株式会社ダイフク
右:法務・コンプライアンス本部 情報資産マネジメント推進室 菊地様(2025年9月取材当時)
- 従業員数
- 11,042人(グループ計/2024年12月31日現在)
- PCE利用部門
- 3部門(導入初期)→10部門(2025年10月)
- 事業内容
- 物流システムに関するコンサルティングとエンジニアリングおよび設計・製造・据付・サービスなど
1業務概要と担当業務
——どのようなお仕事をしているか教えてください
当社はマテリアルハンドリングシステムという業界で事業を展開しており、物を運ぶシステムを作っている会社です。一般流通業・製造業、半導体生産ライン、自動車生産ライン、空港向けの手荷物搬送など、様々な業界でシステムを提供しています。当社の特徴は、コンサルからアフターサービスまで一貫して対応していることです。
私達が所属している情報資産マネジメント推進室は、8名のチームで全社向けのセキュリティ企画や推進を担当しています。
2導入の背景―PCEを知ったきっかけ
——情報コンタミネーション※への危機感
株式会社ダイフクでは、リスクマネジメントの強化に取り組んでおり、社員および全社役員、社長も含め、セキュリティ意識向上を目的とした強化月間を毎年1回設け、啓発活動を行っています。
髙野様 「2年前、弁護士を招いて情報コンタミネーションの怖さについて講演会を開きました。従来は、先に情報を入手した人がその情報を自由に使えて有利になる、『情報を持った者勝ち』という意識が強かったのですが、訴訟リスクや証明の難しさを痛感し、電子公証の重要性を再認識しました。」
知的財産部部長でもある髙野様(2025年9月取材当時)は、米国ベンチャー企業を含む様々な訴訟経験から、情報保全の体制強化が急務であると感じたそうです。
髙野様 「米国の訴訟では和解金やディスカバリーで多額の費用がかかります。また、外国での訴訟はどうしても立場的に日本が不利になることも多くあります。このような場合、早期解決のために何ができるかと考え、日頃からの情報の保全をして有事の際にしっかり証明できる環境の整備が不可欠だと考えました。」
※情報コンタミネーションとは、他社技術等の外部秘密情報が自社情報に混入した状態を指す。情報コンタミが発生すると、自社開発等において使用可能な情報の特定が困難となり、他社営業秘密の不正使用リスクが高まる。
参考:PCEユースケース|研究開発部門のデータガバナンスと協業促進
——PCEを知ったきっかけ
導入のきっかけは、PCEが紹介されたweb記事に、菊地様の目が止まったところから始まりました。
髙野様 「当社では2018年頃から電子公証を使っていましたが、いくつかの問題点がありました。大量のデータを公証できなかったり、公証が日本国内に限られていたり、公証手続きが面倒だったり、費用面でも課題がありました。情報コンタミネーションへの不安を海外でも抱えており、PDCAの推進という観点からも、より良いシステムを探していました。そんな折、菊地が偶然マイクロソフトの記事でPCEを見つけたのです。」
菊地様 「当時利用していた電子公証が抱えている課題に対応できるサービスが無いかと探していた所、PCEの記事を目にしました。同じ課題を抱えていたトヨタ自動車で自社開発された経緯や課題解決の背景に共感し、当社でも導入したいと思いました。」
3導入の決め手―他社との比較
——決め手はユーザー目線の使いやすさ
菊地様 「従来のシステムは手間がかかっていましたが、PCE は既に全社で使用していた SharePointに連携するだけで自動的に判断レスにて保全できるので、ユーザー目線でとても使いやすいと感じました。」
トライアル導入では、規模の大きい事業部を中心に3部門で1年間運用し、2025年からさらに利用部門を展開して本格導入へと進み、現在は約10部門で活用されています。
髙野様は弁理士でもあり、知財に関する専門家として社外の方とも情報交換される機会が多いため、ダイフクにおけるPCEの導入については、どのような声が聞こえてくるか伺いました。
髙野様 「業界の様々な企業や弁理士の集まり等で電子公証の課題とPCEの話をすると、非常に良いもの(PCE)が世の中には既にあることに驚かれ、当社が課題解決に向けて取り組んでいる姿に共感されます。」
4導入時の課題―社内の懸念、運用時の工夫
導入に際しては、社内からはPCEを利用することによってトヨタ自動車に自社の社外秘データが渡るのではないかという懸念の声もあったそうです。
髙野様 「トヨタ自動車さんはPCEのサービス提供元ですが、ダイフクの重要な機密情報を預けて漏洩はしないのかという声がありました。仕組み的に問題がないことを説明し、理解を得ました。」
POINT PCEでは、オリジナルのファイルはお客様がご契約中のクラウドストレージに格納され、そのファイルが存在した証拠であるハッシュ値のみをPCEに保存しています。ファイル自体をPCEに保存する事はありません。
——部門ごとの推進とルール整備
運用面では、各部門に責任者を設け、保存するファイルの種類や登録タイミングなどのルールを明確化しています。
菊地様 「いきなり『PCE導入を機に知財保護意識を持ってください』と言うだけでは運用は機能しません。PCEが扱う機密性の高い情報の保護という観点から考えても、しっかり責任者を立てて、保存するファイルの種類や登録タイミングを各部門と相談して決めるなど、より確実で安心できる運用ルールをしっかり整備しました。」
5 PCEで保全している情報
——PCEでは、どのような情報をどのような目的で保全対象としていますか?
情報漏えいや情報のコンタミネーション等のリスクを未然に防止し、万が一紛争が発生した場合における証拠力を補強することを目的としています。
そのため、当社の営業秘密(経営情報・技術情報・営業情報)に加え、顧客や取引先など他社からお預かりしている営業秘密も、保全の対象として取り扱うことを推奨しています。
6 今後の展望
今後は海外拠点への展開も視野に入れています。
髙野様 「国によってはデータの越境移転に関する規制がありますが、グローバルにPCEの利用を展開していきたいと考えています。」
菊地様 「当室では、国内に加えて海外のグループ会社約30社も管理対象となっているため、情報セキュリティ推進の延長線上でPCEの運用もグローバルに広げていきたいです。」
7 導入を検討している企業へのメッセージ
髙野様
「事業を拡大する過程では、社内外から様々な情報を取得する機会が増えます。
その際、情報のコンタミネーション(混在)を防止し、他社と自社それぞれの情報を適切に区別・管理することが重要です。PCEは既存のシステムとの親和性が高く、柔軟に構築できるため、こうした情報管理に非常に有効です。これにより、情報の授受を安心して行うことができ、互いの協創の促進につながります。
また、守るべき情報は、特許などの登録可能な権利に限らず、先使用情報、ノウハウ、無効審判資料など、非公開であっても戦略的に重要な情報が含まれます。これらの情報はPCE(電子公証)を活用することで、改ざん防止や証拠性の確保が可能となり、一歩進んだ権利保護となりますので、積極的な活用は望まれると信じています。 」
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技術情報
コンタミネーションの
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