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実は私、フィギュアスケートを観るのが趣味。自分ではペンギンが歩いているぐらいしか滑れないというか、歩いているぐらいしかできないのですが、生でリンクに観に行けなかったときは、テレビで録画してみるほどの大ファンなんです。そこで、フィギュアスケートの選手に、以前から一度聞いてみたかったことを伺ってみました。
- 竹岡:
- プログラムで失敗しちゃうときってあるじゃないですか。例えばジャンプで転んじゃったりとか。でも、気持ちの切り替えをパッとしないと、プログラムは続いていくわけでしょう。そういうときってどうしているのかなって、是非お伺いしたかったんです。私の場合、例えばレースとかでスピンしちゃうと、その先もレースは続くわけだから気持ちを立て直さないといけないのに、怖さを引きずっちゃったりするんです。
- 小塚:
- 気持ちの立て直しですか。何だろう、ひと言で言ったら、開き直るしかないですね。失敗したけど、次からちゃんとできたら、もしかしたらその1つの失敗だけで済んで、最終的にはちゃんとした点数がもらえるかもしれない。ここでダメだったから、次もダメだって、全部投げちゃったら、絶対に可能性がないわけだし、だから最後の可能性を信じてやるしかないですね。
- 竹岡:
- そこで開き直れるというのが、すごいですよね。
- 小塚:
- やっぱり練習をして、自信をつけて、で、ちゃんとやっていった上で失敗するのはしようがないじゃないですか。だから、そこまで思えるまで自信をつける練習する。で、ダメだったら、もうダメ。それで失敗するものは失敗するんです。
- 竹岡:
- ちなみに練習って、1日にどれぐらいするんですか。
- 小塚:
- 氷の上は、最近ちょっとずつ増えてきて、今4時間ぐらいです。(取材時2011年9月)
- 竹岡:
- 1日、4時間。毎日。
- 小塚:
- ショーに行っている間は、ショーの練習だけで、練習時間としてはちょっと少なくなりますけど、今はシーズンに入ってきたので、ちゃんと練習するときは、4時間ぐらいやってますね。
- 竹岡:
- 開き直れるまで練習か…。やっぱり違いますね。それと、最終的な点数と言えば、試合中に滑りながらプログラムを変えている場合もありますよね。ジャンプを2回転から3回転に変えるとか。
- 小塚:
- 最低限できることはしたいじゃないですか。ルールは決まってるんですけど、その中だったら何をしても別に問題はないので、ルールを頭の中に入れておいて、例えばコンビネーションジャンプだったら3回までで、3回連続を1回しか入れちゃいけないとか、で、繰り返しの数は決まっていて、それも今やったほうがいいとか、いろいろ頭の中で計算するんです。これは練習のときからちょっとずつ訓練してます。例えば失敗して、違うところでリカバリーができるという状況になったときに、その練習もしておくんです。そうじゃないと、実際に本番でやろうと思ったときに、頭の中がパニックになって真っ白になって、ぐちゃぐちゃになっちゃうこともありますから…。
- 竹岡:
- それって、今日のモビリタ体験と似ていますよね。もしも滑っちゃったら、じゃないけれど、体験しておくのが大事っていうところが。それともう一つ、緊張を解く方法をお聞きしたかったんです。例えば試合の前とか…。もしや、緊張しなかったり?
- 小塚:
- 緊張はします。緊張はしないと、集中できないというか。だからといって、緊張し過ぎると、頭が真っ白になってしまって、体ガチガチ…。ロボットみたいになっちゃうので、練習して、練習して、自分がなるであろうシチュエーションを全部シミュレーションして、で、これをやったらいけない、これをやったらいけないと削っていって、じゃ残ったものはこれだから、これさえやれば大丈夫というふうに絞っていく。それを全部揃えていくと、試合のときにちゃんと自信が出るんです。そう考えたら、去年はすごくいい状態に持っていけました。
- 竹岡:
- なるほど〜。私なんか験担ぎじゃないですけど、右側から靴を履くみたいなものくらいしかないですねぇ(笑)。
- 小塚:
- 僕も験担ぎはたくさん決めてたんですけれど、去年から全部なくして、部屋の掃除をするだけにしました。何かの本に部屋の掃除をすると心がきれいになるから、真っ白な気持ちでいられる。だから、部屋の掃除はしたほうがいいと書いてあったんです。僕の部屋、結構汚いので(笑)。
- 小塚:
- 試合に出ていく前は、絶対に部屋をキレイにして、カーテンも全部きれいにして、エアコン切って、完璧にして出ますね。
- 竹岡:
- 自宅もそうだろうけど、ホテルの部屋とかでも?
- 小塚:
- そうです。ホテルに着いて、バーッと荷物とか全部出して、かなり汚い状態にはなるんですが、試合の前に余裕があるときは1時間ぐらいかけて、部屋をきれいにして、ベッドメークまできちんとやってます。試合のときだけは別人で、他人の部屋みたいな感じ(笑)。験担ぎをあまりやり過ぎると、何々を忘れたとか、何々をやってないとかとなったときに、どんどん焦ったりしちゃうんでやめたんです。僕、結構忘れ物が多いので、いろんなものを験担ぎしちゃうと、どんどん増えちゃうんですよ。だから、ちょっとずつ減らしてますね。
- 竹岡:
- でも、今までやっていたのを減らすのも、また勇気がいりますね。
- 小塚:
- そう、勇気をもって、これはやらなくても大丈夫と思うようにしたんです。で、終わったときに、大丈夫だったら、そこからその験担ぎ要らないじゃないですか。そうやって、1つずつ減らしていきました。
- 竹岡:
- いっぱいやってたときは、どんなことをやっていたんですか。
- 小塚:
- 左足からリンクに入るとか。バスの中ではヘッドホンで音楽聞くとか。音楽を聞くことは悪いことではないでしょうけれど、別にそれを聞いてなくてもいいしって感じで、ちょっとずつ減らしているところです。
すべてのシチュエーションをシミュレーションする。つまり体験しておくのが、いちばん大切なことなんですね。初めてと一度体験したものは違うということころは、クルマの運転と似ているかも。 |