Formula TOYOTA


Press Release

2002 エッソ・フォーミュラトヨタ・シリーズ第5戦・富士
_/_/_/2002 ESSO FORMULA TOYOTA SERIES ROUND 5 FUJI
  • 富士スピードウェイ/15周
  • 予選:7月27日(土)晴れ/ドライ/19,100人
  • 決勝レース:7月28日(日)晴れ/ドライ/観客数:51,000人

3戦連続のポールポジション獲得の小早川済瑠が、
決勝でもライバル寄せつけず、今季2勝目をマークする

本格的な夏の到来、今季2度目の富士決戦の決着やいかに?
 舞台を開幕戦以来の富士スピードウェイに開催された、エッソ・フォーミュラトヨタシリーズの第5戦。好取組の続くシリーズは、これでちょうど折り返し地点をクリアすることとなる。開幕戦では柴田裕吉が初優勝を飾り、2位、3位は平手晃平と池田大祐といったルーキーが獲得して、表彰台は実にフレッシュな顔ぶれとなっていた。金曜日までの練習では柴田がまたも絶好調。富士での連続制覇も十分ありそうなムードを示していた。
 しかし、舞台は同じでもコンディションには、もちろんのこと違いがある。5月の開催とあって、あの頃はまだ涼しくアタックにはより適した条件だった。もちろん、それから4戦を経て、FT30のセットアップも著しく進んでいるだろうが、すでに季節は本格的に夏に突入しており、気温もゆうに30度を超えていた。そのため、前回のポールタイム、1分32秒811がターゲットながら、それに達するのは不可能だと思われた。


記録にも、記憶にも残るドライバーに大前進、小早川がまたもポール!
 今季いち早く2勝目を挙げて、ここまでランキングのトップに立つのは話題の高校生ルーキー平手晃平。実際に、今年のシリーズでは最も高い注目度を誇っているが、ならば記録の樹立で目立とうと秘かに闘志を燃やしていたのが小早川済瑠だった。予選は完璧に柴田との一騎討ち状態になり、お互い意識し合いながら走るごとにタイムを縮めていく。
 終盤になって柴田が「これで決まったと思った」という1分33秒215をマークして逆転するも、その直後に小早川が再逆転! ターゲットには届かなかったものの、33秒097を叩き出す。さらに小早川のチームメイト、名和克憲もそれまでの自己ベストをコンマ5秒も短縮、柴田にあと一歩と迫るところにまでつけた。
「3戦連続のポールが取れて最高の気分! 最近、ちょっとなかったと思うんですよ、3戦連続っていうのは。で、ベストタイムの前に出した33秒3はスリップストリームを使わず、単独で出せたタイムなんでクルマの状態はすごく良かった。だから(スリップストリームを)使えれば、もっといけると狙いに行って、きっちりと間合いもとったんです。なのに電光掲示板を見たら柴田くんに抜かれていたので、少しムキになっちゃって。おかげでダンロップコーナーでミスしたから、コントロールラインのあたりで少し使えただけです。うまくいってればなぁ(笑)」と小早川。ポールを取っただけでは満足できぬとは、なんともぜいたくな話!
 なお、最近の記録だけ見ても3戦連続のポールは昨年のチャンピオン横溝直輝も、そして一昨年の後藤聡もなし得なかった快挙。コースを選ばぬ速さを小早川はアピールした。所属チームのル・ボーセ・モータースポーツにとって富士でのポール獲得は、意外にも7年ぶりだという。なお、前述のとおり2番手、3番手は柴田と名和が獲得し、4番手は池田大祐。連勝狙う平手は5番手から決勝レースに挑むが、「富士ならまだまだ優勝を狙えると思います」と諦めムードは少しもなかった。


今度はスタートも完璧に決めた小早川、再びランキングのトップに!
 前回の筑波ではスタートミスから、せっかくのポールポジションをフイにしてしまった小早川だが、今回も実は肝を冷やすシーンがあった。フォーメイションラップを終えてグリッドについた直後にエンジンがストールしたのだ! 一瞬、手も上げたというが、即座に気持ちを切り替え、エンジンを再始動。これがうまくいき、グリーンシグナルの点灯と同時に素早いダッシュを決めることに成功した。一方、これに続いたのは柴田と名和で、ここまでは予選順位のまま。そしてオープニングラップを終了した時点で4番手につけたのは、予選8番手だった番場琢。絶妙のスタートと激しいプッシュによって大きく順位を上がったものの、チームメイトの平手はスタートに出遅れて8番手に後退、立場を入れ替える形になってしまう。
 トップの小早川は早々と勝負をかけた。オープニングラップのマージンはコンマ6秒、それを3周目には1秒として後続にスリップストリームを使わせないように。2番手争いが激しくなっていたことも、より小早川を楽にした。柴田と名和が争う間に平手が番場の背後につける5番手に浮上。それが3周目のこと。スタートの遅れを取り戻そうと必死に攻め立てる平手は5周目の1コーナーで3番手に、そして次の周には番場をもかわして2番手に躍り出る。しかし、番場と柴田も全く遅れることなく続き、やがて一度は離れかけた名和、そして井上智も引き寄せ、5台は縦一列。
 ところが、8周目のダンロップコーナーで平手はダートに足を落としてしまい、その際にタイヤを汚してしまったことが災いし、最終コーナーでコースアウト。なんとかアクセル全開で姿勢を乱すことなく、コースに復帰できたものの、その間にバトルを重ねていた4台の先行を許してしまう。そのことはまたもや小早川にとっては好都合。2番手に返り咲いた柴田との差は、これで2秒6にまで広がったからだ。
 その後、柴田のプッシュは激しく、小早川との間隔を詰めたものの、逆転するまでには至らず。また後方の番場、名和、井上も終始等間隔。順位の入れ替わりなく残り周回をこなすに留まった。今季2勝目を挙げた小早川は、平手が6位に甘んじたこともあって、ランキングトップへの返り咲きにも成功した。


WINNER'S COMMENT
「シーソーゲームはもう終わりにしたいですね」
「実はスタート直前にエンジンをストールさせちゃいました! いったん手も上げたんですが、赤ランプ点灯直前になんとかかかって。これでホッとして、かえって冷静になれたように思います。スタートもうまく決まって、とにかく1周目から全開! 100Rが何故か砂っぽくって、みんな抑えているようだったから、そこは攻めどころと思って、早い段階から思いっきりいったのが良かったみたいです。前半プッシュした分、ちょっとタイヤがきつくなって後半に差を詰められたけど、抜かれる気は全くしませんでした。これで平手くんと2勝で並んで、ランキングはまたトップ。シーソーゲームはここまでにして、もう終わりにしたいですね」

WINNER'S PROFILE
持ち前の速さに、今、強さも磨き挙げられる時!
小早川 済瑠(Wataru Kobayakawa)出身:広島県 生年月日:1981.8.21
 平手晃平に続き、今季2勝目をマークし、その結果ランキングのトップに返り咲いた小早川済瑠。第3戦から3戦連続でポールポジションを獲得するなど、すでに速さは実証されているドライバーだが、ここに来て確実に強さも増してきた。前回のレースはスタートミスで敗北を喫したものの、同じ過ちを繰り返さなくなったのが、その何よりもの証明だ。とにかく自分に妥協を許さぬタイプのドライバーであり、この3戦連続ポールの間、まだ一度も納得のタイムと語ってはいない。
 その小早川の4輪レースデビューは昨年で、もちろん、このエッソ・フォーミュラトヨタにチャレンジ。しかしながら、それ以前にも豊富なカートレースでの実績があり、実戦デビューは94年からだが、実際に乗り始めたのは9歳の頃。レースに出場が可能になると、いきなりローカルシリーズではあったがチャンピオンを獲得し、その後も地元の中・四国地方選手権で勝ち星を重ね、翌95年には鈴鹿や猪名川のシリーズにも挑み、それぞれシリーズ3位、2位を得ている。その後、1年間のブランクこそあったが、貴重なチャンスをつかんで今日に至っている。
 昨年は1勝を挙げて、ランキングでは3位に。その時のサーキットはSUGOで、今年はさらにもてぎと富士に優勝経験を加えている。果たして今後勲章をいくつ、そしてどのサーキットに加えられるか。さらなる躍進に期待したい。
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