Formula TOYOTA


Press Release

2002エッソ・フォーミュラトヨタ・シリーズ第2戦・菅生
_/_/_/2002 ESSO FORMULA TOYOTA SERIES ROUND 2 SUGO
  • スポーツランドSUGO/17周
  • 予選:5月25日(土)晴れ/ドライ/観客数:12,100人
  • 決勝レース:5月26日(日)晴れ/ドライ/観客数:48,500人

エッソ・スカラシップドライバーが1-2フィニッシュ飾る
16歳のルーキー・平手晃平がデビュー2戦目で初優勝!

2年目の意地見せ、平手を阿部と小早川が囲い込む!
 柴田裕吉、平手晃平、そして池田大祐と、揃いも揃って10代のドライバーたちによって飾られた、開幕戦の表彰台。F1を筆頭に、フォーミュラカーレースは世界的に低年齢化の傾向を見せているが、エッソ・フォーミュラトヨタも例外ではないようだ。第2戦の舞台は、スポーツランドSUGO。ここでもティーンエイジャーたちの猛攻が続くかどうか期待された。
 澄み渡った青空の下、絶好のコンディションで行われた予選。しかし、その半ばには思いがけぬアクシデントが発生した。連勝狙う柴田のマシンから白煙が吹き上がり、コースにオイルを撒いてしまったばかりか、ピットに戻ってきたところで出火。柴田は9番手に相当するタイムをマークしたが、マシンのダメージは酷く、決勝への出場を断念せざるを得ず。
 また、このアクシデントはタイヤをじっくり温めて中盤以降、本格的にアタックしようと考えていたドライバーの行手を拒むことに。もちろん、限られた条件の中、ベストを尽くせたドライバーも存在する。アタック2周目にきっちりと1分24秒844をマークしたのは阿部伸次。それから間もなく平手も24秒台に乗せるも、コンマ08秒だけ届かず。以降はコースがオイルで汚れたため、ほとんどのドライバーがピットに戻り、もちろん、このふたりのタイムを上回る者も現れなかった。
「始まってから10秒ぐらい経ってからコースイン。たぶんタイミングは悪くなかったと思います。だけど、ベストタイムを出した次の周、もっといい感じだったんですが、引っかかっているんです。それさえなければ、さらにタイムを伸ばせたと思いますが、いずれにせよオイルが出ちゃったんで仕方ないですね。ポールは昨年の第9戦(富士)以来、2度目。だんだんクルマが良くなってます。新品タイヤがまだ残っているので、決勝はスタートから一気に差を広げたいですね」と阿部。2年目のドライバーがまさに意地を見せた。また、平手を囲むように、昨年ここSUGOでの第5戦で初優勝を飾っている小早川済瑠が3番手につけ、相性の良さをアピールした。
「頑張り過ぎて、1コーナーではみ出しちゃいました。タラレバですけど、それさえなければ、もうコンマ1?2秒は良かったと思います。まだコースにオイルが出る前でしたからね。でも、今回は期待してもらってもいいと思います。そのぐらい感触はいいので」と平手。なお、4番手は池田で、以下番場琢、名和克憲は、順番はともかくとしてトップ6は納得の顔ぶれ。これは決勝での激しいバトルが大いに予想された。


ポールの阿部にまたしても不運が。平手がスタートと同時にトップ浮上
 今季最初のみちのく決戦は、スタンドを埋めた超満員の観衆が見守る中で開催された。前日よりもやや雲はあるものの、引き続きスタート直前のコンディションは上々。なお、前述のとおり柴田が出走を取り消したため、以降のグリッドは繰り上げられている。
 スタート直前にまたしてもアクシデントが発生する。なんとポールシッターの阿部がフォーメイションラップに参加できず、マシンがピットに引き戻されたのだ。ピットスタートか? いや、ドライバーは無念の表情を浮かべ、早々とマシンを降りる。駆動系トラブルは阿部にとって前回に引き続き。なんたることか。
 これで一気に有利になったのが平手だ。しかし、前方の視界が開けた小早川にも絶好のチャンス。そして両者ともに好スタートを切る。1コーナーのインを小早川が刺そうとするも、平手はしっかりとライン重視で、逆転を許さず。池田、番場、名和を従え、1コーナーをクリアした。1周目終了時点での平手と小早川の間隔はコンマ7秒。まだセーフティマージンの範疇ではない。ここはなんとか小早川の抵抗を期待したいところ。
 しかし、小早川も後続との差を広げてはいたが、平手との差はなかなか詰まらない。その後続である番場は池田を3周目にかわして、3番手に浮上。さらに名和も離れず続き、しばらくの間、激しいバトルが繰り広げられた。一方、平手は初めて走るトップにもプレッシャーは全くない様子で、5周目、6周目と相次いで1分24秒台をマーク。6周目のそれは予選をも上回り、もちろんこの日のファステストラップに。今ひとつ追撃の決め手を欠く小早川だが、それには理由があった。シートベルトの一部が外れ、踏ん張りが効かない状態になっていたのだ。
 10周目のSPコーナー立ち上がりで2台が絡んで、コース上にストップ。そのため、セーフティカーがコースに入る。これで5秒にも及ぼうとしていたマージンを平手は失うが、リ・スタート、すなわちローリングスタートはつい最近までカートレースでお手のものとしていただけに、かえって好都合だったようだ。14周目にバトル再開、鋭いスパートを平手がかけたのとは対照的に、小早川は加速に鈍り、1コーナーで番場にかわされてしまう。


衝撃の展開、早くも2戦目にして。平手が初優勝、涙する小早川
 これで若きエッソ・スカラシップコンビが1-2フォーメイションを形成。ピットでは、関谷正徳監督を中心に大歓声が上がっていた。それから先は平手も番場も全く危なげのない走りを見せて、難なくチェッカーフラッグを受けることに。4輪レース経験わずか2戦のドライバーたちが、これ以上ない結果を残したのだ。ポディウムのまわりではスタッフのみならず、トヨタ関係者の多くが集まり、大歓声を平手と番場に浴びせていた。
 それとは対照的に、3位に留まった小早川はなかなかマシンから降りられない。よほど悔しかったのだろう、涙を隠すことさえ忘れていたほどに。「ベルトが外れて、ブレーキは安定しないし、踏ん張りは効かないし。でも外から見ている人には、そんなことは分からないですから??」と、小早川はそれだけ言うのがやっと。
 なお、4位争いも激しく、池田と名和とで最後まで接戦だったものの、今回ばかりはどうしても影が薄い。僅差ながらも池田は逃げ切ったが。6位は10番手スタートながら躍進遂げた井上智が獲得した。上位のふたり以外は、正直言って誰もが悔しい結果となった第2戦。次回のもてぎでは平手や番場が勢いづいたままなのか、悔しい思いをした者たちが、それを糧にできるのか、このあたりが焦点となるだろう。


WINNER'S COMMENT
「正直言って、自分でもびっくりしてます!」
「ポール(阿部伸次)がいなくなって自分が一番前からスタートするわけですから、抜かれちゃったらどうしよう、って心配がなかったわけじゃないんです。あんまりラッキーだとは思いませんでした。その割には前回よりいいスタートが切れました。トップに立ってからはどんどん後ろが離れていくじゃないですか? どうしたんだろうって気分でした。セーフティカーが入った時はせっかく離したのに損したなぁ、って思いましたが、ついこないだまでローリングスタートばかりしていましたから、それには不安はありませんでした。価値を意識したのは、リ・スタートが決まって1コーナー回った後にミラーを見たら、チームメイトがいた時。僕自身もこんなに早く勝てるとは思ってませんでした。正直言って、自分でもびっくりしています。シーズンの中盤以降だと思っていたんで(笑)」

WINNER'S PROFILE
期待の高校生ルーキー、2戦目にして衝撃の初優勝
平手晃平(ひらて こうへい) 出身地:愛知県 生年月日:1986.3.24
 もはや説明不要のスーパールーキーが、デビュー2戦目にして早くも初優勝を飾った。限定競技ライセンスによってレース参戦のチャンスを得た16歳の平手晃平、その実力は噂どおり、いや、それ以上だった。父親に見せられたF1レースのビデオがきっかけとなり、スピードの虜になったという少年がカートレースを始めたのは、今から4年前の98年。つまり12歳の時である。その類まれなる才能は翌99年には全日本ジュニア選手権にも挑ませたほどで、ここではチャンピオンに輝いている。2000年には全日本選手権のICAクラスに参戦、3勝を挙げてランキングでは3位に。そして昨年はFAクラスに挑み、2度表彰台に上がってランキングでは5位となっている。
 また、昨年は合わせてフォーミュラトヨタ・レーシングスクールも受講。とてもフォーミュラ未経験とは思えぬ走り、そして高い学習能力を見せたことから、関谷正徳好調を始めとする歴戦を誇る講師たちの目に留まり、スカラシップという貴重なチャンスを手にすることになった。トレーニング開始からしばらくは、当然クラッチを踏んだこともなければ、ギヤチェンジの経験もなかったことから苦労もしたというが、まるでスポンジが水を含むように、あっという間に多くのことを吸収していき、その結果、今回の結果へと結びついた。目指すはF1ワールドチャンピオンのミハエル・シューマッハ、そして記録だけでなく記憶にも残るドライバー。その第一歩をまずは確実に踏み出した。
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