Formula TOYOTA


Press Release

2006エッソ・フォーミュラトヨタシリーズ第10戦・富士
_/_/_/2006 ESSO FORMULA TOYOTA SERIES ROUND 10 FUJI
  • 富士スピードウェイ/15周
  • 予選:11月25日(土)晴れ/ドライ
  • 決勝レース:11月26日(日)雨/ウェット/観客数:29,200人

新チャンピオン関口雄飛、卒業レースで有終の美を飾る
得意のウェットコンディション、6勝目は圧勝で!


チャンピオンの凱旋レースは、最も多くの関係者の視線が注がれるレース
 全10戦で争われるエッソ・フォーミュラトヨタシリーズも、富士スピードウェイでいよいよ2006シーズンの幕を閉じることとなった。その最終戦は大人気のTMSFことトヨタモータースポーツフェスティバル、そのプログラムのひとつとして行われる。したがって、トヨタファンのみならず、普段以上に多くの関係者が視線を注ぐことで知られてもいる。
 そんな檜舞台をまた、凱旋レースともしたのが関口雄飛。第9戦で5勝目を挙げて新チャンピオンに輝いたからだ。中にはTMSFで1年ぶりにフォーミュラトヨタを見る、そんな人もいることだろう。したがって、関口にしてみれば、この1年でどれだけ成長したかアピールする絶好の機会だといえる。その一方で、これまで苦汁を飲まされてきたライバルにしてみれば、ひとつの基準となる関口にもし一矢報いることができたなら、自分を再評価してもらえる千載一遇のチャンス。消化試合には絶対にならぬ、ある意味で緊張感には普段以上に満ちた一戦となることは間違いない。
10戦中ポールは8回も! 関口が速さを見せる中、TDP3人衆も上位に
 注目の一戦とあって、この最終戦にはスポット参戦のドライバーが数多く姿を見せ、エントリーは久々に20の大台を超えることとなった。フォーミュラトヨタデビューとなるドライバーも実に6人で、そのいずれもU25。このうち何人かはきっと来シーズン、シリーズをにぎわす存在になるはずだ。
 しかし、あくまで主役はレギュラードライバー。1年間シリーズを戦ってきた身としては、そう簡単に上位に来させてたまるものか、というムードを存分に感じさせる中、まずは予選が行われた。グランドスタンドの向こうにそびえる霊峰富士は、頂に雪をかぶせて青空にくっきりと浮かび上がるほどコンディションは上々。しかし、12月も間近とあって気温、路面温度はともに今季一番と断言できるほど低く、タイムアタックにはいささか難しい条件となってもいた。当然、タイヤの温まりも悪く、それぞれ思うとおりのタイムがなかなか出せずにいる中、まるで判を刻むかのように、1周ごと確実にタイムアップし続けていったのが関口だ。
「路面温度も低かったし、他のコースに比べるとフロント(タイヤ)の温まりが富士は路面がいいせいか遅いので、じっくり暖めて一発アタックというわけにはいかないんです。それは前のレース(開幕戦)から分かっていました。攻め続けていって、最後の方でタイムが出る、そんな感じでしたね」と関口。セカンド、サードタイムでもポールを獲得できたが、その言葉どおりラストアタックで1分43秒237をマークし、レコードタイムをも更新する。
 これに続いたのは、井口卓人、国本京佑、そして窪田善文といったTDPドライバーたち。「富士は他のコースより走り慣れていますから」と井口は語るが、決してそれだけではあるまい。若手がこの1年を通じて、じっくり成長してきたことの何よりもの表れのはず。そして5番手には、やはりルーキーのケイ・コッツォリーノがつけた一方で、チームメイトの坂本雄也はタイヤの内圧調整に失敗して7番手に、そして山内英輝に至ってはブレーキトラブルによって1分45秒台を切ることも許されず、12番手に留まってしまう。また、坂本とランキング2位を競う山下雅之も8番手に。
 逆にスポット参戦ながら、6位につけて大いに注目を集めた松井孝允は、岡山FJ1600チャンピオンをデビューイヤーにして獲得した18歳の逸材。「FTRSで、このマシンを走らせた経験はありますが、富士でレースするのはもちろん初めてです。決勝ではどうなるか分かりませんが、楽しみですね」と語っていた。
スタートの遅れも、あっという間に挽回した関口
 アルテッツァとヴィッツ、ネッツカップ2レースの決勝から始まったTMSF。その後、さまざまなイベントが行われたが、中でもフォーミュラトヨタのドライバーたちをときめかせたのは、卒業生でもある中嶋一貴がウイリアムズF1を走らせたこと。テストドライバーに就任してから初仕事となったわけだが、いずれは自分も……と姿を重ね合わせた者も多かったようだ。
 さて、前日とは打って変わって早朝から天気が崩れていたが、ついに昼過ぎからは雨も降り始める。勢いは絶えず変化していたものの、それでも大雨と呼ぶまでには至らなかった。それがフォーミュラトヨタの決勝が間もなく、といったタイミングで強くなったからたまらない。急きょ5分間のフリー走行が設けられたほどと言ったなら、どれだけ強烈に降ったか理解してもらえるのでは? 中には慌ただしくセッティングを変更するチームもあり、ピットには緊張感がみなぎることに。
 そんな厳しいコンディションの中、関口をスタートでかわしてトップに立ったのは井口で、これに続いたのは国本。窪田のダッシュも良かったものの、2コーナーでコースをはみ出し、大きく順位を落としてしまう。しかし、3番手に踏み止まった関口はヘアピンで国本のインを刺し、2番手に浮上。さらに予選5番手のコッツォリーノもこの周のうちに3番手に浮上した。が、そのコッツォリーノには間もなく黒旗が出されてしまう。フォーメイションラップにスピンし、順位を落としたにもかかわらず、元のポジションに戻してスタートを切ってしまったためだ。せっかくのジャンプアップも、ドライビングスルーペナルティでやがて順位を落とすことに。
 1周目を2番手で終えた関口だったが、トップに立つのはあっという間だった。1コーナーで井口を難なくかわしてしまったからだ。その後、スタンド前に戻ってきた時には、もう2秒のマージンを築き上げていた。レース前、関口はこう語っていたものだ。「すでにチャンピオンを決めて、コースレコードまで記録できましたからね。こうなったら、最後のレースですし、引き離せるだけ引き離してみせますよ」と。その言葉どおり、その後は後続を引き離し続けた。
さらなる天候悪化、後続のバトル激化を尻目に、関口が圧勝!
 関口に抜かれてしまった井口に、続いて襲いかかったのは坂本だった。予選7番手からスタートでふたつ順位を上げ、そして3周目には3番手に。その段階で2秒もあった差を徐々に詰め、6周目のコカコーラコーナーで逆転に成功。さらにその後方では山下と山内が4番手を争い、ふたりは何度も順位を入れ替え合った。が、7周目のダンロップコーナーで山内が前に出ると、まるでとどめを刺されたかのように山下は遅れをとることに。そこに食らいついてきたのは、予選14番手から激しく追い上げていた藤田祐貴だ。
 藤田もまたこれがデビュー戦のドライバー。しかし、富士FJ1600で、しかも雨のレースで優勝経験を持ち、来季のステップアップを狙っている。まさに挨拶代わりの猛チャージとなった。そして、13周目には山下を抜いて5番手に。その頃、すでに雨は上がっていたのだが、逆に霧が発生。夕闇があたりを包み始め、視界を奪い始めていたことから上位陣の走りは慎重になっていたのだろう、終盤にはバトルは繰り広げられず。
 だが、関口だけは違った。2番手の坂本ですら2分フラットで走り続ける中、ラスト2周はなんと1分59秒台で走っていたのだから! 最後は20秒もの大差をつけてフィニッシュ、そこにはチャンピオンの風格がただよっていた。
 なお、レース終了後、黄旗区間でのコースアウトがあったということで4位の山内、5位の藤田らにペナルティとして1分が加算されることに。そのため、山下が4位に返り咲いた一方で、山内は9位に、藤田は12位に降着。せっかくの激走が水の泡となってしまった。レース後にはシリーズ表彰も行われ、その席上でチャンピオン関口、坂本、山下、そして山内の4人には12月にF3オーディションに参加できることが発表された。
WINNER'S COMMENT
「去年の今頃の辛さを思えば、もうどんなことだってできますよ!」(関口)
「スタートは何だったんでしょう(笑)。自分としてはちっとも悪くないつもりだったんですが、TDPのふたりに抜かれてしまって。でも、スタート前からずっと落ち着いていたので、すぐ抜き返せるだろうな、と思っていました。実際、すぐ抜き返してからは公約どおり大きく引き離すことができたでしょう。ただ、自分としては最後まで全力で走り続けるつもりでいたんですが、さすがに霧が出てきた頃からは、さすがに少し抑えましたけど。来年のことですか? まだ何も決まっていないんですが、来月F3オーディションを受けます。すべてはそれ次第なんですけど、去年の今頃の辛さを思えば、もうなんだってできますよ。九死に一生を得た僕ですからね、絶対チャンスをものにしてみせます!」
WINNER'S PROFILE
20秒差での圧勝が集大成! 速くて強いドライバーの証明だ

関口雄飛(Yuhi Sekiguchi)生年月日:1987年12月29日 出身地:東京都
 10戦中6戦を制し、しかもポールポジション獲得は実に8回! これはチャンピオンに相応しい堂々たる成績といえるだろう。強くて速い。これがシーズンを通じて、新たについた関口雄飛のイメージである。また、この最終戦ではウェットコンディションを得意とするというイメージをもいっそう色濃くした。雨のレースで強いということは、一般的にテクニシャンを意味するとも。03年のチャンピオン、中嶋一貴もかつてそうだった……。
 その関口は6歳からカートレースに出場し、当時キッズレースでは敵なし。ジュニアの頃には早くもその名を轟かせるようになり、01年には全日本選手権も出場。ICAクラスで1勝を挙げ、その翌年にはチャンピオンを獲得した。03年にはイタリアへ遠征し、FTRSも受講。才能を見出され、4輪へのステップアップの機会さえ掌中に。そして04年にフォーミュラトヨタで4輪レースにデビューを果たす。まだTIサーキット英田と呼んでいた岡山で、わずか3戦にして初優勝。この年はランキング3位と、ルーキーとしてはまずまずの成績を残す。
 しかし、勝負をかけた05年は優勝を飾れず、ランキングでも5位に留まる。その苦悩が関口を成長させたようだ。自分に何が足りないのか、どこを伸ばしたらいいのか。それを実現させるため、3年目の今年は、所属チームをフィールドモータースポーツに移して心機一転。ついに真価を発揮して、悲願のタイトルをものにすることとなった。今年は新カテゴリーのFCJにも参戦してチャンピオンを獲得。ミドルフォーミュラ二冠王に輝くこととなった。
ドライバーズランキングトップ10
1位:関口雄飛(155pt)、2位:坂本雄也(128pt)、3位:山下雅之(111pt)、4位:高井美豪(76pt)、5位:山内英輝 (71pt)、6位:井口卓人 (57pt)、7位:国本京佑 (76pt)、8位:ケイ・コッツォリーノ(40pt)、9位:吉田広樹(31pt)、10位:増田定臣(22pt)
メンテナンスガレージランキングトップ5
1位:フィールドモータースポーツ(116pt)、2位:AUTOSPORT with Le Besusset(110pt)、3位:レプリスポーツ(66pt)、4位:TDP(60pt)、5位:トリイレーシング(10pt)
© 2007 TOYOTA MOTOR CORPORATION, All Rights Reserved.