エコモニタリングの成果から

シデコブシを守るということ


● シデコブシの立地環境を確保する
シデコブシの谷
シデコブシの谷遠景
シデコブシは他の里山の樹木に比べると競争力が弱いため、長い年月の間に陸上植物としては不利な生育条件である過湿地に適応して生育するようになりました。
それでも、ハンノキとは違って新鮮な空気を必要とするため、斜面下部の表層地下水が新鮮な空気を運んでくれる谷部に生育しています。これらの立地は地形や地質の条件がたまたま重なって作り出される、限られた立地環境です。
最近これらの立地環境は、森の手入れが放置されることにより、乾燥化したり、放棄の末に開発の対象となることが多くなっています。
しかし、愛知県ではこのような立地に特有な植物(周伊勢湾要素植物)の保全の重要性が認められ、湿地の保全が図られ始めています。
● シデコブシには明るい光環境を
シデコブシが生長するには、明るい光環境が必要です。そのため、シデコブシの樹冠部が他の樹木の樹冠で隠れてしまい、暗くなると成長が悪くなるとともに、実生も大きくなれないため、次世代のシデコブシが成長できません。
シデコブシに覆いかぶさる周辺樹木の伐採は、シデコブシの生育を回復するのに有効ですが、トヨタの森の年輪調査からは、遅くとも樹齢が20年〜30年位になるまでに行なう方が効果が高いと考えられました。

● シデコブシの伐採更新は保全手法として有効
それでは、周りの樹木を伐採して明るくなったにも関わらず、成長が回復しなかったり、樹形が悪くなりすぎたり、樹齢が大きくなりすぎてしまったシデコブシはどうしたら良いでしょうか?
その場合には、シデコブシ自体の伐採更新が有効と考えられます。
切ったシデコブシの切り株からは萌芽枝が出て、再び勢いよく成長し始めます。
また、下に芽生えていた実生にも大きくなるチャンスが与えられるため、より効果が高まると考えられます。

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