ユニット

ユニット系プレス・接合

合金化亜鉛めっき鋼板(サスペンションメンバー)

「カローラ」のフロントサスペンションメンバーに、初めて亜鉛めっき鋼板を全面採用した。亜鉛めっき鋼板のアーク溶接では、気化した亜鉛による多量のブローホールの発生が懸念され、ブローホールの抑制技術として中周波のパルス電流を用いたMAG溶接を1987年(昭和62年)に採用した。

また、シールドガス中に適量のO2(酸素)を混合。この方法により、「カローラ」以降の全車種へ亜鉛めっき鋼板の採用を可能とした。

耐腐食鋼管(リヤサスペンションメンバー)

井桁構造の「セルシオ」リヤサスメンに、製品剛性向上とコスト低減を目的に溶接長を大幅に削減したパイプ構造を1994年(平成6年)に採用。パイプ材には耐腐食鋼板(Cu、P添加鋼)を採用し、密閉構造とすることで製品の耐食性を確保した。

ハイブリッド車用モーターコアライン

1997年(平成9年)の初代「プリウス」ハイブリッド車用モーターは、初の自動車駆動用高精度大径モーターであった。

中核のモーターコアは、同心円状(ドーナッツ状)に打ち抜いた薄い電磁鋼板を積層し外周端を溶接して一体化する。プレス品の精度を高め、高出力で低コストなモーターを実現した。

外周シーム溶接にロボットを採用

鉄製タンクの外周溶接(タンクアッパー×ロアーのシーム溶接)は従来、機械式倣い機構を持つアイアンマン式シーム溶接機を使用していた。

しかし、グローバル展開に伴い、保全技術の簡素化・設備汎用性のニーズの高まりを受けて、汎用ロボットによるシーム溶接システムを1998年(平成10年)に導入した。

またこの技術では、シーム溶接の溶接速度の高速化に取り組み、生産性向上が図れた。

複動プレス成形(CVTピストン)

CVT用のピストンには、油圧に耐える強度と摺動に対する耐磨耗性が求められる。適材を使い分け、低コストで成形性を確保するために、複雑な型動作が可能な複動プレスを厚板材用に開発した。型要素を分割して成形制御軸数を増やすことにより、従来にない厚板成形が可能となった。再絞り限界の向上、高カーボン%材の割れ防止、増肉と成形の両立などの成形法を確立し、2002年度の塑性加工学会賞を受賞した。

偏芯偏角スピニング加工(触媒容器)

従来の触媒コンバーターでは形状ごとにプレス型と溶接設備の新設が必要になり、必要台数に対するフレキシブル性に欠け、生産コストが高い。これを解決すべく、逐次成形法であるスピニング加工法を適用した。これにより、トヨタの触媒コンバーターの設計形状自由度は大きく改善され、排ガス規制に対する対応を低コストで実現できた。この加工法を発展させた偏芯偏角スピニング加工機も実用化した。

マルチローラー歯形成形技術

A/Tのクラッチハブ用に、ローラーとプレス型による多段成形法を開発した。部品外周にローラー状の金型を多段に配置し、粗材を通過させて段階的に成形する。従来に比べ、潤滑油レスに加え、画期的にコンパクト・低コスト・加工時間短縮を実現し、2007年度の塑性加工学会賞を受賞した。

シャシー溶接設備に親子孫治具を採用

溶接組付け治具の汎用部分の占める割合を高める狙いで、アーク溶接治具に『親』『子』『孫』構成を2003年(平成15年)に採用した。

親子孫治具を採用することにより、3Dデータを活用して短時間に治具全体を組上げ、また工程毎のトーチ進入性検討や工作図作成工数などの低減が図られ、生準プロセスの改革が進んだ。

厚板切欠きレス曲げ技術

トヨタ初の2段キャリア(ラビニヨ型キャリア)用に開発した厚板プレス成形法で、当初の熱間鍛造法に比べ大幅な軽量化・原価低減・投資削減を達成した。粗材設計を工夫し、成形後の製品要件を満たす限界まで肉をそぎ、応力面で負要因となる切り欠きを設けないことで実現した。これにより切削・組付け工程へのインライン化も可能となり、海外展開を視野に入れたコンパクトラインを構築した。

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