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年輪からシデコブシの生長をみる |
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| シデコブシの年輪 | 木を切ると、その切り口に年輪が見えます。 その年輪を数えるとその木が何歳だったかがわかりますね。またその年輪の生長の幅が広いほど、成長率が良いことを示しているのです。 シデコブシの更新試験を行なった林のシデコブシや一緒に競争していたサカキやソヨゴ、シデコブシの上を覆っていたヒノキやコナラの年輪を数えることでそれらの樹木がどのように生長してきたか、歴史を振り返ってみましょう。
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あるシデコブシの生長とその周囲の樹木との関係
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1.林の始まり:55年前 一度伐採されたのかもしれません。最初はコナラの実生が、幼木になり、その間にヒノキが植えられました。 これが1950年〜1955年のことです。
2.コナラの下に幼木揃う:45年〜35年前 コナラが順調に生長する中、ヒノキが植えられた後にそれぞれ、サカキやソヨゴ、シデコブシも実生が生長しコナラの下に2m前後の幼木が生長してきました。シデコブシが最も小さく少し出遅れた感じです。
3.シデコブシは光を求めて:30年前〜20年前 コナラ、ヒノキはまっすぐ幹をのばしていきます。その下にソヨゴも幹をのばしさらにその下にサカキが枝を拡げます。シデコブシも幹をのばし始めましたが、他の木の陰にならないよう、光を求めて斜めに伸びざるを得ませんでした。
4.更なる光を求めて:15年前〜 コナラ、ヒノキ、ソヨゴ、サカキが枝を張ります。シデコブシの幹も伸びましたが、それは横へ横への伸びでした。光を求めて横へ、横へと枝をのばしていかざるを得なくなったのでしょう。 5
年前にシデコブシと競合する周囲のサカキやソヨゴを伐採し、シデコブシに光がよりあたるように整備を行いました。一旦シデコブシは元気を取り戻しました
が、年輪解析の結果からみると、明確に生長量が大きくなった様子は見られず、逆に一部残したサカキの生長量が良くなりました。 周囲の樹木を切る管理も、もう少し早く、シデコブシの樹齢が30年くらいまでの間に行なっていれば、もっと効果が現れたかもしれません。
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参考:年輪解析の方法 |
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1.年輪の表面にヤスリをかけます。

| 年輪解析写真 | 2.年輪の中央を通る長径と、これに直交する直線を引きます。 3.樹皮の内側から5年ごとの年輪にマークをつけます。 4.年輪の中心からマークした年輪までの距離を測定します(5年間の生長量が分かります)。
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