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トヨタの紛争鉱物問題に対する取り組み (2018年5月31日改訂)

トヨタでは人権の尊重の実現に向け、さまざまな施策を推進しています。

現在、世界の一部地域において武装勢力による一般市民の虐殺や略奪・誘拐・児童兵の徴用などの非人道的行為が行われており、国際社会の批判が高まっています。特に、アフリカ大陸中央部に位置するコンゴ民主共和国(DRC: Democratic Republic of the Congo)では、豊富な鉱物資源の違法採掘・密輸が武装勢力の資金源になっていると言われています。
トヨタは、こうした紛争地域における人権侵害や環境破壊、不正採掘等の問題、さらにはこれらを通じて武装勢力の資金源となる紛争鉱物問題が、サプライチェーンにおける重大な社会問題の一つであるとの認識のもと、事業活動に取り組んでいます。
紛争鉱物の使用状況や製錬所情報の本格的な調査については、2013年5月から開始しています。2017年1月〜12月の紛争鉱物の使用状況等に関する調査結果については、報告書(「Form SD」および「紛争鉱物報告書」)に取りまとめ、米国証券取引委員会に2018年5月31日に提出しました。
今後も、トヨタはコンゴ民主共和国および周辺国(以下、「コンゴ周辺諸国」)産の人権侵害等の不正にかかわる紛争鉱物を原材料として使用しないコンフリクトフリーを目指し、サプライヤー、業界団体、各種参加団体とともに取り組んでいきます。

※2017年「Form SD」および「紛争鉱物報告書」については、ホームページをご覧ください。
http://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/library/sec/pdf/form_sd_201805_final.pdf

紛争鉱物に関するトヨタの方針

トヨタは、紛争鉱物問題への取り組みに関する指針として「紛争鉱物対応方針」を定め、当該方針に基づき対応を進めています。また、サプライヤーへのCSR活動に関する要請事項を取りまとめた「仕入先CSRガイドライン」を2012年に改定し、「責任ある資源・原材料の調達」活動を要請しています。

紛争鉱物対応方針

私たち(トヨタ自動車株式会社およびその子会社)は、「人権・環境等の社会問題を引き起こす原因となりうる原材料の使用」による地域社会への影響を考慮した調達活動を推進しています。
コンゴ周辺諸国産の紛争鉱物問題は、サプライチェーンにおける重大な社会問題の一つと認識しています。
私たちは、コンゴ周辺諸国産の人権侵害等の不正とかかわる紛争鉱物を原材料として使用しないコンフリクトフリーを目指します。
そのために、紛争鉱物の使用状況について、グローバルにサプライチェーンを遡って調査を実施し、社会問題を引き起こす、あるいは、武装勢力の資金源になっている懸念のある場合には、使用回避に向け取り組みを実施します。取引先には、相互信頼に基づく共存共栄の理念のもと、私たちの考えを理解いただくとともに、責任ある資源・原材料の調達活動に取り組んでいただくよう要請していきます。

仕入先CSRガイドライン「責任ある資源・原材料の調達」

人権・環境等の社会問題を引き起こす原因となりうる原材料(例:コンゴ産紛争鉱物等)の使用による地域社会への影響を考慮した調達活動を行うこととし、懸念のある場合には、使用回避に向けた施策を行う。

  • コンゴ産紛争鉱物等:コンゴ民主共和国およびその周辺諸国から産出される鉱物で、かつ同地域の武装勢力の活動資金となっている鉱物

「仕入先CSRガイドライン」
http://www.toyota.co.jp/jpn/sustainability/society/partners/supplier_csr_jp.pdf

仕入先CSRガイドライン「責任ある資源・原材料の調達」

仕入先CSRガイドライン

取り組みに向けた社内体制、業界連携および官民連携アライアンスへの参加

2011年に総合企画(現・経営支援)、調達、経理、広報・渉外、法務、材料技術等、社内の複数の部署から構成される組織横断的なタスクフォースを立ち上げ、コンゴ産紛争鉱物への対応の検討を開始しました。

2011年には、JAPIA*1と紛争鉱物問題に関するワーキンググループを設置し、日本国内の自動車業界全体で取り組みに向けて検討を進めてきました。
2012年には、JAPIA加盟企業と協力しトライアル調査を実施するなど、本格的な調査開始に向けた準備に着手しました。
2013年には、自動車各社およびJEITA*2加盟企業を中心にコンフリクトフリー・ソーシング・ワーキンググループを結成し、その後も製錬業者の素性調査や製錬業者団体へ訪問、コンフリクトフリー認証取得の働きかけなどを継続して行っています。
業界連携の取り組みは日本国内だけでなく、米国でAIAG*3のコンゴ産紛争鉱物ワーキンググループへの参加、コンフリクトフリー・ソーシング・ワーキンググループ、およびAIAGのワーキンググループの活動を通じたRMI*4との協力など、グローバルで実施しています。
米国子会社においても、AIAGのSmelter Engagement Teamのリーダー(Leader)として、2017年1月から12月までに45社、さらに、RMIのGlobal Smelter Engagement Teamのチームリーダー(Team-Lead)として7社の製錬業者にコンタクトを行い、製錬業者の素性調査や製錬業者団体への訪問、コンフリクトフリー認証取得の働きかけなどの活動を実施しました。2017年にはEuropean Smelter Engagement Teamに参加を行い、欧州における製錬業者へのコンタクトなどの活動に向けた準備を進めています。
また、トヨタは、業界団体、米国政府、市民団体などによる「責任ある鉱物取引のための官民連携(PPA*5)」のPhase 1に参画し、活動を行いました。PPAはコンゴ周辺諸国における紛争とかかわりのない責任ある鉱物の取引を促進しており、その実現に向けて各種取り組みを実施しています。
トヨタはPPAの趣旨に賛同し、人権侵害とのかかわりの有無にかかわらずコンゴ周辺諸国産の紛争鉱物の不使用をサプライヤーに求めることは、コンゴ周辺諸国における合法な鉱物資源の取引きの委縮につながるおそれがあり、問題の解決につながるわけではないと認識しています。そうした認識のもと、サプライチェーン上流の製錬業者において人権侵害等にかかわる紛争鉱物を使用しないコンフリクトフリーの取り組みの進展が、人権侵害等の問題解決に向けた道のりの一つであると考えて、業界横断的な活動に取り組みました。

このような国内外での業界連携の取り組みによって製錬業者のコンフリクト・フリー認証に関する理解が進み、2017年11月時点*6では、世界で250社の製錬業者がコンフリクト・フリー認証を取得しています。そのうち、249社がトヨタの2017年調査の結果に含まれています。

  • *1JAPIA(Japan Auto Parts Industries Association):日本自動車部品工業会(http://www.japia.or.jp/
  • *2JEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association):電子情報技術産業協会(http://www.jeita.or.jp/
  • *3AIAG(Automotive Industry Action Group):米国の自動車業界の行動規範を定める団体(https://www.aiag.org/
  • *4RMI(Responsible Minerals Initiative):レスポンシブル・ミネラルズ・イニシアティブ、紛争鉱物問題に取り組む米国の組織(http://www.responsiblemineralsinitiative.org/)旧コンフリクト・フリー・ソーシング・イニシアチブ(CFSI)
  • *5PPA(The Public-Private Alliance for Responsible Minerals Trade):紛争にかかわらない鉱山の特定をはじめとする責任ある調達の実現に向けた取り組みを推進しており、政府機関や業界団体、民間企業、NGO等が加盟(http://www.resolv.org/site-ppa/
  • *6トヨタが2017年調査結果の分析・評価を開始した時点

業界横断的な取り組みの全体像

業界横断的な取り組みの全体像

紛争鉱物の使用状況の把握

(1) 2017年に実施した調査

トヨタは、2013年5月から、紛争鉱物の使用状況について本格的な調査を開始し、2017年も同様に、自動車やマリン等の事業を対象に、国内外の第一次サプライヤーに対し、グローバルにサプライチェーンを遡って調査を実施しました。

未提出のサプライヤーに対しては、督促を行い、最終的には数千社以上からの回答を得ました。また、受領した回答内容については内容の確認を行い、回答不備や記入漏れが含まれる場合は再提出を依頼する等、紛争鉱物に関する取り組みを、より実効性のあるものにするために活動しています。

調査開始にあたっては、効率的かつ効果的な調査の実施を目指し第一次サプライヤーを対象とした説明会の開催、調査帳票の記入マニュアルや調査結果を集計するためのツールの作成、JAPIA及びJEITAが共催する説明会へのサポート等を行いました。調査開始以降もサプライヤーとの強固かつ緊密な関係に基づくコミュニケーションを通じ、連携を図っています。また第一次サプライヤーからのフィードバック内容を踏まえた調査マニュアル、FAQ、集計ツール等の改訂を行い、それらの調査支援ツールを無償で公開しています。

トヨタは、紛争鉱物報告書の報告対象である紛争鉱物がコンゴ周辺諸国を原産国とするものか、また、これらの地域における武装勢力の資金源となっているものかを確認するため、紛争鉱物の調達や加工・流通過程管理に関するデュー・デリジェンスを進めています。デュー・デリジェンスの手続きは、「OECD 紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・デリジェンスガイダンス」で定められた基準に従って、取り組んでいます。
紛争鉱物調査に関するリスクについては、経営陣との議論を実施の上、その評価結果及び対応策についてリスク管理計画書に取りまとめており、それらを基にリスク低減に向けた活動を行っていきます。
社内で策定した基準及び手順に基づき、自動車事業(トヨタ車・レクサス車)の国内及び海外の第一次サプライヤーの中から、リスク低減に向けたフォローアップを優先的に行うサプライヤーを選定しています。

(2) 2017年調査の結果

調査結果及びトヨタの取り組みにつきましては、Form SD及び紛争鉱物報告書に取りまとめ、米国証券取引委員会に提出しました。

※2017年「Form SD」および「紛争鉱物報告書」については、ホームページをご覧ください。
http://www.toyota.co.jp/pages/contents/jpn/investors/library/sec/pdf/form_sd_201805_final.pdf

自動車のサプライチェーンは広範かつ複雑なことから、2017年の調査では、サプライチェーンの上流で製錬業者や鉱山の特定に至らなかったケースが多数ありました。

調査結果の詳細につきましては、下記をご確認ください。

(i) 原産国:

製錬所(精錬所)及び紛争鉱物の原産国に関する十分な情報をサプライヤーより入手することができなかったため、当社製品がDRCコンフリクトフリーであるか否か判定することはできませんでした。

(ii) 製錬(精錬)施設:

調査を通じ、一部の製錬(精錬)業者に関する情報については取得することができ、その中にはコンゴ周辺諸国を原産国とする鉱物を使用している業者が含まれていることが確認されました。
しかし、それらが、武装勢力の資金源となっているか否かを判断するために十分な情報は入手することができませんでした。

開示内容に関連する社外からの問合せ対応の体制としては、情報が全てタスクフォースに集約され、タスクフォースにて対応を議論する仕組みを整備しています。

今後の取り組み

トヨタは、コンゴ周辺諸国産の人権侵害等の不正にかかわる紛争鉱物を原材料として使用しないコンフリクトフリーを目指し、第一次サプライヤーの皆様とともに、取り組んでいきます。製錬業者情報の収集や製錬業者団体への働きかけなど、調査、およびデュー・デリジェンスの実施に向けた環境の整備も重要であると考え、業界団体・各種参加団体との連携も推進していきます。

今後の取り組み内容

  • 原産国調査及びデュー・デリジェンスの改善
  • 主要な第一次サプライヤーからのフィードバック内容を踏まえた、調査手法の改善
  • 紛争鉱物調査に関する説明資料等の提供、JAPIAとの定期的な会合の開催、直接取引のあるサプライヤーとの継続的なコミュニケーション及び意見交換の実施等、サプライヤーに対する認知度向上に向けた取り組みの実施
  • AIAG、JAPIA等の業界団体を通じた、製錬業者に対するコンフリクトフリー認証取得のはたらきかけ
  • AIAGを通じたRMIへの貢献等、業界横断的な取り組みの継続
  • 仕入先CSRガイドラインに記載の要請事項に含まれる「責任ある資源・原材料の調達」に関し、改善の余地のある場合、サプライヤーへのはたらきかけを実施