ツイッター: http://twitter.com/RobertKondo
近藤正純・ロバートさん
1.安全は自分から取りに行くもの 2.クルマとの付き合い方
さまざまな分野で活躍するゲストを「モビリタ」に招き、プログラムの印象と共に自分なりの交通安全を語ってもらう「モビ・レポ」。前編に続き、自動車雑誌「ahead」のプロデューサー、近藤正純・ロバートさんの体験記をお届けする。
前編は講習の感想について伺ったが、後半はまず、日本と世界の安全に対する考えの違いから聞いてみた。近藤さんはアメリカ生まれ、イギリス育ちで、大学卒業後に留学経験もあり、現在も仕事で頻繁に海外に飛ぶ。当然ながら、外国でドライブすることも豊富だからだ。
何もしないは安全じゃない
「日本だと、音楽を聞き、ケータイでメールを打ちながら、周りを見ずに道路を渡っている人とかがいるじゃないですか。絶対に自分は轢かれないと信じ込んでいるんでしょうけど、このままブラジルに連れて行ったら、1日で命を落とすんじゃないかと思ってしまいます。海外にはもっと危険な場面がたくさんあって、自分の身は自分で守らなきゃいけないという意識が日本人より高いと感じます。」
日本では何もしないことが安全、その場から遠ざかることが安全と考える空気があることを近藤さんは問題視しており、安全はむしろ自分から取りに行くものだと強調していた。
「テレビで料理教室を見ていたら、その先生は子供に豆腐を切らせるとき、手のひらに乗せ、さいの目に切らせていたんです。扱いを間違えれば少し手を怪我するかもしれないけれど、こうした経験を経ないと包丁使えるようにはならない、と言っていました。これこそ正しい考え方で、日本で一般に言われる安全の考え方だと、包丁を使わないようにしようという話になるのかもしれない。でもそれはおかしくて、これ以上の勢いで切ったら手が切れる、これぐらいでやれば大丈夫という体験を小さい頃にさせることで、その後の安全が確保されるのじゃないかと。危険だからクルマに乗りません、家から出ませんという考え方は、真の安全ではないし、よりよく生きるということにもつながらないと思います。」
photo日本人ならレースをやったほうがいい
実はモビリタでも、「攻撃的に安全を取りに行く」という言葉をよく使っている。これだけクルマが多く走っているのだから、いつかは必ず事故に遭遇しそうになる。そのときに待っていてはダメで、攻撃的にまわりを見て、攻撃的に周りの人を助けることが、安全につながるという考えだ。
「レースを始めたらまわりを見る余裕が生まれたんです。ブレーキをちゃんと踏むとか、カーブでこれ以上頑張るとスピンするとか、能動的に考えながら運転するようになった結果、安全運転ができるようになった。日本は自動車大国なんだし、すばらしい施設がたくさんあるんだから、国を挙げて全員がレースをやったほうがいいんじゃないかと思うぐらいです(笑)」
レースは医療設備などが完備している中で、クルマの限界を探っていける。安全に危険な体験が学べる絶好の場である。この世にクルマがある以上、それをきちんとマネジメントできる体験を増やすことが重要というのが近藤さんの主張だ。
「日本全国でスピード制限を10q/hぐらいにすれば、たぶん事故は減るんでしょうけど、そうやって事故を起こすようなシチュエーションを取り除いていくと、それに対応できない人をたくさん生むことになる。それこそ危険な話です。どう対応すればいいか理解することが、実はすごい大事じゃないかと。そのためにはまず体験をしなきゃいけないのに、危険を取り除く方向に向かっている教育が、逆に危険だと感じています」
photoカッコいいおばあちゃん
安全は能動的なものであって、受身的にクルマが勝手にやってくれることではなく、人が原点にあると考える近藤さん。ではクルマの進化についてはどう思っているのだろうか。返ってきた言葉は、われわれの予想を超えたものだった。
「日本は超高齢社会に入っていて、将来的には60歳以上の人が半分近くになるといわれています。実は少し前に母が亡くなったんですが、頭は冴えているのに体がいうことを利かなくなって、仕事ができなくなり、病院に入院してしまったという状況でした。もしトヨタのi-REALみたいなパーソナルモビリティがあれば、移動の自由が確保されて、もっと社会参加ができました。日本はこの分野で世界一を目指すべきと考えているんです。安いクルマが新興国から出てくる中で、日本が差別化を図るなら、お年寄りがイキイキとそして安全に移動できる乗り物を作るべきだと。国策としてやってほしいと希望しています」
現在の福祉車両は、運転できる人を予約して、お手伝いさんに乗せてもらわなければ移動できない。他人の手を煩わせないと行きたいところに行けない現状では、お年寄りや体の不自由な人はハッピーではないというのが近藤さんの見解であり、自分で移動できる乗り物を実用化することこそ最良と提案していた。
「この前i-REALに試乗させてもらいましたけれど、バイクに乗っているような感じで、けっこう楽しかったです。あのような新しい乗り物が出てきたら、日本の将来も明るくなるんじゃないかと思うんです。それにi-REALに乗っているカッコいいおばあちゃんがいれば、自分もそういう歳の重ね方をしたいと思う若者が出てきて、クルマに目を向ける人が増えるのではないかという気もしています」
photoイキイキした大人がいること
若者とクルマとの関係については、地方の若者はけっこう乗っているし、経済状況が芳しくないという理由で購入まで行かないだけで、「クルマ離れ」というフレーズはマスコミが作り上げた言葉だと反論する近藤さんだが、一方でカッコいいクルマが不可欠であることも同時に強調していた。
「ただ若者に媚びて、いろんなサービスプランを用意したりすれば需要が伸びるかというと、必ずしもそれだけではないという気がします。やっぱり若い人たちが本気でカッコいいと思うものを出すことが大切じゃないかと」
もうひとつ、自分たちの世代がしっかりする必要もあるという言葉も聞かれた。
「われわれ40代あたりがカッコ悪い乗り方をしていると、憧れの対象にならない。それで興味が湧かないというのはあると思うんですよ。自分が子供の頃には、カッコよくクルマに乗っているオジサンがいて、『ああなりたいな』と思わせてくれたような気がします。いまの40〜50代が、長年の不況で元気がなく、カッコよく見えないとすると、あんな風になりたくないという感想を抱いている可能性があるかもしれない。イキイキした大人がいることがすごい大事じゃないかと」
坂本龍馬がブームになっているのも、この状況と関係があるという。時代が不透明で、何が正解かが見えないから、自分が信じることにまっすぐに進む龍馬のようなリーダーを求めているんじゃないかというのが近藤さんの考察だ。
「イギリスのグッドウッドで開催されたクラシックカーイベントに行ったとき、昔F1に出ていたような往年の名ドライバーが、みんな60〜70代なのに、ものすごい自信に満ち溢れていました。何千万円もする旧車を全開で飛ばして、けっこうぶつけたりもして、『これは直すのにお金かかるなハハハ』と笑っているんです。見ていてカッコいいんですよ。そういった信念を持って行動している大人が減っていることが問題じゃないかという気がするんです。スポーツカーに乗りたいと思ったら、僕みたいに妻が欲しいクルマを買うのではなくて(笑)、『我慢してこれに乗れ!』と言えるぐらいじゃないとダメなのかもしれません」
NEXT クルマとの付き合い方
モビ・レポTOP
サイトマップ リンク 個人情報の取り扱いについて
(C) TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.