Formula TOYOTA


Press Release

2005ESSO・フォーミュラトヨタ シリーズ第8/9戦・SUGO
_/_/_/2005 ESSO FORMULA TOYOTA SERIES ROUND 8/9 SUGO
  • スポーツランドSUGO/17周・17周
  • 予選/決勝第8戦:10月1日(土)曇りのち小雨/ドライ/観客数:5,600人
  • 決勝第9戦:10月2日(日)小雨/ドライ/観客数:22,400人

突然の雨で波乱が続いた第8戦は、FJ出身の水谷大介が初優勝!
第9戦は阿部翼が2勝目挙げ、大嶋和也も連続2位で王座に最接近

今季最後のダブルヘッダー大会は、SUGOが舞台。レコードラッシュは必至?
 第6戦まで3勝を挙げて、なおかつ一度も表彰台を外していなかったポイントリーダー大嶋和也が、筑波での第7戦で痛恨のリタイア。追突された影響でミッションにトラブルを抱えたことが原因とはいえ、このハプニングにより、石浦宏明が4ポイント差にまで急接近、エッソ・フォーミュラトヨタ・シリーズは終盤戦に来て、タイトル争いに大きなアクションを見せた。
 シリーズ最大の天王山になり得る可能性を秘めたスポーツランドSUGOでのレースは、今季3回目にして最後のダブルヘッダー大会として開催される。SUGOはこのオフに路面の全面改修を行い、かなり路面状態が向上し、レコードタイムが相次いで更新されたことが、すでに行われた他のレースで告げられている。ただでさえ、旋回性能の高さが重視されるコースだけに、この変化は大きな要素。特にタイムアップの決めどころとなる最終コーナーは路面のギャップが一掃され、今まで以上の高速旋回を可能にしたとも。当然、今までのデータが生かしづらくなるため、レースの展開予想は普段以上に困難だ。
速さを極めたか、石浦が2回の予選ともにトップタイムをマーク、これで3戦連続!
 今回の予選計測時間は、2回とも15分間。わずか10分のインターバルしかないため、最初の予選で禁物なのは最初の予選でマシンにダメージを負うこと。これだけは絶対に避けねばならない。例によって、有力どころはタイヤを使い過ぎないため、しばらくはピットで待機。そこまでは狙いどおりだったはずだが、1回目の予選が始まって間もなく強くはなかったが、雨が降り出してしまったこと。
 幸い、レインタイヤを用いるまでの状態とはならなかったものの、コンディションは微妙に変化してしまう。そのため、1分22秒台へとの突入も予想されていたのだが、それは幻に終わってしまう。1回目・第8戦のポールポジションは石浦が獲得。唯一1分24秒台を切る、23秒655を記録することとなった。2番手は高井美豪で24秒235、3番手は前回のウィナーでもある坂本雄也で24秒355、これに阿部翼、そして大嶋と水谷大介が続来、ここまでがトップの石浦から1秒以内におさまることとなった。
 続いて行われた予選2回目・第9戦は、より雨が強くなる懸念もあったため、ほとんどのドライバーがすぐにコースイン。1回目の好調ぶりを維持した石浦が23秒582へと、さらにタイムアップを果たして、またもポールを獲得。今季4度目、3戦連続で最速の座を射止めることとなった。そして1回目からコンマ6秒のタイムアップを遂げて、2番手につけたのは阿部で、23秒885をマーク。惜しくも24秒は切れなかったものの、大嶋が3番手に浮上、関口雄飛もまた8番手から4番手へと躍進を遂げる。逆に高井は5番手に、坂本は6番手へと後退。
「2戦連続ポールはいろんな意味で大きいですね。ただ、心配なのが決勝の雨。全部リセットされちゃうから……。でも、いちばん前から出られる有利さもありますし、SUGOの雨も僕は経験ありますから、あんまり心配していません。僕自身このところ乗れている自覚はあるし、練習からいい感じなんで、この週末で大嶋君を抜いて、ランキングのトップに立ちたいですね」と石浦。
突然の雨に石浦、阿部が餌食に。トップに立った水谷、大嶋の猛攻に屈せず!
 予選の間は、そう強くはなかった雨足が、その直後から急に勢いを増し、瞬く間に路面を濡らしてしまう。そのため、第8戦のスタート前に急きょ10分間のフリー走行が設けられることになった。それなのに、そのフリー走行が始まる頃には雨は完全にやんでいた。直前のS耐予選では、すでにスリックタイヤでタイムが出されており、タイヤチョイスは大いに頭を抱えるところ。開始段階はレインタイヤ、スリックタイヤ半々といったところ。
 しかし、出された結論は全車スリックタイヤ。路面がさらに乾いていったことを思えば、妥当であったといえる。絶妙のスタートを切ったのはポールの石浦、そして4番手の阿部。このふたりが続いて、1コーナーをクリアし、これに続いたのは高井と水谷、そして大嶋。逆に坂本は6番手へと後退してしまう。
 オープニングラップだけで3秒以上のリードを奪った石浦。このところ速さでは群を抜いていることの何よりもの証明となったが、その石浦にとって予定外だったのは、雨が再び降ってきたこと。これを好機とばかりに、徐々に差を詰めていく阿部。また、3周目には水谷が高井を抜いて3番手に浮上、阿部とともに石浦を攻め立てる。その勢いが少なからずプレッシャーになったのだろう。4周目のレインボーコーナーで石浦はスピン! コース復帰なったものの、10番手にまで順位を落としてしまう。
 これでトップに立ったのは、もちろん阿部。その後、少しずつ差を広げていったのだが……。今度は6周目のS字で阿部がスピン。ガードレールにリヤウィングをヒットしてしまう。「もっと差を広げようと、プッシュし過ぎました。少し仕掛けが早すぎた」と悔やむ阿部。これで4番手に後退し、代わって水谷がトップに躍り出る。優勝経験のあるふたりが手こずった雨も、水谷にとっては何のその。徐々に後続との差を広げていく。
 一方、9周目の2コーナーで高井がスピン。これを間一髪のところで大嶋、阿部がすり抜ける。この段階で水谷のリードは約5秒。だが、視界が開けた大嶋がここからスパートをかける。差は次第に詰まっていき、ラスト4周は完全なテール・トゥ・ノーズ状態。が、15周目のS字で大嶋がわずかながらもコースアウト! これで勝負は決した。ゴール間際のストレートで大嶋が追い込むも、水谷は辛くも逃げ切って初優勝を飾ることとなった。3位は阿部で、4位は坂本。これに山内英輝と関口が続く形でフィニッシュした。
ROUND 8 WINNER'S COMMENT
「落ち着いているように見えました? 裏では案外そうでもなくて」(水谷)
「あり得ない……ですか(笑)。チームのみんな、そう言うんですよ。初優勝なんて、自分でもあんまり実感ないんです。FJの頃は、あんなに勝っていたのに、1年以上勝てずにいたからなのかもしれませんね。落ち着いていたように見えました? ええ、ストレートではそう見せていましたけど、裏では案外そうでもなくて。実は2回ほどはみ出してはいるんです。ただ、それが大きなタイムロスにならなかったのが、いちばんの勝因なのかも知れませんね」
第9戦はスタートで阿部がトップに立ち、そのまま逃げ切り成功!
 秋の空は気まぐれだ。日曜日になっても絶えず天気を変化させ、一時たりとも気の抜けない状態としていたからである。第9戦を前にしても小雨がほほを濡らし、全車がスターティンググリッドに並んだ状態ではまだウェットコンディションと言うまでにはなっていなかったが、第8戦のようなこともあり得るわけだ。それぞれが普段以上の緊張感を抱き、レースに挑むこととなった。
 ここで誰より鋭いスタートを決めたのが2番手の阿部。1コーナーにはトップで飛び込んでいったのに対し、ポールの石浦は大嶋、関口にも抜かれ、4番手へと退いてしまう。その石浦は2周目の1コーナーで関口をかわして3番手に立つも、阿部や大嶋には迫れず、その後じわじわと水をあけられてしまう。一方、第8戦のウィナー水谷だが、クラッチトラブルでスタートを許されず。ピットに戻され、レースが3周を経過した段階で、ようやくコースイン。「クラッチが張りついてしまって。天国から地獄に落とされた気分です」と水谷。
 阿部と大嶋の激しい攻防戦は、その後も続いた。その後方では石浦が単独走行、そして高井、坂本、関口による4番手争いも繰り広げられる。心配された雨は逆にやんで、ドライコンディションに転じると、このコースでのオーバーテイクは至難の業。シリーズ上位陣によるバトルだけに、それぞれがミスを冒さず。特に阿部と大嶋のトップ争いは外から見ていても、息詰まる緊張感が感じられた。だが、スタート・トゥ・フィニッシュで阿部は今季2勝目を飾ることに。対して、大嶋は2戦連続の2位。ランキングのトップを、このレースウィーク、8位、3位という結果に留まった石浦から守り抜いた。
「これでチャンピオンにはかなり近づくことができました。ただ、勝てなかったことが悔しい。とにかくもっと勝ちたいんです。今日も(阿部と)お互いミスはしているんですけど、抜いたり抜かれたりするまでにはいたりませんでした。スリップストリームには入れるんですが、何か向こうの方が車は速かった。あと2戦、なんとかしたいですね」と大嶋。
 せっかくのWポールを生かせず、石浦は表彰台に上がっても終始無言。「速さはあるんだけど、精神的な弱さがねぇ……。ちょっとコンディションが変わっただけで、全然別人になっちゃう。もう、終戦かな」とは彼を擁するトリイレーシングの鳥居忠代表。
 4位は高井で、5位は坂本、6位は関口。ランキングでも上位につける3人だが、ざんねんながら、もう彼らには王座獲得の権利は失われた。タイトル争いは残り3戦、大嶋と石浦と阿部による三つ巴に!
ROUND 9 WINNER'S COMMENT
「関谷さん、暗いですねぇ……って言葉を、絶対に言いたかったんですよ!」(阿部)
「スタートから決まりました。最も、昨日だって決まったんですけど、みすみす自分で大失敗して負けてしまいました。あれが悔しくて。そんな時、うちの監督に関谷(正徳)さんが『暗いねぇ』って言っているのを聞いて。よけいにへこんでいたんです。でも、その思いが今日のバネになりました。後ろ(大嶋)からのプレッシャーはそんなに感じませんでしたが、むしろ自分がミスしないことの方がね。ペース抑えて丁寧に走るのは簡単なこと。でも、絶えず限界を極めて走らないと意味がないし、追いつかれてしまいますからね。その点では、自分なりに最高のレースができました。まぁ、でも久々に勝ててホッとしたというのが本音ですね。ええ、言いましたよ『関谷さん、暗いですねぇ』って。これが絶対に言いたかったんですよ!」
ROUND 8 WINNER'S PROFILE
FJ上がりはコントロール上手! 苦労を実らせ、水谷が初優勝飾る!
水谷大介(Daisuke Mizutani)生年月日:1982.1.10 出身地:東京都
 波乱の連続だった、雨の第8戦で初優勝を飾った水谷大介。ひとり絶妙のコントロール能力を見せたわけは、いたって簡単だ。それは水谷がFJ1600出身のドライバーであるから。FJは、ご存知のように前後にウィングがないため、ダウンフォースに頼ったドライビングが許されない。絶えず不安定な状態で限界を極めなければ速く走れないため、滑りやすいウェットコンディションを一向に苦としないためだ。
 その水谷にはFJ以前のモータースポーツ歴はない。現在、所属するウィンズのレーシングスクールで1年半ほど修行を重ね、03年にレースデビュー。筑波FJでデビューウィンを遂げて、もてぎFJでは開幕5連勝、合わせて8勝を挙げて2冠王に輝いている。その快進撃が評価され、04年にはフォーミュラトヨタにステップアップ。ところが、この年は7位が最上位でランキングは11位。2年目の今年は確実にシングルフィニッシュを果たすようになったが、第7戦までの最上位は第3戦の4位だった。FJ時代にも器用さには定評があっただけに、条件さえ整えば、実力を発揮できるドライバーであることを初優勝で証明した。
 余談だが、かつてフォーミュラトヨタではFJ出身のドライバーが、それこそ大手を振って勝ち名乗りを挙げていたが、近頃はカート出身に押され、最後に勝ったのは2000年のチャンピオンでもある後藤聡。久々のFJ出身者である水谷の優勝は、現役ドライバーにも大きな希望となったことだろう。
ROUND 9 WINNER'S PROFILE
まだチャンピオン獲得のチャンスは残されている。あくまで貪欲に速さを求める!
阿部 翼(Tsubasa Abe)生年月日:1982.4.7 出身地:神奈川県
 阿部翼が第5戦以来の2勝目をマークした。それでも、むしろ少ないぐらいではないだろうか。常に上位を走り続けているからだ。しかし、アクシデントに見舞われることも少なくなく、何度も涙を飲んでいる。それは第9戦のコメントからも分かるとおり、阿部は常に限界を極めることをポリシーとしているドライバーだから。このシリーズに挑んで3年、もはやただ勝つだけでは評価が早々上がらないことを自覚しているからなのだろう。
 その阿部のルーツは、カートレース。両親がともにカートレースをやっていたのがきっかけ。98年に全日本カート選手権FAクラスでシリーズ9位となり、99年にはFSAクラスで2位に。その翌年にはSRS-Fに入校し、それがきっかけでフォーミュラドリームに01年から2年間に渡って参戦した。初年度のランキングは8位で、2年目は7位。
 そして03年からはフォーミュラトヨタに活動の場を移し、第5戦で2位入賞。この年はランキング9位だったが、04年には2位1回、3位2回など入賞回数も増えて、ランキングでは7位に浮上した。今年、現時点でのランキングは3位。残る2戦を連勝すれば、まだまだ王座獲得の権利は残されている。持ち前の闘志で最後まで諦めず戦ってほしいものだ。
第9戦までのシリーズランキング(10位まで:暫定)
1位:大嶋和也/132ポイント 2位:石浦宏明/113ポイント 3位:阿部翼/109ポイント 4位:坂本雄也/90ポイント 5位:関口雄飛/56ポイント 6位:水谷大介/56ポイント 7位:高井美豪/54ポイント 8位:山内英輝:36ポイント 9位:山下雅之/30ポイント 10位:山崎信介/13ポイント
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