トヨタの森のムササビ
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里山の空飛ぶ哺乳類−ムササビ |
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ム
ササビは、里山の特徴的な生物です。夜行性の哺乳類で、木から木へと手と足の間に発達した皮膜で滑空して移動します。餌は植物食で、ドングリやマツや
ヒノキの実や芽、葉などを、その季節季節に応じて食べます。そのため、ムササビは里山の中に特に様々な植生があることの指標になります。 そして、愛知県ではその数が徐々に減ってきているため、保護が必要な動物です。 ムササビは雌だけがなわばりを持つとされています。なわばりの中に複数の巣をもち、一つの巣をずっと使うことはなく、日によってその巣を使い分けています。そのため、なわばり内に巣となる樹洞が少ないとなわばりは大きくなる傾向があります。
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トヨタの森のムササビの行動圏 |
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この行動圏の中の植生はコナラ、アベマキといった落葉広葉樹を主体とした樹林で、スギ・ヒノキ林、照葉樹林、竹林等が混在する地域でした。季節によって餌場を使い分けられる林が近くにあることが必要なようです。 また、その行動圏の中にある鉄塔を巣の一つとして使っている様子が見られました。 行 動圏が通常言われているより広いこと、鉄塔も巣の一つとして使っていることから、トヨタの森の南をなわばりとするムササビにとって、巣となる樹洞が足りない 状態であり、これがこの地域に住める個体数を制限して、生息密度が低くなっているものと考えられます。調査中ムササビがフクロウの巣でも確認されたことも あり、ムササビの「住宅難」は深刻なようです。 |
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ムササビの飛ぶトヨタの森へ |
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また、現在でも比較的大木のあるコジイ林の地域がありますが、そこは林の中にタケ類が繁茂しすぎているため、餌植物が少なくなったり、滑空して移動することが難しくなるため、ムササビがすみにくい地域になっているようです。 このような地域はタケ類を伐採して、下草が生育するようにすると餌場環境として改善され、また、樹洞も使えるようになるものと考えられます。 また、今の木々が大木に成長するまでの暫定的な措置として、巣箱をつけて、樹洞の代わりに利用してもらうことで、生息密度を上げていき、徐々に自然の樹洞に移動してもらうことも効果的と考えられます。 |
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