造園用ノシバ TM-Crossの詳細

TM-Crossの詳細

1概要

TM-Crossは、高密度・省管理タイプの改良ノシバです。
茎葉の密度が一般的なノシバの約3倍あり、飛来雑草種子が着地しにくく、地表面が暗いため、雑草種子の発芽防止が期待できます。発芽した雑草の生育抑制も観察されています。
草丈が低いため、年に1~2回の芝刈りで維持が可能です。
緑が濃く、景観性に優れたターフを形成します。

2雑草の発芽抑制

傾斜地で管理している在来品種のノシバとTM-Crossの芝生上部に、模擬雑草の種子を均一に散布し、2か月の模擬雑草の発芽数を比較した結果、TM-Crossに発芽した雑草の数は、ノシバの約1/3でした。茎葉が高密度のTM-Crossでは、雑草の種子が地面に着地しにくくなり、地表面が暗いため、着地した種子は発芽しにくくなることが考えられます(100c㎡あたりの芝の直立茎の測定事例:ノシバ149本、TM-Crossは468本)。

3雑草の生育抑制

4種類の模擬雑草の種子を、芝生の土壌に穴を空けて播種し、雑草の生育状況を比較しました。雑草の発芽数は同程度でしたが、TM-Crossでは、発芽した雑草の生育が抑制されており、芝刈り後には、雑草の数も減少しました。TM-Crossは、野生種に近いノシバに比べて肥料成分を早く吸収し、雑草の生育を抑制すると推定しています。

刈高4㎝と10cmで刈り込みを行い、芝生と雑草を合わせた廃棄物の発生量(生重量)を測定した結果、TM-Crossで発生する廃棄物量は、ノシバと比べて約1/10になりました。集草・運搬・焼却費用、関連する消費燃料の削減(CO2排出量削減)が期待されます。

4想定される利用場所

ノシバが使用される芝生広場などでも利用できますが、雑草抑制効果を期待する場合には、高密度、草丈5cm以上で維持するため、柔らかく、ふわふわした状態になります。芝生の上部を高頻度に歩行しない傾斜地や緑地帯などでの使用がお勧めです。

緻密な芝が好まれ、芝生の上を利用することが多い一般家庭ではコウライシバが一般的です。ノシバのTM-Crossは、集客施設・企業緑地・公園の傾斜地などがお勧めの場所となります。屋上緑化で芝生の上を利用しない場合にも適しています。

5管理費用の削減

堤防などの傾斜地をノシバで緑化し、3年間の人力除草後に、雑草地を機械除草する場合と、TM-Crossで芝生として維持する場合の費用を試算した結果、材料費と管理費を合わせた費用は、5年目にTM-Crossの方が安くなりました。管理費用が安くなるだけでなく、芝生として良好な景観が維持できるメリットがあります。

6特長を生かした施工・管理方法

施工自体は、他のノシバと同様に行いますが、施工予定の場所にノシバが残っているとTM-Crossに混入するため、表土を入れ替えるか、除草剤で枯らします。
雑草抑制を目的に使用する場合には、自然な草丈と高密度が維持できるように管理します。原則として生育期間中の春~秋には、芝刈りを行わず、自然な草丈(5~10cm)を維持するようにします。自然な草丈と高密度の状態を維持することで、飛来する雑草の発芽抑制が期待できます。冬に芝刈りを行いますが、刈高は5cm以上に調整します。冬の芝刈りでは、芝刈り後の葉先の割れやダメージが気にならないため、ロータリーモアやハンマーモアが使用できます。5月~6月に穂が気になったり、草丈の不揃いが目立ったりする場合には、芝刈りを追加します。
茎葉の密度と草丈を維持するためには、適正な施肥が必要です。

TM-Crossを肥料不足の状態で放置すると、葉色が薄くなり、茎葉の密度が低下し、衰退が進みます。必ず、年間15gN/㎡程度を目安に施肥を行います(最適な施肥量は土壌状態や降雨量によって変化します)。

7日本芝との比較

TM-Crossは、ノシバの在来品種より葉の幅が狭く、茎葉の密度が高く、葉色が濃いため、景観性の良いターフになります。従来品種のノシバの管理は、利用方法により変化しますが、TM-Crossは景観性を維持しながら、芝刈り回数を削減することができます。

8耐性

耐寒性は強いため、北海道でも越冬は可能ですが、寒地型の芝生と比べて緑化期間は短くなります。耐陰性はノシバと同等で、半日以上の直射日光が当たる場所が目安です。耐踏性はノシバと同等で、芝生広場であれば、使用は可能です。耐塩性もノシバと同等です。

9芝生緑化の特徴

樹木と比較すると、施工・管理に関するコストが安くなる傾向があります。使用できる除草剤が多く、高い技術が求められる剪定作業は不要です。落葉や剪定枝が発生しないため、管理費用・廃棄物の削減が期待できます。CO2を固定した光合成産物は、根や茎に由来する有機物として、土壌中に蓄積するため、CO2吸収量は樹木と同等という文献があります(芝生によるCO2吸収の説明はこちら)
雑草地と比較すると、除草費用/廃棄物発生量を大幅に低減できます。傾斜地の亀裂や不法投棄などの異常を早期に発見することができます。
裸地と比べると、地温の低下効果があり、雑草が発生しにくくなります。傾斜地では土砂の流出防止に効果があります。

緑地のコスト削減と環境貢献の両立に関する解説資料は、こちら(資料ダウンロードにリンク)からご請求ください。