 
危険を安全に体験する、つまりクルマの限界を超えた状態を体験させるという内容を自動車メーカーが運転講習のメニューに盛り込んだことについて、黒川さんらしい例を挙げながら?こう表現した。
「たとえば男女の間でも、ここまでのアプローチだったら安全だけれど、その安全ラインを超えることで深い関係に入れたりできるわけですよ(笑)。人間関係っていうのは、常にそうじゃないですか。親しい人同士でも、ここまで言うと怒るっていうのがあるし。人柄とか、関係の深さとか、そのあたりを敏感に感じながら、言い過ぎないように心掛ける。でも逆に、『おい、おまえ!』なんて言ってみたりすると、それがいい感じになったりもする。クルマもそれと同じなんですね。だから哲学って言っているんです。モビリタなら失敗してもいい、ともかく一度やってみないと、どこで限界を超えるのか分からない。ここなら失敗しても事故にならないので、思いきり走らせてむしろ気持ちいい体験ができます」
そして実際の講習でクルマの限界を超えた状態を体験し、クルマの性能の進化にも驚きを感じたようだ。
「高速フルブレーキングや低ミュー路走行については、一度は体験したほうがいいと思っていました。しかし高速フルブレーキングは、試す場所がないんですよ。高速道路で急ブレーキなんかできないじゃないですか(笑)。それを体験できたんだから、最高ですよ。でももっと恐ろしいかと思ったら、いまのクルマは性能がいいんですね。さほど怖い思いをせずに高速フルブレーキングを掛けられたし。低ミュー路ブレーキングでは、あんな急ブレーキでもABS(※1)のおかげで障害物を避けることができたのはビックリです。絶対にそのまま真っすぐ行くと思っていましたから。昔のクルマよりも全然進化していることを教えられましたね」 |