倉敷市真備町の神社内に設置されたテントの中で、マッチング業務にあたるTDRSボランティア。
瓦礫が片付くことが復興ではない。
2018年7月、豪雨による被害を受けた岡山県倉敷市真備町で、TDRSという新たなプログラムが始まった。約20人の従業員が「災害ボランティアコーディネーター(以下、災害VCo)」として現地の災害ボランティアセンターに1カ月以上交代で2人ずつ常駐。被災者ニーズの掘り起こしや活動のマッチングに取り組んだ。参加者はいずれも、2015年以降に社内で実施した災害VCo養成講座を修了している。
トヨタが社内で災害VCo育成と派遣を始めたのには、担当者のある思いがあった。「東日本大震災後、陸前高田市で終わりの見えない瓦礫の撤去作業をしていたとき、自分たちのやっていることに意味などあるのだろうかと感じました」と社会貢献推進部の大洞 和彦は話す。すると、災害VCoから「皆さんができる範囲でいいんです。続きは、次のボランティアが引き継ぎます。そして、いつか全部片付くんですよ」と言われたという。ボランティアは活動したら現場を離れるが、災害VCoはその裏でニーズを掘り起こし、活動を割り当て、進捗を確認し次のボランティアへとつなげていく。災害VCoが被災地の復旧・復興を支えていることを実感した。被災地での課題解決に、企業での経験が役立つのでは、とも考えている。
「社会課題と向き合うのは企業の責任。でも瓦礫が片付くことが復興ではない。被災された方が将来への希望を持てること。そのためにも心に寄り添った活動を」と大洞は被災地支援への思いを語った。
2011年、岩手県陸前高田市で復興支援のボランティア活動にあたるトヨタグループの従業員ボランティアたち。2018年までに延べ1,000人以上が東日本大震災の被災地で活動している。
自然災害発生時に、義援金の寄付やボランティア活動にとどまらず、トヨタのリソーセスやノウハウを活用することで、被災された方の気持ちに寄り添った支援を目指す。Toyota Disaster Recovery Supportの略。