個人のお客様 詳細栽培マニュアル

詳細栽培マニュアル

TM9は、管理/品質レベル別に適切な植付け準備や作業を行うことで、最小限の管理で状態の良い芝生を維持することができます。管理/品質レベルの説明を参考に、目標とするレベルを設定していただき、準備や作業を行うことをお勧めします。

芝生の管理/品質レベル

省管理で栽培する場合には、適正な密度を維持することで、一般家庭や公園レベルの品質と省管理性を両立することができます。高レベル管理では、芝の密度を高く維持することで、ゴルフ場レベルの美しい芝生を目指すことができます。

TM9の特長と管理レベル別のメリット

省管理では、草丈が低い特徴を生かして、芝刈り回数を低減できます。芝刈りで失われる肥料成分が少なく、葉の色が濃いことから、施肥量を減らすことができます。その他の作業などを含めて管理を最小限にすることで、道具や資材の種類や量を低減できます。密度を低くして維持する場合、頻繁に歩いたり、運動したりすると傷みやすいため、ある程度の密度を維持することをお勧めします。
高レベル管理では、匍匐茎の密度が高い特長を利用して、高密度の芝生を維持することができます。施肥・芝刈り回数やその他の管理頻度は、一般のコウライシバと同様になる場合があります。

レベル別の管理内容

省管理では、緑で覆われた公園レベルの芝生を目指した管理を行います。サッチング(枯れた茎葉の除去)や目土入れ、エアレーション(土壌に穴を空けることで、通気性・透水性などを改善)は必要に応じて実施します。高レベル管理では、一般的なコウライシバと同様の管理を行うことで、葉の色が濃く、密度の高いゴルフ場レベルの芝生を目指します。

芝張り前の土壌改良

芝張り後に、土壌を改良することが難しいため、目標とする芝のレベルに合わせて、植え付け用の土壌を準備します。適正密度で管理する場合でも、5cm以上の厚さが良好な土壌になるように準備します。高密度を目指す場合は、20~30cmの厚さにします。基盤土壌の上に、芝生に適した床土(市販品あり)を入れる場合と、基盤土壌に砂、堆肥、パーライトなどの土壌改良剤を混合する場合があります。砂は透水性、堆肥は保肥力と有機成分の補給、パーライトは透水性・保水性の確保に効果が期待できます。
降雨時に水たまりができないように、雨水を流す予定の周辺や雨水枡に向かって、地表面に勾配ができるようにします。土が柔らかすぎると、芝張後に凸凹(不陸)ができる場合があるので、人が踏んでも沈まない程度まで土を押さえてから、凸凹が無いように調整します。
芝張前の土壌に雑草が生えている場合は、事前に茎葉処理タイプ(茎葉から成分が吸収され雑草が枯死する除草剤で土壌では速やかに分解されるタイプ、成分例:グリホサート)の除草剤などを使用して雑草を枯らすなどで、完全に除去します(土壌処理タイプの除草剤は、残効性があり、芝生にも影響するため使用できません)。雑草の種子が残っていることが多いため、少し厚めに床土を入れることで、雑草の発芽を抑制することができます。

有効土壌の厚さと散水頻度

芝の根が伸長し、水や肥料成分を吸収できる有効土壌の深さによって、散水頻度が変化します。基盤土壌の固さや土質が、根が伸長できる程度の場合には、基盤土壌に含まれる水を含めて芝が利用できますが、基盤土壌が固く、根が伸長できない場合は、改良した土壌の部分の水しか利用できません。有効土壌が薄い場合でも芝は生育しますが、利用できる水が少ないため、夏の散水頻度は増加します。改良土壌/床土の保水性によっても散水頻度は変化します。堆肥(有機物資材)、パーライト、バーミキュライトなどを混合すると保水性が改善します。

芝を張り替える場合の注意事項

別の種類の芝(一般のコウライシバなど)から、TM9に張り替える場合、元の芝の匍匐茎(地中にある茎)が残っていると、TM9の中に、元の種類の芝が再生することがありますので、完全に除去することが必要です。また、土壌中には雑草や芝の種子があることが多いので、匍匐茎だけでなく、種子を含む土壌も除去します。元の芝が再生するリスクを減らすために、元の芝に茎葉処理タイプ(茎葉から成分が吸収され雑草が枯死する除草剤で土壌では速やかに分解されるタイプ、成分例:グリホサート)の除草剤などを散布して、枯らしておくことも有効な方法です。茎葉処理タイプの除草剤は、冬枯れ中は効果がないため、芝の葉が緑の期間(秋まで)に散布します。土壌処理タイプの除草剤は、残効性が長いことが多く、新しく張った芝生にも影響するため使用できません。
元の芝の匍匐茎と土壌(数cm)を除去した場所に、新しい床土を入れます。除去した土をふるいにかけて元の芝の匍匐茎を除去しても、雑草や芝の種子が残っている場合が多いので、再利用はお勧めしません。雑草や芝の種子は、地下深くにあると発芽しないことが多いため、新しい床土を入れることで、元の土壌に種子が残っていても、発芽を抑制することができます。

芝張り適期と購入時のポイント

春(暖地では3~4月)が、最も芝張りに適した時期です。冬に休眠していた芝が芽吹く季節で、気候が穏やかなため、芝にもストレスが少なく、活着させやすい季節です。初夏(5~6月)の芝張りでは、降雨が無いと乾燥しやすいため、頻繁な散水が必要になる場合があります。気温が少し下がる9月の芝張りでは、降雨が少ない場合、散水をしっかり行い、冬までに活着させます。高温期(7~8月)は、切芝(ソッド)が傷みやすいため、購入や保管が難しい時期ですが、頻繁な散水を行えば、早く活着します。芝が休眠する時期の秋から冬(10~2月)は、切芝から根が伸びず、活着するまでの期間が長くなることから、お勧めしません(活着するまでに、枯れてしまうことがあります)。
店舗で購入する場合は、できるだけ入荷直後の新鮮な切芝を入手します(店舗での保管期間が長く、乾燥している場合には、活着しないことがありますので、取り扱い店舗に、入荷時期を確認することをお勧めします)。

芝張りのポイント

芝を張る土壌に不陸(凸凹)があれば、床土や目土/目砂を入れるなどで平らに修正して、切芝をレンガ状に並べます。芝同士の隙間(目地)を少し開けると、目土を隙間に入れやすくなります。 目土は乾燥防止のため、必ず散布します。雑草種子や有害物の心配がないため、芝用の資材をお勧めします。散布後は、レーキやホウキなどで、目地の奥まで擦り込みます。芝が目土で完全に埋まってしまうと、生育が阻害されますので、芝の表面が少し隠れるように、目土を追加しながら調整します。
目土の散布が終わったら、たっぷり散水します。散水後に目土が少ない場所が発生したら、目土を追加します。芝から根が伸長して活着するまでは、立ち入りを最小限にします(芝の上を歩く場合は、芝がずれないように慎重に歩きます)。活着するまでは、芝生の下の土壌が乾燥する前に、定期的に散水します。

散水のタイミング

芝張りしてから活着するまでは、気温が低い時期でも、晴天が続く場合、数日~1週間に1回の頻度で散水します。基盤の土壌が乾燥すると、根が伸びず活着が阻害されるため、切芝の下の土壌が乾燥しないように、たっぷり散水します。 活着後に土壌が乾燥すると、芝の葉が巻いて、細くなりますので、針状になったら、できるだけ早く散水します。高密度を目指して管理する場合には、定期的に散水することで、生育が促進されます。低密度の管理では、散水量が多すぎると、茎葉が伸びすぎることがありますので、芝の状態を毎日確認できる場合は、葉が巻いてから散水することもできますが、乾燥状態が続くと枯れてしまうので、注意が必要です。梅雨明けに晴天が続く場合、根が土壌の浅い部分にしかなく、乾燥に弱くなっていることがあるため、定期的に観察して、早めの散水をお勧めします。芝が部分的に傷んでいて、匍匐茎の生育を促進させたい場合は、散水や施肥により生育を促進します。植物の根は、地表が乾燥すると、水を求めて地中まで伸長し、乾燥に強い芝になることが期待されるため、少量を高頻度で散水するより、適切な頻度で(夏は数日に1回)たっぷりと散水することをお勧めします。冬の休眠期の散水は不要です。

散水量と土壌水分の関係

1回あたりの散水量が少ないと、地表面だけが湿った状態となり、水分量の多い地表面に根が分布し、乾燥に弱い芝になることがあります。たっぷり散水し、土壌の深くまで適切な水分量になることで、根が深くまで伸長し、乾燥に強い芝になることが期待できます。
1㎡に1Lの水を散水した場合、降水量相当で1mmとなり、土壌には数mm程度までしか浸透しませんが、1㎡に10Lの水を散水した場合には、数十mmの深さまで浸透します。散水栓からの流量が10L/分の場合(10Lのバケツが1分で満たされる流量)、1㎡あたり1分が目安となります。
透水性の悪い土壌の場合や、乾燥して撥水しやすい状態になっている場合、散水速度が速いと、表面排水として、流出することがあるので、何度か往復しながら、複数回に分けて散水します。

施肥(肥料の散布)

植物が健全に成長するためには、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)などの肥料成分が必要です。芝生の場合、芝刈りにより葉に含まれる肥料成分が失われるため、継続的に施肥を行うことが必要です。 N・P・Kを主体とした化成肥料と、有機物を主体とした有機肥料、化成と有機成分を混合した肥料もあります。化成肥料には施肥効果がすぐに期待できる即効性のものが多く、有機系の肥料には、ゆっくり解ける緩効性の肥料があります。N・P・K以外の微量成分も植物の生育には必要であるため、土壌に有機物が少ない場合は、化成肥料だけでなく、有機肥料や有機成分を含んだ肥料の使用をお勧めします。
肥料を均一に散布するには、一定方向だけに散布するだけでなく、複数回に分けて、縦方向・横方向に散布することで、ムラが少なくなります。
肥料を散布する時期は、春~秋の芝の生育期です。TM9の標準的な年間の施肥量は、窒素成分で7g /㎡(窒素成分が10%の場合、年間施肥量は70g/㎡)ですが、肥料の種類、芝刈回数、土壌の保肥力、降雨状況、日照条件などにより調整が必要です。施肥量が多すぎると、草丈が高くなり、芝刈回数が増えてしまうだけでなく、葉が柔らかくなることで、病気や害虫の被害が増加することがあります。肥料を定期的に散布する方法と、葉の緑色が薄くなったタイミングで施肥することで、施肥量を最小限に調整する方法があります。晩秋に一定量を散布することで、匍匐茎(地下の茎)に肥料成分が蓄積し、春の芽吹きが早くなることがあります。

施肥量の調整方法

TM9を省管理で栽培する場合には、肥料の量を一般的なコウライシバの半分程度にします。
肥料の袋に記載されている量で調整する場合には、標準量に対して半分の量を散布します。回数を減らすのではなく、1回に散布する量を減らした方が、草丈の伸びが穏やかになります。
施肥量や回数の記載が無い芝用肥料を使用する場合や、花や野菜の肥料を流用する場合には、1年あたりの窒素成分を7g/㎡を基準にして調整します。窒素成分が10%(表示 10-10-10)の肥料の場合の年間施肥量は70gとなります。即効性(溶ける速度が速い)の肥料の場合は、春から秋にかけて、4回程度に分けて散布します。

施肥量と芝の状態

省管理で栽培する場合、草丈が低く(3~5cm)、葉の色が維持できる程度が適正な施肥量です。降雨が多い、土壌有機物が少なく、有機物からの肥料成分の供給がない、保肥力(肥料を保持する量)が低いなどの理由で、肥料成分が不足すると、葉の色が薄くなるため、施肥量を増やします。
土壌有機物が多い、土壌の保肥力が強い場合は、同じ量を施肥しても肥料成分が過剰となり、草丈が伸びすぎることがあるため、施肥量を減らします。肥料が過剰な場合、茎葉が軟弱になり、病害虫が発生しやすくなることがあります。

芝刈りの必要性とタイミング

芝の草丈を揃えるだけでなく、古い葉を刈り取り、新しい葉を伸長させることで、美しい状態を維持する効果があります。出穂後に刈り取ることで、肥料成分が種子に吸収されることを防ぐ、異品種の発生を防ぐ効果などがあります。
省管理では、5月~6月の出穂(穂が発生)が終わったタイミングで芝刈りを行います。草丈のムラが気になる場合や、肥料過多・日照条件・壁の付近などで伸びすぎた場合は、必要に応じて芝刈りを追加します。散水が多すぎる場合も、肥料成分の吸収が増加し、伸びすぎることがあります。
高レベル管理で、春の緑化が早い場合には、出穂前にも芝刈りを行います。出穂後の芝刈りの後は、生育に応じて、1か月に1~4回の芝刈を行うことで、密度の高い美しい状態を維持できます。

芝刈りと景観性の向上・異品種の混入防止

コウライシバは、イネ科の植物で、稲と同様に、茎葉の先端に穂が発生し(出穂)、開花、稔実すると種子ができます。TM9は、茎葉の密度が高いため、茎葉の先端に発生する穂の数が多いことがあります。景観性の維持、異品種の発生リスクを低減するため、出穂後の芝刈りをお勧めします。
一般的な稲の種子は、遺伝子が安定しているため、同じ種類の稲しかできませんが、コウライシバの場合は、遺伝子が安定していない(固定されていない)ため、種子が発芽すると、小型~大型の種類(異品種)が発生します(TM9はこの性質を活用して育成されました。発芽させたコウライシバの種子から、大型(ノシバタイプ)の個体ではなく、小型で匍匐茎の生育が早い個体が選抜されました)。芝の種子は、固い種皮(殻)に覆われているため、発芽することは稀ですが、種皮が傷ついて、光が当たるなど、一定の条件になると発芽することがあります。異品種の発生リスクを低減するには、穂が出そろったタイミングから種子が稔実するまでの期間に、低めの刈高(1~2cm)で芝刈りを行い、穂を除去します。穂(花芽)は、短日条件(日が短くなる)になると形成されるため、冬の休眠中の芽の中に準備されていることが多く、春の芽立ちの時期に出穂が見られます。秋に高温期間が続いた場合には、秋に出穂することがあります。高密度管理で茎葉の密度が高い場合、穂の数も多くなる傾向があります。落下した種子の発芽を防止するためには、土壌処理効果のある除草剤の利用をお勧めします。

芝の密度・芝刈方法・芝の状態の関係

適正密度(低~中密度)の場合には、茎葉が競合しないため、茎が伸びにくく、葉が斜めの状態となり、草丈が低い状態を維持しやすくなります。高密度の場合は、茎葉同士が競合して、茎が伸び、葉が立つ状態になるため、葉の密度を高くすることができますが、草丈が高くなる傾向があります。
斜めの葉でカバーされた適正な密度で維持することで、芝刈回数を低減することができます。高密度でゴルフ場並みの緑のカーペット状態を維持する場合には、芝刈回数を増やす必要があります。

刈高と芝刈回数

芝の標準的な草丈に近い高さで維持することで、芝刈り回数を低減することができます。TM9の標準的な草丈は、低~中密度で3~5㎝、高密度で4~6cm程度です(密度、日照、施肥量などにより草丈は変化します)。低~中密度で刈高を2~3㎝で芝刈りすると、芝刈回数を低減することができます。密度が低い状態で、刈高が低すぎる場合(1cm)、全体的に緑の量が少なく見えることがあり、光合成する葉の量が減るので、一時的に生育が悪くなる場合があります。
中~高密度の芝生を、刈高2~4㎝で芝刈りする場合には、芝刈り回数が少し増加し、フカフカした芝生になる傾向があります。高密度で1~3㎝で芝刈りする場合には、ゴルフ場レベルの芝生になりますが、芝刈り回数は増加します。

軸刈り防止

芝を高密度で管理し、芝刈り回数が少ない場合、茎が伸長し、日光が当たりにくい下部は、緑の葉が無くなり、茎(軸)だけになります。葉が無くなった高さで芝刈りを行うと茎だけの状態になり、見た目が悪く、回復に時間が掛かります。軸刈りを防止するためには、緑の葉が十分にある高さで芝刈りを行います(目安は、草丈の2/3程度の高さです)。軸刈りを避けて、草丈を下げたい場合には、芝刈り後に新しい葉が発生するのを待ってから、徐々に刈高を下げます。芝が休眠している冬に1cm程度の高さで低刈りすることで、翌春以降の草丈を低く調整することができます。

除草剤の種類と効果・異品種の発生防止

雑草が発生すると、景観が悪くなるだけでなく、大型雑草による日陰や、肥料成分が雑草に吸収されることで、芝の生育が悪化することがあります。雑草の種類によっては、数週間で種子が飛散して増殖することがあるので、できるだけ早く除草します。
雑草の数が少ない場合は、手取り除草が有効です。雑草の地上部全体を抜き取れない場合、雑草が再生することがあるので、ピンセットなどの除草器具を利用します。雑草の数が増え、手取り除草が難しい場合は、芝生用の除草剤の活用をお勧めします。芝生用の除草剤は、芝生への影響が少なく、芝生以外の雑草を枯らすことができます。
除草剤を大きく分類すると、発生している雑草に効果のある茎葉処理剤と、成分が土壌に吸着して数か月間にわたって雑草の発芽を抑制する土壌処理剤があります。茎葉処理剤・土壌処理剤ともに、原液や粉剤などを希釈して、噴霧機などで散布する除草剤、スプレーボトルやシャワーボトルの薬液を雑草に直接散布できる除草剤、顆粒になった粒剤を芝生に直接散布する除草剤などがあります。広葉雑草を対象としたタイプ、イネ科雑草を対象とするタイプ、両方を対象とするタイプがあります。除草剤の種類によっては、雑草が枯れ始めるまで数週間かかる場合があります。散布時期、発生している雑草のタイプや量などにより、適した除草剤を使用します。 茎葉処理剤を雑草の発生部分だけに散布すれば、芝へのダメージを最小限にすることができ、比較的安心して使用することができます。高温期の全面散布は、芝が黄化することがあります。薬液が付着した雑草にしか効果がないため、散布後に発芽する雑草には効果がありません。
土壌処理剤は、土壌に吸着した成分が雑草の根から吸収されることで、小型の雑草だけでなく、発芽しようとする雑草を枯らす効果があります。薬剤によっては、3~4か月の効果が持続します。芝張直後・高温期の散布は、芝へのダメージがあるため、推奨されていません。春に散布することで、夏まで雑草の発生を減らすことが期待できます。冬にも雑草が発生することが多い場合には、晩秋以降にも散布します。樹木や花壇の周辺で使用する場合は、芝以外の植物への影響に注意が必要です。
芝生は、春になると穂が発生し(まれに秋にも出穂)、放置すると種子が稔実します。種子の殻が固いため、発芽することは稀ですが、発芽した場合は、植えた芝と異なるタイプの芝(異品種)が発生します。出穂後に芝刈りすることで、種子の数を減らすことができますが、穂が短い場合には、完全に除去することは困難です。土壌処理剤には、芝の種子の発芽も防止する効果があるため、異品種の発生を抑えることが期待できます。

病害虫の事例と対策

部分的に芝の葉が枯れている場合、害虫や病気の発生を疑います。初期症状として、葉の一部分が変色している場合は、病気が発生していることがありますので、殺菌剤を散布したり、生育環境を変えたりする(肥料を減らす、乾燥気味にする)ことで対応します。葉の全体が枯れている場合は、根元を食害されている場合があるので、殺虫剤を散布します。殺虫剤には、希釈して散布するタイプと、そのまま散布できる粒剤があります。施肥や散水が過剰な場合は、葉が柔らかくなり、病害虫が増加することがあります。施肥や散水の量の削減は、病害虫防止に効果があります。
枯れてしまった葉が緑に戻ることはありませんので、早めに対策を行い、新しい芽や葉でカバーされることで緑が回復するのを待ちます。

茎葉の密度とサッチの関係

サッチ層は、枯れた芝の葉などが、土の上に蓄積した層で、放置するとフカフカの芝(マット化)になります。サッチ層の上から芝の芽が伸長すると、軸刈りが発生しやすくなります。匍匐茎(地中で横に伸びる茎)が、サッチ層の中に伸び、乾燥に弱い芝になったり、病害虫の温床になったりすることがあるため、除去が必要です。サッチを除去したら、目土を入れるなどの作業を行います。高密度で管理する場合には、葉の量が多いため、サッチ層が厚くなる傾向があります。密度を低く維持する場合には、葉の量が少なく、サッチ層が薄いため、自然に分解することがあります。

異品種が発生した場合の対応

他の種類の芝が庭に残っていた場合や、芝の種子が発芽した場合、異品種(TM9より、葉の横幅が広い、大きい、色が薄いなど)が発生することがあります。発見したら、できるだけ早く除去することで、異品種の拡大を防ぐことができます。
範囲が狭い場合は、異品種の匍匐茎を含めて、こまめに除去することで、草勢が弱まり、枯死することがあります。グリホサートなどの茎葉処理剤を異品種の葉だけに、ハケなどを利用して塗布することで、異品種だけを枯死させることもできますが、残したい芝に除草剤が付着した場合には、ダメージがあるので、慎重に実施します。
範囲が広い場合は、異品種が発生した範囲を茎葉処理剤で枯らして、TM9で覆われることを待つ方法があります。異品種が発生した範囲の芝を除去して新しい芝に張り替える方法もあります。