モビ・レポ!モビリタを体験したゲストが語る安全の話 建築家・プロダクトデザイナー 黒川雅之さん 前編 黒川雅之さん
黒川雅之 プロフィール
職業:建築家、プロダクトデザイナー
生年月日:1937年4月4日
代表作:GOMシリーズ(ニューヨーク近代美術館永久コレクションに選定される)
受賞歴:毎日デザイン賞、グッドデザイン金賞、など受賞多数
関連サイトはこちら ※外部サイトへリンクします。
ブログ「曼荼羅紀行」:http://www.designtope.net/kurokawa/
ホームページ「黒川雅之建築設計事務所」:http://www.k-system.net/
黒川雅之さん
1.環境と人とクルマ 2.安全とクルマの楽しさ
photo安全のラインを超えることで分かることがある
危険を安全に体験する、つまりクルマの限界を超えた状態を体験させるという内容を自動車メーカーが運転講習のメニューに盛り込んだことについて、黒川さんらしい例を挙げながら?こう表現した。
「たとえば男女の間でも、ここまでのアプローチだったら安全だけれど、その安全ラインを超えることで深い関係に入れたりできるわけですよ(笑)。人間関係っていうのは、常にそうじゃないですか。親しい人同士でも、ここまで言うと怒るっていうのがあるし。人柄とか、関係の深さとか、そのあたりを敏感に感じながら、言い過ぎないように心掛ける。でも逆に、『おい、おまえ!』なんて言ってみたりすると、それがいい感じになったりもする。クルマもそれと同じなんですね。だから哲学って言っているんです。モビリタなら失敗してもいい、ともかく一度やってみないと、どこで限界を超えるのか分からない。ここなら失敗しても事故にならないので、思いきり走らせてむしろ気持ちいい体験ができます」
そして実際の講習でクルマの限界を超えた状態を体験し、クルマの性能の進化にも驚きを感じたようだ。
「高速フルブレーキングや低ミュー路走行については、一度は体験したほうがいいと思っていました。しかし高速フルブレーキングは、試す場所がないんですよ。高速道路で急ブレーキなんかできないじゃないですか(笑)。それを体験できたんだから、最高ですよ。でももっと恐ろしいかと思ったら、いまのクルマは性能がいいんですね。さほど怖い思いをせずに高速フルブレーキングを掛けられたし。低ミュー路ブレーキングでは、あんな急ブレーキでもABS(※1)のおかげで障害物を避けることができたのはビックリです。絶対にそのまま真っすぐ行くと思っていましたから。昔のクルマよりも全然進化していることを教えられましたね」
photo予防安全技術の意義
黒川さんの言葉にあるとおり、近年のクルマの安全性能が大幅にレベルアップした理由のひとつには、ABSやVSC(※2)といった電子制御デバイスの存在がある。ではなぜこうしたデバイスが生まれたのか。黒川さんは再び「関係」という単語を持ち出しながら、持論を展開した。
「2台のクルマが同じ方向に、同じスピードで走っているときは、ゼロの関係なんです。だから怖くないんだけど、差が大きいと、どんどん怖くなりますよね。そういう意味では、対向車とすれ違うのがいちばん危険なんです。道路がよくなり、相対的なスピードがどんどん速くなって、異次元に入り込んでいます。そういう変化が、クルマの安全性能を高める理由になっているのかなと思います。その中でタイヤと路面との関係をどう制覇するかということで、ABSやVSCが生まれてきたんでしょうね」
モビリタを体験したことで、自動車メーカーの安全技術に対する努力が圧倒的であることを知ったという黒川さん。安全運転を習得する日であったが、同時にクルマの技術の進化にも感動した様子だった。
photo<安全>と<楽しさ>をどう両立するか?
電子制御デバイスの話の一方で、運転でいちばん楽しいのは自分で車両の姿勢を自在に制御することにあるという発言もあった。40年間もポルシェに乗っているという黒川さん、ドライビングプレジャーの真髄にもこだわりがあるようだ。
「モビリタの低ミュー路は面白かった。じょうずなドライバーは、たぶん目ではなく、タイヤの滑り方で、路面がどんな状態かを敏感に感じ取り、ハンドルをスッスッと操作しているんでしょう。ものすごい感受性豊かに、情報をいっぱいキャッチしながらコントロールしていると思うんです。ふつうの人が街で試してはいけないことですが、こういうコースの中で体感するのは最高だと思いますよ。それもクルマの醍醐味のひとつですからね」
その楽しさを安全とどう両立するか。未来のクルマ社会で課題とされるテーマのひとつだ。このテーマに対して、黒川さんはこんな提言をしてくれた。
「乗ってドアを閉めれば、何もしなくても、自動運転でどこへでも連れて行ってくれるような自動車の時代がくると思いますよ。そういう時代のことを考えれば、まずはABSやVSCのような技術開発をどんどん進めていくべきじゃないかと考えているんです。でもそれとは別に、この場所は自由エリアっていって、何の装備もないクルマで、純粋に運転を楽しむ。ドキドキ、ワクワクをそこで追求する。日常生活で事故を起こしては問題なので、この二つを別々に作ればいいんじゃないですかね」

日常的なシーンを例に挙げてやさしく解説したかと思えば、哲学的な表現で本質に迫っていく。セーフティドライブが相手でも、「黒川節」はそのままだった。しかしこれはまだ序の口。後編では、日本のクルマ作りやクルマ社会、カーデザインなどについて、さらに深く濃い、黒川さんならではの語り口でお届けする予定だ。

※1 ABS(Anti-lock Brake System)について詳しくはこちら
▼安全のススメ「心のなかにもブレーキを」
http://www.toyota.co.jp/mobilitas/anzen/vol06_1.html

※2 VSC(Vehicle Stability Control)について詳しくはこちら
▼安全のススメ「安全運転とVSC」
http://www.toyota.co.jp/mobilitas/anzen/vol19_1.html
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