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2007年「第54回マカオ・グランプリ」特集

「第54回マカオ・グランプリ」レースレポート


 11月18日、中国広東省マカオの公道コース(サーキット・ダ・ギア1周6.12q×15周)で開かれたF3による「第54回マカオ・グランプリ」で、TDPドライバーの大嶋和也(チーム・レクリス・トムス)が3位表彰台を獲得。ヨーロッパで活躍するTDPドライバーの小林可夢偉(ASMフォーミュラ3)も最後尾の29位からスタートしながら13位まで浮上する健闘を見せた。また、大嶋のチームメイトのオリバー・ジャービス(チーム・レクリス・トムス/トヨタ1AZ-FE)はポールポジションからスタートしマカオ初優勝。トヨタ1AZ-FEエンジンが1、3位を制する結果となった。

 マカオ・グランプリがF3規格となった1983年から数えて今年は25周年。ヨーロッパ、日本などを中心に30人の精鋭がマカオに集った。この中には2007年全日本F3チャンピオンのTDPドライバー大嶋和也(チーム・レクリス・トムス/トヨタ1AZ-FE)、今季ユーロF3に参戦したTDPドライバーのNo.9小林可夢偉(ASMフォーミュラ3/メルセデスHWA)らがおり、2名ともマカオは挑戦2年目であり、好成績が期待された。


2006年「第53回マカオ・グランプリ」戦績

大嶋和也 7位
小林可夢偉 19位

第54回マカオ・グランプリ・タイムスケジュール

11月15日(木曜日) 10時30分〜11時00分 プラクティス
14時15分〜15時00分 予選
11月16日(金曜日) 11時45分〜12時15分 プラクティス
15時05分〜15時50分 予選
11月17日(土曜日) 13時20分〜14時10分 予選レース(10周)
11月18日(日曜日) 8時35分〜8時55分 ウォームアップ
15時35分〜16時35分 決勝レース(15周)

第54回マカオ・グランプリ・レースレポート

11月15日(木曜日)
プラクティス1 10時30分〜11時00分 7位 オリバー・ジャービス 2分15秒625
12位 大嶋和也 2分15秒940
13位 小林可夢偉 2分16秒104

第1回予選 2時15分〜3時08分 7位 小林可夢偉 2分13秒925
11位 オリバー・ジャービス 2分14秒149
13位 大嶋和也 2分13秒353

 小林可夢偉はピットレーン出口が赤色灯点灯時にファストレーンに進入したため、予選ポジション3番降格のペナルティをとられた。トヨタ・トムス勢はセッティング・データを採るための走行で、順位は気にしていない。

 
* カーNo.6 大嶋和也選手

11月16日(金曜日)
プラクティス2 11時50分〜12時20分 3位 オリバー・ジャービス 2分13秒003
5位 大嶋和也 2分13秒385
12位 小林可夢偉 2分14秒339

第2回予選 3時40分〜4時35分 1位 オリバー・ジャービス 2分11秒696
7位 小林可夢偉 2分12秒332
8位 大嶋和也 2分12秒477

 クラッシュなどが原因の赤旗中断が3回もあった荒れたセッションとなったが、日本人トヨタ勢はクラッシュにまきこまれることもなく、ほぼ順当なポジションを得た。

 
* カーNo.9 小林可夢偉選手

7位:小林可夢偉:

「タイムをまとめるのが難しい、きびしい予選でした。山側でブレーキが安定せず、これ以上は無理という限界まで攻めましたが、さらに上がいたということです。いま不調の原因をデータ分析しているところですが、明日はデータを採りつつひとつでも順位を上げ、決勝で勝負です。今日、来季トヨタF1のサードドライバーに抜擢された発表があり嬉しいし楽しみですが、正直なところ、いまは明日の予選レースのことで頭がいっぱいです」

8位:大嶋和也:

「くやしいです。クルマがいいからもっといいタイムが出るはずだったのに、クリアラップが取りにくかった。2分11秒台には行きたかったですね。オリバーのポールポジションはボクにも出せないタイムじゃなかっただけにくやしい。明日の決勝は欲張らずに4〜5番手に入ればいいと思ってます」

ポールポジション:オリバー・ジャービス(チーム・レクリス・トムス/トヨタ1AZ-FE)

「赤旗が何回も出され、走行中も黄旗が提示されてたきびしいセッションだったが、集中力を途切れさせることなく走れた。アスマー、ツカコシ、そして僕とトップが入れ替わるコンペティティブな展開の中、ポールポジションが取れて嬉しい。彼らは全日本F3で戦ったライバルで、全日本F3のレベルの高さが証明されたと思う。今日はうまく行った」

 セッション後、予選4位のS・ブエミが黄旗区間での区間ベスト・タイム更新の違反があり5ポジション降格のペナルティを受け9位。小林可夢偉の3番降格と併せて大嶋和也は6位グリッドからのスタートとなる。


11月17日(土曜日)
予選レース(13時20分〜10周)

 13時20分、フォーメイションラップ開始。13時25分、レース・スタート。

 2位アスマーがダッシュよくポールシッターのジャヴィスのスリップストリームを使い、1コーナーのリスボア・ベンドまでに前に出て1、2位逆転。その後方で3台による多重クラッシュ発生。10位スタートの小林可夢偉は発進はしたものの歩むようなスピードで、コントロールタワーを過ぎたとこころでストップ、エンジン・ブローによりリタイア第1号となる。

 2周目から事故処理のためセーフティカー出動。すでに4台がリタイア。オーダーは先頭からM・アスマー、O・ジャービス、大嶋和也、J・ジェイクス、S・バード、Y・ブールマン……の順。

 5周目からレース再開。6周目のストレート区間でジャービスがアスマーのスリップストリームを使い、1コーナーでアウトから攻略、トップ奪還。

 13時48分、コントロールタワー前コース上にクラッシュしたマシンがストップ。8周目に赤旗が出されレース中止。レースは7周時点での順位で成立した。最速ラップは・ジャービスが7周目に記録した1分13秒831(164.62q/h)。


3位:大嶋和也:

「レース前に少しセッティングを変更してレス・ダウンフォースにしたらマシンがすごくいい状態になった。スタートは悪くなかったが行き場がなくなってしまった。しかし、リスボアで3位に上がることができた。あと2〜3周あればアスマーを抜けたと思うが、今日のレースでは勝ちに行く必要はなかったので、3位でいい。明日はレス・ダウンフォースのまま山側でもう少し速く走れるセッティングにして、朝のウォームアップで試してみたい」

0周リタイア:小林可夢偉:

「スタートに向けてアクセルを開けていったらボーンとエンジンが壊れてしまった。エンジンは回っていたが、どうしようもないのでマシンを止めた。明日は頑張るしかないが、安全に前車を抜いて行きたい」

優勝:オリバー・ジャービス(チーム・レクリス・トムス/トヨタ1AZ-FE)

「スタートではアスマーがいい動きでリスボア・ベンドに行くまでに抜かれてしまったが、リスタートの後は僕もいいパフォーマンスを見せられてアスマーの背後につけ、リスボアで抜き返すことができた。明日のレースは自信があるけれど、今日とは違う展開が待っているはずだ。勝つか負けるか、すごく面白いレースになることだけは確かだ。トップ5は誰にも勝つチャンスがあると思うが、クリーンなファイトで勝ちたいと思う」

11月18日(日曜日)
ウォームアップ(8時35分〜8時55分)
1位 オリバー・ジャービス 2分11秒516
2位 大嶋和也 2分11秒704
22位 小林可夢偉 2分14秒387

 トムス勢は両者とも快調で、早朝とあって気温が低いこともありタイムは予選時よりも上。大嶋は「マシンは快調です。予選でクリアラップを取れればこれくらいのタイムは出せたということが証明されたという意味でもよかった。ダウンフォースを減らしても走れることが分ったので、いいレースができると思います。ライバルはチームメイトのジャービスですね」と語る。前日の予選レースで2番シリンダーのバルブ破損によりエンジン・ブローとなった小林可夢偉は、エンジン交換した後のマシンのチェック走行が主体となり、あえてタイムを出しに行っていない。


決勝レース(3時35分〜15周)

カーNo.9 小林可夢偉選手

 3時35分、フォーメイションラップ開始。3時39分、レース・スタート。ポールシッターのジャービスが1コーナーに1位の座を保ったまま進入。その背後にはM・アスマーを抜いた大嶋和也がつけ、トヨタ・トムス勢がワン・ツー態勢確立。ジャービスと大嶋の差は約2秒。大嶋に抜かれたアスマーはついて行こうとするが、その差は1.4秒と容易に縮まらない。小林可夢偉は3周目には20位に浮上。

 7周目、クラッシュが発生し、その事故処理のためセーフティカーが出動。8周目から10周目まで先導し、11周目からレース再開。トップのジャービスは一気に加速して大嶋に再び明確なリードをとる。その後方では塚越広大がアスマーをパスし、さらに大嶋に照準を合わせて13周目のリスボア・コーナーでパス。大嶋も食い下がるがマシン・バランスが悪化しており、ジャービス、塚越、大嶋の順でチェッカー。小林可夢偉は13位まで追い上げたところで幕となった。



3位:大嶋和也:

「3位は満足できる結果とはいえません。スタートでトップに立ちたかったが2位。2周目のリスボアでジャービスに勝負をかけたかったけど、失敗しました。セーフティカーが出るまでウチのチームがワン・ツーだっただけに3位に落ちてくやしいです。リスタートに向けてタイヤを温めたのですが、フロントは冷えているのにリヤが熱くなり過ぎてアンダーステアが出てしまい、マシン・バランスが狂ったところを抜かされてしまいました」

13位:小林可夢偉:

「木曜日に走り始めた時からマシンの調子がいまひとつで、ペナルティをもらっただけでなくエンジンがブローしたことで流れが悪い方に行ってしまった。チームのムードも落ち込んでしまったので、なんとか自分の力で流れを引き戻したいと頑張った。レースは何台か抜けたのでよかったんじゃないかと思う。いろんな経験ができたレースでした」

優勝:オリバー・ジャービス(チーム・レクリス・トムス/トヨタ1AZ-FE)

「昨日はスタートしてからすぐにアスマーに抜かれたので、今日は作戦を変えて1コーナーでもトップをキープした。セーフティカーが退出してからも1コーナーにクールショットを決められることができたし、後ろからツカコシが来た時には少しプッシュしたが、残り数ラップしかなかったから抜かれるとは思っていなかった。昨日、ポールポジションからスタートして勝ち、今日も同じパターン。マシンもチームもチームメイトもすばらしかった。今日もトップ5人は全日本F3参戦ドライバー。レベルの高さを証明できた」
 
(写真)左:オリバー・ジャービス選手、右:大嶋和也選手

これでTDPドライバー大嶋和也と小林可夢偉の2007年シーズンはすべて終了。来年の活躍にも期待したい。


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