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モビ・レポ!モビリタを体験したゲストが語る安全の話 建築家・プロダクトデザイナー 黒川雅之さん 後編 黒川雅之さん
黒川雅之 プロフィール
職業:建築家、プロダクトデザイナー
生年月日:1937年4月4日
代表作:GOMシリーズ(ニューヨーク近代美術館永久コレクションに選定される)
受賞歴:毎日デザイン賞、グッドデザイン金賞、など受賞多数
関連サイトはこちら ※外部サイトへリンクします。
ブログ「曼荼羅紀行」:http://www.designtope.net/kurokawa/
ホームページ「黒川雅之建築設計事務所」:http://www.k-system.net/
黒川雅之さん
1.クルマを取り巻く環境 2.今後のクルマづくり
さまざまな分野で活躍するゲストを「モビリタ」に招き、プログラムの印象と共に自分なりの交通安全を語ってもらう「モビ・レポ」。前編に続き、黒川雅之さんの体験記をお届けしよう。
photo街づくりを変えれば安全性が高まる
前編でも紹介したように、黒川さんは73歳の現在も、自らハンドルを握って移動する。見た目もこのとおり、とても70代には見えない。しかし今回の講習では、若い頃との違いを感じた部分もいくつかあったという。
「歳を取ると、認知、判断、操作にどうしても時間を要するんです。目で危険を見て、脳でハンドル切るかどうかなどを判断して、具体的に操作するまでに、時間が掛かってしまう。それを実感しましたね。だから明日以降は、今以上に車間距離を空けて運転しようと思っています」
その一方で、超高齢社会を迎えた今の日本における、ベテランドライバーへの対応には強い問題意識があるようだ。
「近頃は高齢者の自動車保険の料金が、年齢が上に行くほど高くなる傾向にあるんです。どうして年齢で区切るのかなあと。人によって差がいっぱいあるわけじゃないですか。あと、歳取ったら運転免許を返せだとか。もう少し考えてほしいなと。お年寄りの事故が大変多いというデータが理由のようですけど、年齢だけで区切る考え方は間違っているんじゃないかと思うんですね」
黒川さんの提案は、「街づくりを変えれば安全性が高まる」というものだ。そのためにはまず、子どもが安全に生活できる街を目指すことが近道であると語った。
「アルド・ファン・アイクというオランダの建築家が、こう言っているんです。『都市は子どものために作らなきゃいけない』と。子どもがハッピーな都市であれば、間違いなくお年寄りも、それ以外の人にもハッピーな街ですよと。だから自分も街づくりを考える上で、子どもの視点を大切にしているんです」
photo人間には、本来自分の行動をコントロールする能力がある
もうひとつ、黒川さんは日本の道路の速度制限の決め方にも疑問を呈した。
「初めてアウトバーンを助手席で体験したとき、ここには自然主義的な合理性が存在しているんだと思いました。今では随分減ったらしいですが、一部速度制限がある区間を除けば、追い越し車線はフリーで、速度無制限で走っていました。おかげで遅いクルマは追い越し車線へ出て行かないんですよ。制限がないことを知っているから。飛ばすときだけさっと出て、そうでないときにはさっと戻る。道路というのは制限がないときに、秩序ができることを知ったんです。そういう考えが日本にはありませんよね。全部上限100q/hで制限している。100km/hだったらオレだって出せるというという人が多いから、どんどん追い越し車線に入ってくるんです。人間の本能的な感覚を信じていないんですよ」
人間には本来、自分の行動を自動的にコントロールする能力があるのに、事故を起こさないことを重視するあまり、詳細なルールが出来る。そのために人間が持つ自動的な秩序が奪われてしまっているのではないかと黒川さんは危惧した。
「建築の分野でも似たような体験がありますよ。老人用の施設を設計するときに、螺旋状の滑り台を数メートルおきに付けなさいという法律があるんです。火事が起きたとき、お年寄りが素早く逃げられるように。1本600万円ぐらい掛かるんです。でも完成後、『これは危険だから使わせないでください、はしご車で救出に行きますから』と言われます。じゃあ付けるの止めましょうといっても、法律だからそれは出来ないと言うんです」
ルールを決めて良い社会にしようという考え方も、もちろん重要である。しかし消防法の例にもあるとおり、ルールばかりでもさまざまな問題が生じる。そもそも人間には自分を守り人を守る本能があるのだから、人間をもっと信頼してほしいということを強調していた。
photo建築の発想を応用してクルマを設計してみたい
ではクルマについて、黒川さんはどんな考えをお持ちなのだろうか。本職である建築やグラフィックデザインとの共通点について、まず伺ってみた。
「前編で道具の話をしましたが、建築もひとつの道具だと思います。ちなみに僕の建築は、いつも皮膚から発想をしているんです。カッコいい外観から考えるのではなく、自分のまわりから、窓を通して、外へ向かってずーっと放射線状に考えていく。ですからその考えを徹底して、一度クルマを設計させていただきたいなあという感じはしますね」
黒川さんは「茶室」をデザインする発想でクルマをデザインしてみたいという。
「茶室は座席が決まっているんですよ。お茶を立てる亭主の席や、正客の席が。クルマと同じですよね。それと茶室は部屋を作ればいいわけじゃなくて、そこから風景がどう広がっていくかも設計するわけです。岩や池が見える先に、東山が借景として入ってくるとか。クルマも同じように、運転席から風景が見えるじゃないですか。これも共通点なんです。茶室のことを『ミクロコスモス』と言うことがあります。極大な宇宙を極小化したという意味で。クルマもそんな世界になっているんです。ただ茶室の場合は、そこでコミュニケーションをする。でもクルマは移動が中心の設計になっていますから、話をするのは苦労しますよね。そのへんがもう少し改良されればいいと思います。茶室のことを数寄屋とも言いますし、数寄屋という名前のクルマを作りたいですね」
クルマには、「茶室」ならぬ「車室」があるが、黒川さんはリアシートについて言及した。
「今のクルマは移動の道具だから、リアシートが付いた4〜5人乗りのクルマが多いですが、ほとんどの場合リアシートは空いているか、荷物置き場になっているじゃないですか。だったらもうちょっと違うデザインができていいはずですよね。止まっているときには、運転中とは違って、リビングやスタディルームになるような。テーブルが出てきたり、パソコンが出てきたりして。それなら人と待ち合わせるとき、30分ぐらいなら車内で待とうという気持ちになるじゃないですか。あと仕事で使う大切な道具はストレージボックスに入れて、家族が乗るときはそれを外してイスに換えられるようにしたりとか。生活の中でのクルマの在り方というのを、真剣に考えるチャンスがあってもいいなあと思いますね」
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