トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム・レポート(特別号)


欧州F3で活躍のTDPドライバー中嶋一貴
来季ウィリアムズF1チームテストドライバーに抜擢

平手晃平、小林可夢偉もパナソニック・トヨタ・レーシングでF1テストに参画


 トヨタ自動車(株)は、「世界および日本のトップカテゴリーにおいて活躍できるレーシングドライバーの育成」を目的に、才能ある人材を発掘し、継続的なステップアップを支援する育成プログラムとしてTDP(トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム)を実施しており、将来を期待される若手ドライバーが参画している。

 2007年も各カテゴリーにおいて、セレクションやステップアップ等を通じて、プログラムに参加するドライバーの活動を支援していく予定であるが、このほど、2006年にF3ユーロシリーズに参戦した中嶋一貴がウィリアムズF1チームにテストドライバーとして選抜され、2007年シーズンの契約を交わした。なお、F1の直下に位置するカテゴリーであるGP2シリーズにDAMSチームから参戦する予定である。

 また、今年、同じくF3ユーロシリーズに参戦した平手晃平も2007年よりTridentチームからGP2シリーズに参戦の計画。また、F3ユーロシリーズでルーキータイトルを獲得した小林可夢偉は、ASMフォーミュラ3チームから2年目のF3ユーロシリーズを戦う予定。なお、平手・小林には、ともにパナソニック・トヨタ・レーシングにおいて、F1テスト走行の機会が与えられる。

(ご参考)TDPの歩み
 2000年、日本国内で従来より実施していた体験型レーシングスクール、「フォーミュラトヨタ・レーシングスクール(FTRS)」の一部を、有能な若手ドライバーの発掘とスカラシップを通じた育成プログラムとして体系化。また2001年より、TDA(トヨタ・ドライバーズ・アカデミー)として海外での若手育成プログラムを開始。2005年に、TDAとFTRSの若手育成プログラムの活動を一元化し、名称も「TDP」に統一した。

 2006年シーズンは、欧州では、GP2と、F1への登竜門的なカテゴリーでもあるF3ユーロシリーズ、ステップアップカテゴリーであるフォーミュラ・ルノー2.0シリーズへの参戦を支援。日本国内では、トップカテゴリーを目指す精鋭が集う全日本F3選手権と、初級フォーミュラであるエッソ・フォーミュラトヨタ シリーズと、若手ドライバー育成の為2006年より スタートしたフォーミュラチャレンジ・ジャパン(FCJ)に参戦するドライバーをサポート。総計15人のドライバーが活躍、成長を見せた。

写真 平手晃平(マノー・モータースポーツ):
来年はGP2への参戦が決まったことで、また来年1年もこちら(ヨーロッパ)でレース活動が出来る事になった。更にはF1のテストドライブも少しずつ出来る事が決定し、とても嬉しく思っている。来季に対するモチベーションもとても上がっている。F1へのステップであるGP2に昇格出来、また一つF1に近づくことが出来たので、頑張りたい。

写真 中嶋一貴(マノー・モータースポーツ):
GP2、F1どちらも初めての経験になるので、まずは経験をしっかりと積み、GP2の方ではしっかりと結果を出したい。F1はまだどのようなものか想像がつかないが、まずはテストで乗る機会があるので、一つ一つ経験して行きながら、チームに貢献していきたいと思う。最終的にはF1のレースドライバーが目標なので、それに繋げて行ける様な1年にしたい。

写真 小林可夢偉(ASMフォーミュラ3):
来年も今年と同じチャンピオンチームで参戦出来、しっかりとコミュニケーションも取れている。来年はシリーズチャンピオンを獲れる体制だと思うので、狙っていきたいと思っている。そして新しく頂いたF1テストドライバーのチャンスに、トヨタファミリーの一員として、しっかりと車を作ってチームに貢献して行きたい。経験を積んで、周りがきちんと認めてくれるドライバーになりたいと思う。

写真 木下美明(トヨタ自動車モータースポーツ部長):
平手・中嶋・小林の3名には、TDPの目標の一つであるF1ドライバーを目指して欧州で頑張ってもらったが、このほど、中嶋選手にウィリアムズF1チームよりテストドライバーのオファーがあったことは大変光栄なことだと考えている。トヨタとしても、引き続きTDPのメンバーの一員として支援を続けていきたい。

写真 林博美(トヨタ自動車モータースポーツ部主査):
今年、欧州で活躍した平手・中嶋・小林の活躍は、国内のメディアにも幾度となく取り上げていただき、高い評価をいただけたと思っている。この3名は激戦のF3ユーロシリーズで何度も表彰台に立ち、欧州の一流の選手と互角以上の実力を発揮してくれた。
来年はそれぞれの課題を持ち、中嶋・平手はGP2をへステップアップし、より厳しい戦いの中で実力を磨いてほしい、また小林には、2年目のF3ユーロシリーズでチャンピオンに挑戦してほしいと考えている。さらに、3人ともそれぞれ F1テストプログラムに参加が予定されており、この機会を最大限に生かして、F1ドライバーの座にチャレンジしてほしいと思っている。
なお、三人の他の欧州・日本のTDPドライバーもそれぞれのカテゴリーで実力を磨いてくれた。我々の活動が、欧州・日本で評価を受けつつある点を大変うれしく思っている。


TDPドライバー2006年シーズン戦績
カテゴリ ドライバー(チーム) シリーズランキング 備考
GP2 フランク・ペレラ(DAMS) 17位(8ポイント) 2位1回
F3ユーロシリーズ 平手晃平(マノー・モータースポーツ) 3位(61ポイント) 1勝 2位2回 3位2回
中嶋一貴(マノー・モータースポーツ) 7位(36ポイント) 1勝 2位1回 3位2回
小林可夢偉(ASMフォーミュラ3) 8位(34ポイント) 2位1回 3位2回
フォーミュラルノー2.0
ユーロシリーズ
ヘンキ・ワルドシュミット 15位(19ポイント)  
マーティン・プロウマン 23位(7ポイント)  
フォーミュラ・ニッポン 片岡龍也(チーム・ル・マン) 8位(9ポイント) 3位2回
全日本F3 大嶋和也(トムス) 2位(185ポイント) 3勝 2位4回 3位1回
石浦宏明(ナウモータースポーツ) 9位(69ポイント) 1勝
安岡秀徒(トムス) 12位(15ポイント)  
松村浩之(トムス) 15位(5ポイント)  
エッソ・
フォーミュラトヨタ
(FT)
国本京佑(トムス・スピリット) 6位(48ポイント) 2位1回
井口卓人(トムス・スピリット) 7位(45ポイント)  
窪田善文(トムス・スピリット) 12位(11ポイント)  
増田定臣(トムス・スピリット) 10位(22ポイント)  
フォーミュラチャレンジ・ジャパン
(FCJ)
井口卓人 8位(34ポイント) 3位1回
国本京佑 10位(22ポイント)  
窪田善文 12位(18ポイント)  
増田定臣 17位(11ポイント)  


TDP活動推移
  支援ドライバー 参戦カテゴリ
2000年
FTRSで育成プログラム開始    
2001年
TMGが若手ドライバー支援を開始 ライアン・ブリスコ Fルノー(伊チャンピオン獲得)
フランク・ペレラ Fルノー
FTRS育成プログラム 田崎紀彦 全日本F3
小暮卓史
片岡龍也 FT
平中克幸
2002年
TMG若手ドライバー支援プログラム ライアン・ブリスコ 独F3
フランク・ペレラ Fルノー
アレックス・
ストーケンフェルド
FTRS育成プログラム 片岡龍也 全日本F3
吉本大樹
平中克幸
横溝直輝
番場  琢 FT
平手晃平
小林可夢偉 FT(最終戦のみ参戦)
2003年
TDAに名称変更 ライアン・ブリスコ F3ユーロ
平中克幸
フランク・ペレラ Fルノー
平手晃平
ロベルト・ストレイト
FTRS育成プログラム 片岡龍也 全日本F3
吉本大樹
小早川済瑠
番場  琢
横溝直輝
小林可夢偉 FT
中嶋一貴
2004年
TDA 平中克幸 F3ユーロ
フランク・ペレラ
ロベルト・ストレイト
平手晃平 Fルノー
小林可夢偉
ベン・クラカス
FTRS育成プログラム 片岡龍也 フォーミュラ・ニッポン
中嶋一貴 全日本F3
池田大祐
小早川済瑠
番場  琢
横溝直輝
大嶋和也 FT
関口雄飛
2005年
日本国内FTRSと統合・一元化
TDPと名称変更
ライアン・ブリスコ IRL
フランク・ペレラ F3ユーロ
平手晃平
小林可夢偉 Fルノー(伊・欧Wチャンピオン獲得)
片岡龍也 フォーミュラ・ニッポン
平中克幸
中嶋一貴 全日本F3
番場琢
池田大佑
安岡秀徒
大嶋和也 FT
関口雄飛
山内英輝
国本京佑
2006年
  フランク・ペレラ GP2
平手晃平 F3ユーロ
中嶋一貴
小林可夢偉
ヘンキ・ワルドシュミット Fルノー
マーティン・プロウマン
片岡龍也 フォーミュラ・ニッポン
大嶋和也 全日本F3
石浦宏明
安岡秀徒
松村浩之
国本京佑 FT・FCJ
窪田善文
井口卓人
増田定臣
2007年
現時点で来季活動の決定している
ドライバー
中嶋一貴 GP2(DAMS)
ウィリアムズF1チームテストドライバー
平手晃平 GP2(Trident)
パナソニック・トヨタ・レーシング
F1カーテストに参画
小林可夢偉 F3ユーロシリーズ(ASMフォーミュラ3)
パナソニック・トヨタ・レーシング
F1カーテストに参画
ヘンキ・ワルドシュミット Fルノー
マーティン・プロウマン


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