エコモニタリングの成果から

第二段階 シデコブシの更新試験


● 更新試験ってなに?
第一段階のシデコブシの保全対策を行なった後、2003年の時点で樹形のバランスを崩して、根から倒れるシデコブシもみられたことから、次なる段階の保全対策の試験として、一部区域に限って切り株からの森の再生をはじめてみることにしました。
つまり、シ デコブシを含めてあるエリアの樹木をほとんど伐採し、一旦谷の林床を明るくし、シデコブシの萌芽を促進すること、新しいシデコブシの実生の生育を促進すること、今 後は適宜シデコブシの周囲の樹木を伐開しながら、樹形の良いシデコブシを大きくしていくことを目指しています。
このように、すこしづつ対象の生育や反応を見ながら保全対策を検討し、実施することがエコモニタリングであり、「順応的管理」とも呼ばれ、里山の管理手法として非常に重要と考えられています。

● 更新試験をおこなって谷は明るくなりました
2004年のシデコブシ林
伐採前の様子(2004年12月)
試験区の樹林の伐採前の様子です。シデコブシが斜めにのび、非常に樹形のバランスが悪くなっているのが分かります。

2005年のシデコブシ林
伐採後の様子(2005年4月)
これが伐採後の写真です。シデコブシは、比較として斜めになったまま切らずに残した個体と、萌芽更新のため、根元を残して伐採した個体とがあります。

下の写真は360° を撮影できる魚眼レンズで、伐採前後の谷の林冠部を撮影した写真です。伐採後に林冠部に空間ができ、非常に明るくなっています。
伐採後 3年目の2007年には、周りの樹木が明るくなった空間に少しづつ枝をのばしてきているのが分かります。



明るさの変化(魚眼レンズによる撮影)
魚眼2004
魚眼2005
魚眼2006
魚眼2007
2004年(更新前)2005年(更新後1年目)2006年(更新後2年目)2007年(更新後3年目)
● シデコブシの萌芽樹の成長
更新試験を行った翌年の2005年には、シデコブシの切り株から萌芽が芽生え、大きく成長していきました。その成長は順調です。

個体NO2005年2006年2007年
S-1萌芽1-2005
83cm
萌芽1-2006
125cm
萌芽1-2007
165cm
S-2萌芽2-2005
120cm
萌芽2-2006
165cm
萌芽2-2007
175cm


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