エコモニタリングの成果から

森の機能と森林整備


森の機能
森の写真
[森の写真]
森林の大事さはそれが都市近郊にあっても、奥山にあっても特に価値が変わるものではありませんが、自然の少ない都市に住み、森の恩恵を求めているたくさんの人々にとっては、森林はより高い価値を感じる場所であると思います。
森 の機能には様々なものがあります。例えば気温や湿度を調節する気候緩和の機能、最近では二酸化炭素の吸収が言われるようになりました。また、いろいろな生 物の生きる場所として、また良い風景を提供したり、森の中で過ごすことによる快適性の提供、もちろん社会に木材やエネルギーを提供したり・・・・等など。

トヨタの森の整備
トヨタの森はいろいろなパターンで森林の維持管理を行なってきました。
以下にその整備と維持管理手法を整理します。
整備林
[整備林]
林内を明るく、立ち入る人に快適感を与える林を目指します。
未整備林
[未整備林]
整備林の比較としてあえて手を入れない林とします。
肥培試験区1
[肥培試験区1]
落葉堆肥や炭を入れて、林の活力を高め生産量を高めます。
肥培試験区2
[肥培試験区2]
1の比較としてあえて手を入れない林とします。
自然林化1
[自然林化試験区1]
広葉樹の林の下に針葉樹を育てて、広葉樹と針葉樹の混交林を目指します。
自然林化2
[自然林化試験区2]
1とは逆に針葉樹の林の下に広葉樹を育てて、広葉樹と針葉樹の混交林を目指します。
コジイ林
[コジイ林]
この地域の本来の自然に生育するコジイを中心とした里山の環境を見ていきます。
トヨタの森の機能とこれからの里山
森の機能の表
森の機能について
トヨタの森の整備・維持管理手法と森の機能を図のように整理してみました(森の生産量と二酸化炭素の吸収・固定 参照)。
炭素固定の機能が高く、植物種が多いのは大径木のあるコジイ林ですが、コジイ林は林が込み合っているので、歩きづらく、快適性には乏しい林です。
人間にとって快適性が高いのは、整備林ですが、動物は未整備林やコジイ林をよく活用しています。材の生産機能は整備林や自然林化2が高いと言えます。

こうしてみると、森には全ての面で効率の良い「唯一の姿」というものはなく、様々な機能を発揮する様々な環境が必要と考えられます。これらの異なる環境がお互いに補いあいつつ、数多く存在する森が、全体として最も効率の良い森と言えるのではないでしょうか。

今、里山が放置されて荒れていることが問題になっています。
し かし、手を入れていくことは必要ですが、みな同じように手をいれて全く同じような森の姿にはしないということが重要でしょう。それでは現在の人工林と同じ問題が生じてしまいます。同じ敷地内に異なる機能と姿 を持つ林をモザイク状に分布させておくことや、数年おきにローテーションを組んで手を入れていくことが必要です。
また、今里山も奥山も森 の中には大径木が少なくなっています。
その森のシンボルとなるような大径木の候補となる木を少しずつ残して、育てていくことは、炭素の固定や植物種の多 さ、動物の繁殖場所を提供するという意味でも、重要なことです。(トヨタの森のフクロウトヨタの森のムササビ 参照)。

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