Formula TOYOTA


Press Release

2001エッソ・フォーミュラトヨタ・シリーズ第10戦(最終戦)・富士
_/_/_/2001 ESSO FORMULA TOYOTA SERIES ROUND 10 FUJI
  • 富士スピードウェイ/15周
  • 予選:11月25日(日)晴れ/ドライ
  • 決勝レース:11月25日(日)晴れ/ドライ/観客数:19,000人

予選での苦悩を吹き飛ばした横溝直輝
ポールシッター片岡龍也の連勝阻止して、有終の美を飾る!

FT20ファイナルバトル! 最後に勝利の女神に微笑まれるのは誰?
 このレースはエッソ・フォーミュラトヨタシリーズの最終戦であるばかりでなく、実はもうひとつの意味でのラストレースともなっていた。現行シャシーのFT20が使用されるのは今年限りで、来年からはFT30が用いられることになっているからだ。パドックにはほぼ最終段階となったプロトタイプが展示され、エントラントの注目を集めていた。
 ちなみに、主な変更点としてはモノコックがいよいよカーボン製となり、より剛性と安全性が高められることになった。これに合わせ、サイドポンツーンを除き、カウルワークとフロントウィングが一新され、見た目の印象も今風のフォーミュラカーとなった。エンジン、ミッションは流用されるものの、新たにLSDが組み込まれることになり、同時にタイヤもラジアルに改められる。
 開発を担当した土屋武士によれば、「FT20よりも圧倒的にいい。若手ドライバーがいろんなことを勉強できるような味つけになっているんで、きっとF3に上がった時に役立つと思う。今まで以上にね」とのこと。
 参戦を予定しているエントラントにとっては、デリバリーの時が待たれるところだが、気持ちよく新たなシーズンを迎えるためにも、この最後のレースで好成績を残し、勢いを保っておきたいところ。FT20によるラストレースが盛り上がりを見せることが、大いに予想された。

意外にもこれが初ポール。レコードラッシュの中、最後に来たのは片岡
 最終戦の舞台となった富士スピードウェイは素晴らしい好天に恵まれ、この時期として寒すぎず、むしろ程よい気温となっていた。これがタイムアタックには絶好の条件となったようで、予選ではレコードタイムの更新が相次いだ。
 まず最初に1分31秒台に乗せたのは、前回のウィナーであり、ここまで2勝を挙げている片岡龍也。チームメイトの平中克幸とスリップストリームを使いあって、タイムを短縮し続け、7周目には従来のレコードタイムだった31秒885を上回る。そして、その直後に平中が逆転。ただ、唯一誤算であったのは、そのアタック合戦に井上智も加わっていたこと。いったんはトップを奪われるも、ふたりとも31秒台を連発した後、片岡は最後のチャンスに井上を再逆転し、FT20での最後のレースに31秒402というレコードタイムを記すこととなった。
「ふたりでスリップストリームを使いあって、いい感じでタイムが出せました。コンディションもすごくいいし、今回もいいレースができそうです」と片岡。意外なように思うかもしれないが、ポールポジションを奪うのはこれが初めて。平中とのフロントロー独占はならなかったものの、ランキング2位を死守するには絶好のポジションとなった。なお、これに続いた井上、平中、そして友森雄一までがレコードタイムを更新し、5番手は河津光晴で、今季2度目の参戦となる小早川受黎が6番手につけている。
 一方、すでにチャンピオンを決めている横溝直輝だが、今回は7番手に留まった。「僕が走るとみんなスリップを使おうとゾロゾロついてくるし、いざ僕がスリップに入ろうとすると、アクセルを戻したりで、まともに走れたのはたった1周だけ。もう散々ですよ」と不満の様子を隠さず。富士ならば、この位置からでも十分勝つチャンスはあるが、ややナーバスになっているのは明らか。さすがに今回ばかり白線を強いられるものと思われていた。

これぞワンメイクバトルの神髄! 目まぐるしくトップが入れ替わる
 今回はトヨタ車の祭典とも言うべき、『TEAM TOYOTA MEETING in FUJI』のスケジュールの中に組み込まれ、久々のワンデイイベントとして開催された。そのため、予選から5時間足らずのインターバルを経て、決勝レースが行われた。
 スタートのタイミングは片岡も、そして横に並ぶ井上も、ほぼ同時タイミング。しかし、そこからの伸びにはやや井上の方が優ったこともあり、トップ奪取に成功する。とはいえ、片岡と平中もすぐ背後につけて、逃げ切りなど許さないとばかりに勢い十分。2周目には一気にふたりまとめて平中が抜きさってしまう。一方、その後方での4番手争いも熾烈だ。友森、横溝、吉村一誠、そして河津が縦一列。しかし、その中から横溝があっさりと抜け出し、3周目にはトップを争う集団のテールエンドに食らいつく。
 4周目から3周に渡って、平中、井上、片岡、横溝の順で続くも、再び均衡を破ったのは片岡で、10周目までトップを快走する。しかし、合わせてポジションを上げてきたのが横溝で、9周目には2番手に浮上。さらに同じ頃、後続の集団から抜け出してきた吉村も集団に食らいつき、今度はトップは5台で争われることとなる。

平中が痛恨のスピンアウト! そして、トップに横溝が躍り出る
 予選の苦悩はどこへやら。横溝が完璧に調子を取り戻していた。そして、11周目にはついにトップに立つこととなる。だが、勢い十分の片岡は、横溝の逃げをやはり許さない。12周目に再びトップに立って、あとは平中が続いてくるのを待つだけとなっていた。ところが、そうやってトップを争う5人の前に14周目、バックマーカーが登場。ちょうどヘアピンで遭遇してしまったのだが、これをかわすのに手間取った平中が痛恨のスピンを喫してしまう。
 このアクシデントは、横溝にとって好都合だった。トップに立てたばかりか、片岡との差をコンマ4秒に広げたからだ。それまでの周回は、誰がトップであろうとコンマ1秒にも満たない僅差であることがほとんどだったが、もはや勝ち慣れている横溝にとって、これだけマージンがあれば、完全に安全圏。ファイナルラップにはさらに差を広げて逃げ切りに成功。今季6勝目を挙げて、まさに有終の美を飾ることに成功する。
「もう2位なんかじゃ嬉しくない。それに内容も内容だったし」と、ランキング2位もものにしたにも関わらず、片岡は悔しそうに語り、「オーバーステアが少しあって、どうしても攻め切れなかった」と井上も久々の表彰台ゲットであったにもかかわらず、首をひねっていた。なお、4位は吉村が獲得し、5〜6位は名和克憲と柴田裕吉。それぞれ予選13番手、12番手からのジャンプアップとなった。

WINNER'S COMMENT
「クルマは完璧だったんです。だから勝てました!」
「クルマそのものは全然問題なく、むしろ完璧とも言える状態だったんで、予選は僕だけの問題で沈んじゃってました。悔しかったけど、しっかり気を取り直してレースに挑めたのが良かったんでしょう。何とか最後も勝ってタイトルに華を添えることができました。来年のことは聞こえてきてるんだか、聞こえてこないんだか、すごく微妙な状態だったのも、予選に影響しちゃったと思うんですが、どうあっても上(F3)に行きたいです。そこでまた大暴れしたいと思ってます。今年1年間、応援してくださった人たちにはホント、感謝の気持ちでいっぱいです。その御恩に応えるためにも、なんとか!」

WINNER'S PROFILE
チャンピオンは見事最終戦で有終の美を飾る!
横溝 直輝(Naoki Yokomizo)出身:神奈川県 生年月日:1980.6.27
 8戦5勝という高勝率で早々とチャンピオンを獲得した横溝直輝。どうしても、このようなパターンだと残りのレースで気が弛んでしまいがちだが、予選の苦境も乗り越えて横溝はさらに勝ち星を積み重ねることに成功した。
 12歳の時にカートレースを始めた横溝は、ホームコースの大井松田カートランドのSストッククラスで、デビューイヤーからチャンピオンを獲得。その後地方選手権、全日本選手権へと順調に歩み続け、'97年から2年に渡ってカートの最高峰クラス、FSAクラスに参戦。その当時、鈴鹿南コースが舞台のワールドカップに出場し、決勝こそエンジントラブルでリタイアするも、並みいる世界の強豪を従え、ポールを獲得した経験も持つ。
 フォーミュラトヨタには'99年より参戦。スポット参戦ながら時折光った走りを見せ、それが評価されて昨年よりフル参戦を決める。途中チームを移籍したりもしたが、最も自分にマッチした体制を得て本領を発揮。8戦中6戦でのポイントゲットの後、第9戦の富士で初優勝、最終戦でも3位につけて、ランキングでも3位を獲得している。この後半戦の快進撃が、今年チャンピオンを獲得できた、最大の原動力であるのは横溝自身も認めるところ。
 ここ数年ジンクスとなっていた「開幕戦を制した者は、その後勝ち星に恵まれない」を打破し、また今年1戦のみの開催となった筑波と美祢以外のサーキットではまんべんなく勝てたことは、横溝の評価をさらに上げはしても、下げることは決してないだろう。最後まで強い印象を保ち続けたドライバーが、来シーズンの新天地でも活躍することを期待せずにはいられない。
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