芝生の調子が悪い場合(症状別の対策)
芝生の調子が悪い場合には、症状に合わせた対策を行うことで、効率的に回復させることができます。こちらのコラムでは、代表的な症状別に原因と対策を紹介しています。


1葉の色が薄い
全体的に葉の色の緑が薄くなり、黄緑色になる場合には、肥料不足が考えられます。芝生を美しい状態で維持するためには、適切な量の肥料の散布が必要となります。TM9の標準的な肥料散布量は、年間の窒素成分で7g/㎡程度です。成分が8:8:8の肥料を4回/年に分けて散布する場合は、1回あたり20g/㎡(一般的なコウライシバの場合は40g/㎡)が目安ですが、極端に葉の色が薄い場合は、多めに散布します(2倍程度の量を散布しても問題ありません)。
葉の色が濃い場所と薄い場所がある場合は、肥料散布のムラや病害虫が発生している可能性があります。肥料の散布方法については、こちら(詳細栽培マニュアル 施肥)もご参照ください。
2茎葉の密度が低い
肥料不足が継続すると、面積あたりの葉の数(茎葉の密度)が減少します。肥料の散布により回復が期待できます。回復するまでは、標準な施肥量より多めに散布します。 樹木の陰や壁の近くなど、日照不足の場合には、茎葉の密度が低下し、草丈が高くなる(葉が長い・徒長する)傾向があります(標準的な成長のためには、春~秋に半日以上の日照時間の確保が目安です)。日陰の芝生を短く芝刈りすると(1cm程度)、葉面積が少なくなることで、光合成ができなくなり、衰退が進むことがありますので、高めに刈高を設定します(3cm以上が目安)。周辺の樹木を剪定しても問題ない場合は、芝生にできるだけ直射日光が当たるように、樹木を成型します。
3草丈が高い
散布する肥料が多すぎる場合、草丈が高くなる傾向がありますので、散布する肥料の量を減らします。茎葉の密度が高く、葉の色が濃いため、日陰の場合の徒長とは、区別することができます。過剰な散水により、肥料成分が溶けやすくなり、草丈が高くなることがあります。壁際の芝生は、日照不足や茎葉密度が高くなることで、徒長しやすい傾向がありますので、肥料の量を削減するなどで工夫します。
4マット状
芝生の上を歩いた時に、フカフカのマット状(クッション状態)になることがあります。枯れた葉や古い茎が新しい茎葉の下に大量に堆積(サッチ層)しており、透水性が悪くなったり、病害虫が発生しやすくなったりするため、サッチ層を除去し目土を入れることが一般的です。肥料の量が多く、芝の成長が過剰なることが原因ですので、肥料の散布量を減らすことで、マット状になりにくくなります。茎葉の密度との関係については、こちら(詳細栽培マニュアル 茎葉と密度とサッチの関係)をご参照ください。
5葉が針状になった
土壌の水分が不足すると、葉が針状に巻き、灰色に見える場合がありますので、できるだけ早く、散水します。過剰に乾燥して、土壌表面で撥水してしまう場合は、少量を長時間散水します。散水方法についてはこちら(詳細栽培マニュアル 散水のタイミング)をご参照ください。
6部分的に枯れた
水不足が継続すると、部分的に枯れることがあります。定期的に散水することで、生きている部分からの成長を促進し、回復を待ちます。
病害虫によりスポット状に枯れることがあります。害虫が原因の場合は、殺虫剤を散布します。病気が原因の場合は、殺菌剤を散布するか、回復を待ちます。肥料の散布量が過剰な場合に、病害虫が増加することがありますので散布量を削減します。こちら(詳細栽培マニュアル 病害虫の事例と対策)の説明もご参照ください。
7雑草が増えた
芝生を植え付けた直後に発生する雑草は、土の中に残っていた種子や茎から発生しています。その後に発生する雑草は、周辺から飛来する種子に由来しています。雑草が少ない場合は、手取り除草で対応できますが、増加した場合は、除草剤の利用を検討します。雑草管理のコツについては、こちら(コラム 芝生の雑草管理のコツ)をご参照ください。
8大型の芝生が発生
他の種類の芝生の茎が残っていた場合や、芝生の種子が発芽した場合、大型の芝生が発生することがあります。発生した場合は、こまめに茎葉を除去するか、除草剤の使用を検討します。こちら(詳細栽培マニュアル 異品種が発生した場合の対応)をご参照ください。大型の芝生の発生を防止するためには、芝生用の土壌処理剤を使用します。詳細については、こちら(詳細栽培マニュアル 除草剤の種類と効果・異品種の発生防止)をご参照ください。
9キノコが発生
梅雨時など、降雨量が多い場合に、土壌に含まれる有機物や芝生のサッチ層(古い葉や茎)を栄養源とするキノコが発生することがあります。芝生の病気に由来することは稀ですので、放置しても問題ないことがほとんどです。降雨以外が原因の場合は、散水量を減らします。
10まとめ(原因別の症状と対策)
原因別に症状をまとめた表がこちらです。芝生の管理では、肥料・散水量などを調整することで、美しい状態を維持することができます。
