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2002 エッソ・フォーミュラトヨタ・シリーズ第7戦・セントラルパークMINE |
_/_/_/2002 ESSO FORMULA TOYOTA SERIES ROUND 7 CP MINE |
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平手晃平が初のポールを獲得! スタートの出遅れも何のその、 逆転で3勝目を挙げて、タイトル争いを再び盛り上げる! |
戦いの舞台を山口県・MINEに移し、激しいバトルが繰り広げられる!
前半戦を終えた段階では、小早川済瑠と平手晃平、そして柴田裕吉の三つ巴の様相が強かった、エッソ・フォーミュラトヨタシリーズだが、前回のレースでは平手も柴田も存在感こそ示したものの、苦戦を強いられたため、若干状況は変わりつつある。平手はスタートで出遅れ、さらに1周目のシケインで追突を食らい、最後尾まで後退。また、柴田はスタートでトップに立ちながら、スピンでやはり遅れていた。それでも平手は追い上げて7位入賞。柴田はノーポイントだったのが、あまりに痛い。 対照的に、4戦連続ポールポジションに成功した小早川は、スタートでこそやや遅れたものの、柴田のスピンでトップに躍り出ると、その後は全く危なげない走りを見せて圧勝。今季3勝目を初めての連勝で飾ることとなった。その結果、平手との差は23ポイントに、そして柴田には35ポイントの差をつけ、まさにランキングのトップを不動のものとしかけている。 さて、シリーズ第7戦の舞台は、今季初開催のMINEサーキット。国内屈指のテクニカルコースは、ストップ&ゴーが連続し、ドライビングにリズムを要することで知られている。また、その一方でオーバーテイクポイントも決して多いとは言えず、決勝もさることながら、予選での勝負も激しくなることが大いに予想されていた。 |
小早川、5戦連続ポールならず。初めてのポールを平手が奪う!
9月も後半に差しかかったというのに、夏が戻ってきたかのような好天に恵まれた予選。練習走行が行われた前日までとは明らかにコンディションも異なり、またこの日からはフォーミュラ・ニッポンのラバーがコースに張りつくことになる。タイムにもたらす影響は決して小さくないため、そのあたりを見越してほとんどのチームがセッティングを見直していた。ある意味、ギャンブルであり、チームの総合力が問われもする。 前回に引き続き、真っ先にコースに入ったのは平手、そして番場琢のふたりだった。が、すぐにピットに戻って左側のタイヤを交換。今回の予選は15分間と短いため、できるだけ多くの周回をこなしたいところ。だから、早くも決勝レース用にタイヤの皮剥きをしたというわけだ。このあたりの用意周到ぶりに、チームが明らかに勝ちを狙いに来ていることをうかがわせた。期待に応え、平手は2回目のアタックで1分27秒933をマーク。その後、誰も27秒台に突入することはできず、平手が初めてのポールポジションを獲得した。 「初ポールなんですよ、実は。いままで2番手はあったんですが、何度かフロントローにつけていた印象で、みんなに意外だって言われました(笑)。昨日の練習走行を終えて、じっくりとミーティングしてセッティングを変えることにしたんですが、これがピタリと決まりました。限りなくぶっつけ本番だったんですけどね。このコースは抜けないと聞いていますので、だからこそ余計にポールが取れて良かったです」と平手。 その平手に続くことコンマ13秒で2番手は池田大祐。「あともう少しだったんですけどね。でも、一発はともかくコンスタントでは平手君に負けていないんで、スタートで前に出られれば、勝ちます!」と必勝宣言も飛び出した。3番手は柴田で、4番手は番場。5番手にはこれがフォーミュラトヨタのみならず、4輪レースでのデビュー戦となる ![]() そして6番手はなんと小早川。「確かにセッティングには失敗しましたが・・・。今回は何も聞かないでください。でも、勝ちますから!」と自らを戒めるかのように、強く語っていた。 |
オープニングラップから大波乱。小早川が、やがて池田も。
日射しは強いのだが、気温はほどほどで過ごしやすかったあたりは、季節がすっかり秋へと移っていることの何よりもの証明か。何はともあれ、絶好のレース日和となった決勝レースは、かなり波瀾含みの展開になってしまった。 なんとポールポジションの平手がスタートに失敗。逆に絶妙のスタートを決めた池田がトップに浮上し、平手を従えることに。また4番手スタートの番場も鋭いダッシュを決めて、柴田とポジションを入れ替えていた。1コーナーこそ全車が難なくクリアしたものの、続く2コーナーでトップ集団が通過した直後に土煙が舞い上がった。なんとコースアウトしていたのは小早川!「思いっきり寄せられてきて、ダートに逃げるしかなかった。その直前に僕はクルマ1台分ラインを残したのに!」と憤まんやるかたない様子。しかし、ポイントリーダーが1周を走れずしてリタイアは、全く思いがけぬ事態だった。 一方、トップをいく池田は極めて順調。背後につく平手や番場より速いペースで、1周目、2周目を駆け抜け、徐々に差を広げつつあった。が、その順調ぶりが逆に仇になってしまう。最終コーナーの手前でオイル旗は出ていた。というのも、直前に2台が絡んでコースアウトするシーンがあり、その際に砂がまき散らされていたからだ。その量は池田の予想を超えていた。姿勢を乱しコースアウトする池田。その脇を難なく平手はすり抜けたが、戻ってきたところが番場のラインと重なっていたからたまらない、両者は不運にも激突し、池田はその場でストップ。番場はなんとかレース復帰なったが、フロントウィングを曲げ、完全に手負いの状態になっていた。 グランドスタント前にトップで戻ってきた平手は、2秒のマージンを獲得していた。2番手は柴田で、3番手は安田。だが、柴田が安田をその後も徐々に引き離していたのに対し、平手はなかなか柴田から逃げることができない。ペースは柴田の方が優っていたからだが、8周目にガクンとペースを落とした後、10周目に入ったところで突然ストップ。駆動系のトラブルだった。どうにも、このところ柴田にはツキがない??。 |
強敵の相次ぐ脱落で平手が圧勝。タイトル争いも再び熾烈を極め!
まるで前回の小早川と立場を入れ替えたかのようだった。手強き相手の相次ぐ脱落後は、平手に敵はいないも同然。しかし、追い掛ける者がいなくなったからといえ、平手は少しもアクセルを緩めようとはしなかった。むしろプレッシャーのない状態の中、どれだけ攻められるか試しているかのような走りで後続を徐々に引き離していた。これに続く2番手は安田。終盤戦にデビューは、本来ならば苦戦がつきものなのだが、レギュラードライバーに対しても全く臆することない堂々たる走りを見せつけ、3番手以下には着実な差をつけていた。 一方、その3番手争いは村杉潤と芝叔和の間で激しく繰り広げられていたが、辛くも村杉が振り切って初めての表彰台に上がることになった。ただし、「勝負を繰り返して得られた結果ではないので、内容には不満」と村杉。そして2位の安田も「序盤は思いっきり緊張していました。ちっとも自分の走りができず、納得のレースではなかったんですが、それでも2位という結果は悪くないですね」と、やはりやや渋い表情を見せていた。 表彰台の上で、ひとりとびっきりの笑顔を見せていたのが、言うまでもなく平手だった。今季3勝目を挙げ、なおかつ小早川がリタイアしたため、逆転こそならなかったものの、3ポイント差まで急接近は果たしてレース前に誰が予想していただろうか? 残るレースはわずかに3戦。小早川と平手の一騎討ちになった感は強いものの、タイトル争いは再び熾烈を極めることとなった。 |
WINNER'S COMMENT 「見ている人も面白いのでは。まだまだ分かりませんよ!」 「池田選手が飛び出した時は、思わず『よしっ!』って叫んじゃいました。オイル旗が出ていたし、コースが汚れているのが僕には見えたんで、もしかしたら、とは思っていたんです。ただ、巻き込まれるのだけは嫌だったんですが、思っていた以上に膨らんでいたので助かりました。でも、その後もしばらくは柴田選手も離れなかったんで、楽なレースじゃなかったですね。実はエンジンをそろそろオーバーホールしなきゃいけない時期なんで、無理もできず早めにシフトアップしていたっていうのもあったんですが。柴田選手がいなくなってからです、自分の走りができるようになったのは。とにかく集中力を切らさないように必死になって走っていました。これでタイトル争いもまた盛り上がりますね。たぶん見ている人も面白いんじゃないでしょうか。まだまだ分かりませんよ!」 WINNER'S PROFILE 再びチャンピオンの可能性が見えてきた、最年少での栄冠を目指す 平手晃平(ひらて こうへい)出身地:愛知県 生年月日:1986.3.24 今年のフォーミュラトヨタで話題を一手に集めている、高校生ルーキー平手晃平。初優勝はデビュー2戦目、そして16歳と2ヵ月という驚異的なスピードだった。第4戦で2勝目を挙げるも、その後の2戦はやや苦戦を強いられ、小早川済瑠の快進撃の影に隠れもしていた。が、その小早川が苦しんでいる間にしっかり巻き返しを計るあたりは、若き勝負師の証明。初めてのポールポジションを獲得したレースで3勝目をマークし、再びタイトル争いを盛り上げることとなった。 限定競技ライセンスによってレース出場が許された、スーパールーキー平手がレースに興味を持ったきっかけは父親に見せられたF1レースのビデオ。沸き立つ思いを堪え切れず、カートレースを始めたのは、今から4年前の98年、12歳の時である。その類まれなる才能は翌99年には全日本ジュニア選手権にも挑ませたほどで、ここではチャンピオンを獲得。2000年には全日本選手権のICAクラスに参戦、3勝を挙げてランキングでは3位に。そして昨年はFAクラスに挑み、2度表彰台に上がってランキングでは5位となっている。 また、昨年は合わせてフォーミュラトヨタ・レーシングスクールも受講。とてもフォーミュラ未経験とは思えぬ走り、そして高い学習能力を見せたことから、関谷正徳校長を始めとする歴戦を誇る講師たちの目に留まり、スカラシップという貴重なチャンスを手にすることになった。周囲からの強烈な注目にも奢ることなく、常にそのコメントは高校生らしくさわやか。笑顔の中に秘めた才能は、一体どこまで伸びていくのだろうか。その成長の過程を見つめていくことは、我々にとってもひとつの財産になりそうだ。このまま行けば、史上最年少チャンピオンの誕生も決して夢ではない。 |
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