産業車両事業

概要

トヨタの産業車両事業は、1956年(昭和31年)3月、フォークリフトのエンジンの供給はトヨタ自動車工業(株)、製造は(株)豊田自動織機製作所(現 (株)豊田自動織機)、販売はトヨタ自動車販売(株)という基本的な役割り分担のもとに国内で生産・販売を開始したのに始まる。

1960年代から始まった高度経済成長に伴う荷役合理化の有効な手段としてフォークリフトは急速に普及し、フォークリフトによる荷役を前提とした物流システムも各方面で採用されるようになった。トヨタは、国内で初めて普通免許で乗れる小型特殊仕様車をはじめ、各種アタッチメントなど、お客様のニーズを先取りした商品開発を積極的に進め、現在では0.5トンから43トン積までの商品ラインナップを確立している。さらに1986年からは物流システム事業にも参入するなど、フォークリフト以外の事業領域でも順調に売上げを伸ばしている。

生産体制においては1970年にフォークリフト専門工場の(株)豊田自動織機製作所高浜工場が完成。海外では、フランスのマニトウ社と技術援助契約を結び1987年からノックダウン生産を開始、1988年には米国においてTIEM社(Toyota Industrial Equipment Mfg.,Inc.)を設立し、国内・海外における生産体制を着実に強化している。1985年にフォークリフト国内生産累計50万台を、1995年(平成7年)8月には全世界でのフォークリフト生産累計100万台を達成した。

国内販売においては1960年にフォークリフト初の専門販売店 中部トヨタリフト(株)を設立して以来、着々と販売・サービス体制を強化してきた。2011年末時点では全国で40社(310拠点)の販売網を構築し、アフターサービス体制も充実させている。また、1998年10月より国内のトヨタ産業車両機器取扱店を、「トヨタ L&F*」に変更した。

一方、海外販売においては、1958年にタイにサンプル輸出を開始して以来、2011年末現在188カ国(648拠点)で販売しており、海外生産分も含めてグローバルな販売体制を構築している。

2000年12月、トヨタ自動車と(株)豊田自動織機製作所は、両社のL&F事業を統合し、(株)豊田自動織機製作所に譲渡する契約を締結した。翌年4月(株)豊田自動織機製作所の企業内カンパニーとして、産業車両の製造と販売部門を統合した「トヨタL&Fカンパニー」が発足した。

*
「L&F」・・・Logistics & Forklift の頭文字

産業車両事業の変遷

西暦
和暦
事項
1953
昭和28
7
(株)豊田自動織機製作所で小型フォークリフトの試作研究に着手
1956
昭和31
2
トヨタ自販部品部にフォークリフトの販売業務を推進する機械課を新設[1日]
3

1トン積フォークリフト(LA型)発売

1トン積フォークリフト(LA型)発売
―(株)豊田自動織機製作所が開発・製造した1トン積フォークリフトを販売網に乗せ、産業車両市場への進出を開始
1957
昭和32
12
850kgトーイングトラクター(LAT型)発売
1958
昭和33
5
1トン積フォークリフトをタイへサンプル輸出
1960
昭和35
1
1.2トンショベルローダー(SR型)発売
6
(株)豊田自動織機製作所共和工場内にフォークリフト専門工場操業開始
8
産業車両初の専門販売店「中部トヨタリフト(株)」設立[15日]
1961
昭和36
4
フォークリフトを東南アジア・中南米へ輸出開始
―以降、1962年中近東、1964年ヨーロッパ・アフリカ、1965年北米へ輸出開始
12
フォークリフト販売、国内販売シェア33% 業界トップへ(年間販売実績2,450台)
1962
昭和37
2
トヨタ自販、輸出本部を発足[1日]
1963
昭和38
1
国内初のボデーフレームを採用した2トン積フォークリフト(5LR型)発売
3
2トン積フォークリフト(5LR型)輸出開始
9
ショベルローダー(SD23型)発売
1965
昭和40
6

シンガポール向け輸出車の出荷式

シンガポール港湾局のフォークリフト国際入札を落札(1966年1月に出荷)
6
初のフォークリフト専門ディストリビューターが南アフリカで発足
1966
昭和41
2
普通免許で乗れる小型特殊車(6LA型)発売
12
トヨタ自販、部品部機械課から産業車両部として独立[1日]
1967
昭和42
1
フォークリフトの輸出体制強化のため、トヨタ自販に輸出部品部産業車両課を新設[1日]
7
カウンタータイプ電動フォークリフト(FB15型)発売
9
産業車両、月間出荷・販売・生産ともに国内初の1,000台を達成
12
産業車両年間輸出実績673台に達し輸出占拠率33%、輸出台数で国内業界第1位となる
1968
昭和43
10
トヨタ自販、産業車両部に業務課を新設[1日]
―製品・販売企画業務の充実を目的として
12
国内出荷1万台達成
1969
昭和44
1
トヨタ自動車販売店協会にリフト部会発足
11
フォークリフト国内販売累計5万台達成
1970
昭和45
7
リーチタイプ電動フォークリフト(FBR10型、FBR15型)発売
9

(株)豊田自動織機製作所 高浜工場全景

(株)豊田自動織機製作所、産業車両生産専門の高浜工場を設立[22日]
―10万坪(約34万m2)の敷地に機械工場・組立工場などを建設し、共和工場にあった産業車両の生産設備を移設
11
“フォークリフトの大衆車”FG7型、FB7型発売[1日]
―新市場開拓のためテレビコマーシャルを実施
1971
昭和46
2
産業車両輸出累計1万台達成
9
産業車両生産累計10万台を達成[6日]
1972
昭和47
9
フォークリフト生産累計10万台達成
9
2トン・2.5トン積エンジンフォークリフトを発売[20日]
―ヘッドガード一体構造のボデーフレームとパワーステアリングを標準装備
1973
昭和48
2
トヨタ自販、輸出業務部内の産業車両課、産業車両部品サービス課を分離し、輸出産業車両部として独立
2
フォークリフト国内販売累計10万台達成
11
第1回産業車両ヨーロッパ代表者会議開催
1974
昭和49
10
トヨタ自工・トヨタ自販・(株)豊田自動織機製作所の共同出資で米国トヨタ産業車両(Toyota Industrial Trucks, U.S.A., Inc.(TIT社))設立[1日]
(1984年4月1日 米国トヨタに吸収合併される)
12
この年、フォークリフト生産台数で世界一となる(共産圏は除く)
1975
昭和50
1
ペルーで組立開始
―以降、1976年7月ブラジル、1977年12月南アフリカで組立開始
 
フォークリフト生産累計20万台達成
 
国内業界初のフォークリフトのリース・レンタル事業を開始
1976
昭和51
2
スイーパー(QBW9型、QB12型)発売
6
第1回トヨタ産業車両海外主要国代理店代表者会議を開催[7~9日]
8
第1回招日サービス技術講習会開催[14~15日]
1977
昭和52
4

マルチローダー「ジョブサン」

スキッド・ステア・ローダー「ジョブサン」(SGK6型、SDK6型)発売[6日]
5
4WDのスキッド・ステア・ローダー(国内名称は「ジョブサン」)輸出開始
 
販売店経営安定の諸施策を強化(~1984年)
1978
昭和53
6
国内メーカー初の3輪タイプ電動フォークリフト「ナローエース」(FBE型)発売[9日]
6
海外産業車両部門、第1回産業車両部品セミナー開催(欧州[1~2日]、中近東アフリカ[8~9日])
10
ショベルローダー「ジョブファイター」(SDT12型、SDT15型)発売
10
高所作業車JLGリフト(JD12型、JD18型)発売
12
フォークリフト国内販売累計20万台達成
12
産業車両生産累計30万台達成
1979
昭和54
 
フォークリフト生産累計30万台達成
1980
昭和55
7
産業車両輸出累計10万台達成[29日]
12
西ドイツのディストリビューターTTG社(Tomen Transportgeraete GmbH)に資本参加
1982
昭和57
4
F80システムを導入
5
ニュージーランドで組立開始
―以降、1985年2月インドネシア、1985年8月ベネズエラ、1987年1月フランスで組立開始
5

第1回トヨタ産業車両ディストリビューター世界大会

第1回トヨタ産業車両ディストリビューター世界大会開催[17~18日]
6
フォークリフトの主要141機種を大幅改良、あわせて標準色をオレンジに統一
12
6~8トン積エンジンフォークリフト「ヘビーデューティー」シリーズ発売
 
フォークリフト生産累計40万台達成
1984
昭和59
1
海外産業車両部門、部品表彰制度(Parts Award Program)開始
4
産業車両オーダーシステムの電算化、本格的に稼働
9
販売店中期経営計画を策定
9
フォークリフト国内販売累計30万台達成
1985
昭和60
3
販売店全店黒字達成
9

フォークリフト生産累計50万台達成(国内初)

フォークリフト生産累計50万台達成(国内初)[11日]
 
商談参加率向上への取組みとして現場キャンペーンを連続的に展開(~1986年)
1986
昭和61
5
第2回トヨタ産業車両ディストリビューター世界大会開催[29~30日]
5
産業車両輸出累計20万台達成
7
トヨタ無人車システムを発売[10日]
―搬送台車タイプ(ACBJ2、ACB3、ACB5)とけん引タイプ(ATB-T8、ATB12)
8
1~3トン積エンジンフォークリフト「X300」シリーズ発売[28日]
10
EC向けフォークリフトの輸出自主規制開始
1987
昭和62
1
フランスのマニトウ社でフランス向けKD生産
4
1~1.8トン積リーチタイプ電動フォークリフト「テクノリーチR300」シリーズ発売[9日]
9
光学誘導式小型無人搬送車を発売[10日]
9
ユニット式自動倉庫「ラックソーター」発売[10日]
9
フランスにトヨタ欧州産業車両(有)(Toyota Industrial Equipment Europe S.A.R.L(TIEE))を設立(8月25日設立許可)
10
フランスのマニトウ社で生産したフォークリフトのヨーロッパ向け再輸出開始
11
1~3トン積カウンタータイプ電動フォークリフト「B300」シリーズ発売[10日]
1988
昭和63
6
3.25~4.5トン積エンジンフォークリフト「D300」シリーズ発売[16日]
10

TIEM 全景

米国インディアナ州コロンバス市に(株)豊田自動織機製作所との合弁会社(株)トヨタ・インダストリアル・イクイップメント・マニュファクチャリング(Toyota Industrial Equipment Mfg., Inc. (TIEM))を設立[27日](1990年4月生産開始)
1989
平成元
1
フォークリフト国内販売累計40万台達成
5
米国TIEMが工場建設の鍬入れ式を実施[18日]
1990
平成2
1
英国のトヨタフォークリフト販売代理店リフトラックス社の株式を取得[12日]
10
米国TIEMが開所式を実施[9日]
1991
平成3
1
5~8トン積エンジンフォークリフト「G300」シリーズ発売[16日]
10
フォークリフト国内販売累計50万台達成[11日]
1992
平成4
5

パレット用ユニット式 自動倉庫「ラックソーターP」

パレット用ユニット式自動倉庫「ラックソーターP」を発売[25日]
7
米国TIEM、生産累計1万台を達成
10
バケット用ユニット式自動倉庫「ラックソーターB」を発売[1日]
1993
平成5
3
米国への産業車両輸出累計10万台を達成[8日]
1994
平成6
1
1~3トン積エンジンフォークリフト「X500」シリーズ発売[20日]
―平成6年度グッド・デザイン商品選定賞(通商産業省認定Gマーク商品)を受賞
10
1~1.8トン積リーチタイプ電動フォークリフト「R500」シリーズを発売[13日]
1995
平成7
3

TIESA 全景

フランス マニトウ社と(株)豊田自動織機製作所と合弁の産業車両生産会社トヨタ・インダストリアル・イクイップメント(Toyota Industrial Equipment, S.A.(TIESA))を設立
8

フォークリフト生産累計100万台達成

全世界でのフォークリフト生産累計100万台を達成[29日]
11
1~3トン積4輪タイプ電動フォークリフト「B500」シリーズ発売[16日]
1996
平成8
9
3.25~コンパクト5トン積エンジンフォークリフト「D500」シリーズ発売[3日]
9
1トン未満カウンタータイプ電動フォークリフト「プチランナー」シリーズ発売[10日]
1997
平成9
4
1トン未満エンジンフォークリフト「プチランナーG」シリーズ発売[7日](Gはガソリン車)
1998
平成10
3
500Kg積、700Kg積立席型カウンタータイプ電動フォークリフト「りとるランナー」発売[6日]
9
1~3トン積エンジンフォークリフト「GENEO」シリーズ発売[7日](1999年1月に3.5~5トン積を追加)
―新安全システムSAS(System of Active Safety)を搭載
10

トヨタL&F ロゴマーク

トヨタフォークリフト店を「トヨタL&F(Logistics & Forklift)」に変更[1日]
1999
平成11
8
1~3トン積カウンタータイプ電動フォークリフト「GENEO-B」シリーズ発売[26日]
―AC(交流)駆動システムを採用し、第30回機械工業デザイン賞「通商産業大臣賞」を受賞
 
国内フォークリフト販売、年間シェア初の40%突破
2000
平成12
6
(株)豊田自動織機製作所、スウェーデンのウェアハウス用機器メーカー BTインダストリーズを子会社化[22日]
12

L&F事業の譲渡契約の締結

トヨタのL&F事業部門を(株)豊田自動織機製作所に譲渡する契約を締結することを決定[26日](27日調印式)
2001
平成13
1
1~3トン積リーチタイプ電動フォークリフト「GENEO-R」シリーズを発売[23日]
4
(株)豊田自動織機製作所にL&F事業部門を譲渡[1日]