マニクール・レースレポート

F3ユーロシリーズ

小林可夢偉
小林可夢偉

第1レース(6月30日)

 シリーズ2年目の小林可夢偉が、初めてのポールポジションを獲得した。走行中に左右のミラーが次々に脱落するというトラブルもものともせず、チームメイトのロマン・グロジャンを100分の2秒しのぐ最速タイムを叩き出した。

 スタートを決めた可夢偉は、真っ先に1コーナーへと飛び込んでいく。しかしグロジャンも、背後にぴたりと付ける。2周目には終盤のリセーコーナーのブレーキングでいったんかわされるが、立ち上がりで抜き返す。その後も二人は3番手以下に大差をつけながら、テール・トゥ・ノーズで周回を重ねていく。可夢偉は毎周のように最速タイムを出すものの、グロジャンとの差はコンマ5秒以上には開かない。

 緊迫した展開は終盤まで続き、ゴール1周前にはグロジャンが最速タイムを出す。両者のタイム差はほぼゼロになり、最終周の180Rでインを刺される。しかしそこでグロジャンがスピン。可夢偉が初優勝を飾った。

 マニクールに君が代が流れ、可夢偉は表彰台で喜びを爆発させていた。

 「うれしいですよ。勝てそうで勝てないレースが、続いてましたからね。だいぶ波に乗ってきたし、この勢いを持続させたいですね。タイトル獲得も、まだ全然あきらめてませんよ」。


小林可夢偉

第2レース(7月1日)

 第1レース終了後、小林可夢偉を含む10 人のドライバーが、「黄旗中の減速が十分でなかった」として、グリッド5番降格のペナルティを課された。これで第2レースの可夢偉は、13番手からのスタートとなってしまった。具体的な内容のないあいまいな裁定だが、決まったものは受け入れるしかない。

 この日は朝のうちにわか雨があり、レース開始時点もどんよりとした天候。それでも路面はすでに乾いており、各マシンはドライタイヤを選択した。フォーメーションラップが始まった直後に再び雨が降り出したが、レインタイヤに履き替えるほどではなさそうだ。

 可夢偉はスタートの混乱をうまく切り抜け、10番手に上がる。直後に多重事故の処理のため、セイフティカーが導入された。3周目にレース再開。可夢偉はひとつずつ順位を上げ、6周目には8番手まで上がった。しかし9周目にコースオフを喫して、ひとつ順位を落としてしまう。その後はいまひとつペースが伸びず、そのままチェッカー。ノーポイントに終わった。

 これで可夢偉は、選手権4番手。ランキングトップのブエミとは、20ポイント差がある。しかし「まだ全然あきらめてない。これからガンガン勝って、絶対ひっくり返しますよ」と、あくまで意気軒高だった。




GP2

中嶋一貴
平手晃平

第1レース(6月30日)

 大荒れに荒れたレースだった。スタートで最前列の2台が接触、リタイヤ。さらに裏のストレートで前のマシンに乗ったヴィソが宙を舞い、コンクリート壁に叩き付けられてから、コースの向こう側に飛び出すという大事故が発生した。これでレースはセイフティカー導入を経て、赤旗中断に。さいわいヴィソは無事で、50分後に再開となった。

 予選9番手の中嶋は、SC中にピットイン。しかしそこから発進できず。レース再開後に、1周遅れで何とかコース復帰を果たした。平手はあえてSC中にタイヤ交換を行わない戦略を選び、レース再開時にはトップに立った。ところがSC中に追い越しを行ったとして、ドライブスルーのペナルティを課されてしまう。これで13番手に後退。その後32周目のヘヤピンで、単独スピン。そのままリタイヤとなった。

 一方の中嶋は終盤、ニュータイヤに履き替えて最速タイム狙いに出る。いったんは成功したものの、他のドライバーにそれをしのぐタイムを出され、ノーポイントに終わった。


平手晃平
中嶋一貴

第2レース(7月1日)

 中嶋17番手、平手19番手からのスタート。午前10時からのレース直前に、断続的に雨が降り出す。ドライタイヤでグリッドに向かったマシンが、何台かスピンするのが見られた。それでもレースは、全車ドライを選択した。

 平手はスタートを決めて、中嶋らをパス。その後も順調に順位を上げて、3周目には12番手に達する。中嶋も13番手に付ける。しかし中嶋は7周目に平手を抜き返し、さらに9周目、12周目とオーバーテイクを決めて、10番手に。さらにトップを走っていたチームメイトのラピエールが自滅したことで、9番手に。前を行くセナとの差も、周回ごとにみるみる縮めて行く。

 18周目には、4秒以上あった差が、ほぼゼロに。背後にピタリと付いて、隙を窺う。その間に上位からさらに1台が落ち、セナとともにマルドナードを抜いて、20周目には7番手。セナを抜けば入賞だが、終盤には両者の差はやや離れてしまう。

 残り4周。再び雨が降り出す。これで一貴は、一気に差を詰める。そして最終周。ヘヤピンのブレーキングでセナのインを刺し、6位入賞を遂げた。平手は 11位だった。


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