タイヤ用ゴム材料開発の実績
2023.03.29
タイヤ用のゴム材料開発のためには、材料内部の構造と性能の関係を示すこと、そして性能を発現するメカニズムを解明することが求められます。そのために、材料の種類や様々な環境によって変化する材料内部の構造を定量化する必要があります。
タイヤ用ゴム材料の性能発現メカニズム解明のため、ゴム材料に動的な変形を与え、その時々の材料内部の構造を様々な手法で分析します。この時、時間とともに取得されるデータ数が膨大となり、データ解析の時間がメカニズム解明や材料開発のボトルネックになっていました。そのような状況から、取得データのごく一部のみを使った解析しかできず、ほとんどの取得済データが有効に活用されていないという問題がありました。
<材料計測>
ゴム材料を試験片として切り出し、試料に引っ張りを加えながらX線小角散乱(SAXS)パターンを取得し、WAVEBASEで解析しました。
データ数 およそ1500 (SAXS画像数 約50枚 × 材料種 約30)
全SAXSパターンから取り出した特徴量を俯瞰すると、時系列に変化する様子が見られ、機械特性毎に異なる挙動が見られました。
取り出した特徴量を使って材料の機械特性を回帰するモデルを作成することができました。これより、材料の機械特性は材料内部の構造情報を含むSAXSから取り出した特徴量で記述できることがわかりました。今後、特性に影響度の高い主成分の解釈、材料作製の条件とSAXS特徴量との相関調査を進めることで、材料開発の指針が得られることも期待されています。
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