

2022年06月28日
ルワンダ花卉農園での生産性向上と物流カイゼン支援
JICA 民間連携プログラム 中小企業・SDGsビジネス支援事業 適用事例
トヨタ自動車 未来創生センター(以下、トヨタ)は、2019年から2021年*1まで独立行政法人 国際協力機構(以下、JICA)、ドローンジャパン株式会社、株式会社ACSL、カーネギーメロン大学アフリカ校のご協力のもと、ルワンダ・サブサハラ地区における貧困解消への取り組みとして、高付加価値農産物である花卉の生産性向上と収穫物の物流カイゼン*2に取り組みました。主な取り組み内容は以下の通りです。
- 1. 生産性向上:ドローンジャパンの地上走行型ドローンで、ルワンダ花卉農園において輸出用に栽培されているリンドウの成育状況を撮影。日本にいるドローンジャパンメンバーが、撮影データをもとにAI画像認識により、成育異常個体の発見や収穫時品質の予想を実施
- 2. 物流カイゼン:上記の収穫時品質予想により、ドローンジャパンがルワンダにいるスタッフに収穫を依頼。現地スタッフが収穫した花卉をACSLの飛行型ドローンに搭載。ドローンが自律で花卉を農園内の倉庫まで輸送(約300m)

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(2) -
(3)
地上走行型ドローンの試運転(1)、ルワンダの道路状況。轍があり、ぬかるみも多く、車両走行が困難。インフラ整備よりもドローン輸送のほうが安価(2)、収穫した花卉を飛行型ドローンで運搬(3)
トヨタにはすぐに活用できる技術がなく、ルワンダでの農業やドローンの規制に関する知見もなかったため、JICAの民間連携プロジェクトに応募し、採択されました。またカーネギーメロン大学アフリカ校とともに、ドローンの輸入や飛行に伴う現地規制当局との調整を実施したり、花卉を搭載したドローンが自律で飛行することに対しての周辺集落への受容性調査を行ったりしました。
新型コロナウイルス禍による現地ロックダウンなど、企画当初から状況が大きく変わりましたが、IT立国ルワンダにおけるAI画像認識による生産性向上とドローンを活用した物流カイゼンのポテンシャルは十分感じることができました。また、本事業を通じ現地化の際の新たな課題を発見することもできました。ルワンダで収穫したリンドウがオランダ・アムステルダムの花卉市場で売られ、ルワンダ花卉農園の収益拡大につながっていると聞くと、とても嬉しく思います。今回は日本から技術とノウハウを持ち込みましたが、今回のJICA事業をきっかけに現地でよりよいシステムを現地の大学、ベンチャーで作り上げていければ、ルワンダ政府が狙う周辺国への技術移転にも寄与していくと信じています。
- *1
- 契約では2020年までの予定だったが、新型コロナウイルス感染症のため2021年まで延長
- *2
- ルワンダ国 次世代型モビリティ(ドローン)を活用した高付加価値農作物輸出促進のための普及・実証・ビジネス化事業

プロジェクトメンバー:
ドローンジャパン 代表取締役社長 勝俣 喜一朗さん(左)、Bloom Hills Rwanda Ltd. 代表取締役 原田 俊吾さん(右)。Bloom Hills Rwandaはルワンダでの花卉輸出を目的としたベンチャー会社

著者:
草嶋 隆行
1991年入社。経済学部卒。入社後、調査、渉外、経営企画に従事。ルワンダには既に10回以上渡航
参考文献
- GETNAVIインタビュー記事(2019年当時):「ドローンでルワンダの農業に革命を」――トヨタがアフリカの新事業に泥臭く挑むワケ
- JICA中部民間連携事例集
- ドローンジャパン株式会社
- 株式会社ACSL
- カーネギーメロン大学アフリカ校