第5節 中南米・アフリカ・中近東地域

第1項 市場の成長・広がりへの対応

中南米地域の動向

各国・地域別の動向を見ると、中南米で最大市場のブラジルでは、1990年代末の国際的な金融不安の影響で経済が停滞し、自動車の需要も1998(平成10)年から2004年には低迷が続いた。その後、工業製品や農産品の輸出好調を背景に、自動車の販売も成長路線に乗り、トヨタ車の販売台数も2000年に2万台、2004年に5万台を突破し、2007年には7万2,000台となった。

アルゼンチンでは2001年に対外債務支払いを停止するなど、経済が危機的状況に陥った。このため、1990年代後半に30万~40万台レベルであった自動車市場も、2002年には10万台規模にまで落ち込んだ。トヨタ車の販売台数は、主力のハイラックスがモデル末期を迎えていたことも重なり、1998年の1万3,000台から、2002年には5,000台レベルへと大きく後退した。

その後、穀物価格の世界的な高騰などにより、アルゼンチンの経済は急速に回復し、自動車需要ももち直して2007年に過去最高の57万3,000台に達した。トヨタ車の販売も、ハイラックスやブラジル製のカローラが好調に推移し、2005年に1万7,000台、2007年には2万9,000台と記録を塗り替えていった。

ベネズエラの自動車市場は原油価格の変動に大きな影響を受け、1990年代末から縮小と拡大を繰り返すなか、2004年から2007年は拡大基調で推移し、トヨタも2003年には6,000台だった販売台数が2007年には5万4,000台まで増加した。

1964(昭和39)年に撤退して以来、40年近く空白期間があったメキシコでは、2001年にトヨタ車の販売・サービス業務を行うトヨタ・モーター・セールス・メキシコ(TMEX)を設立し、事業を再開した。まずは北米自由貿易協定(NAFTA)を活用し、カローラ、カムリなどの北米生産車の導入を進め、また、メキシコとアルゼンチンの自動車協定に基づく無関税スキームを活用し、2003年からアルゼンチン製のハイラックスを、2006年からはIMV(Innovative International Multipurpose Vehicle)の輸入・販売を開始した。さらに、2005年の日本との経済連携協定(EPA)の発効に伴い、日本からの輸入も拡大するなどラインアップを強化し、トヨタ車の販売は2007年に6万6,000台を記録した。

トヨタは中南米市場において2007年までは販売を伸ばした。2008年以降はブラジルやアルゼンチンを除いて、リーマン・ショックの影響や、ベネズエラ外貨問題などにより落ち込むも、2009年を底に回復傾向にある。

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