車両

プレス

ロータリーカム

寄曲部のパネル取り出し時の引っかかり(負角)を外す構造の一種。一般的には直線運動のカム構造に対し、カムを回転運動させる構造で、省スペース、軽量などの長所を有する。外板パネルに広く用いられる。

クォーターパネルとインレット一体化

ガソリン給油口の構造を、クォーターパネルとインレットボックスパネルの溶接構成から、クォーターパネルでの一体成形化をすることにより、品質向上や、コスト低減にも大きく寄与した。

厚目付け亜鉛めっき鋼板

欧米の防錆強化対応のため、表面処理鋼板の耐食性向上を目的として、亜鉛付着量を大幅に増やした厚目付け亜鉛めっき鋼板が開発された。亜鉛の付着量増加により、①めっきの損傷・脱落による外板面品質不良、②材料の摺動性の低下による割れなどの問題が発生したが、鉄鋼各社との協業により量産のめど付けを行い、1989年(平成元年)「セルシオ(現 「レクサスLS460」)」から全面採用を開始した。

大型3次元計測機

パネル単品、サブアッシー品、ボデーの精度測定・解析・保証を目的に、大型3次元計測機を導入した。従来の手測定では、測定数のN増しや測定結果の整理に多大の工数を必要としたり、測定値のばらつきによる信頼性の面で、問題があった。計測機の導入に伴い、ハード・ソフト両面での各種システム開発により短時間で信頼性の高い計測結果を得ることが可能となった。

自動車ボデー部品の少量プレス生産システム(FPS:フレキシブルプレスシステム)

少量生産に対応するためには、生産タクトを落としてでも専用設備のミニマム化や工程短縮の工夫によりコストアップに繋がらない生産システムが必要とされた。そこで、液圧成形、3次元レーザー機による抜加工、多方向からの同時加工を可能にしたマルチプレス技術による生産システムを開発し導入した。

レーザー溶接による一体化ボデーパネル生産システム

レーザー溶接の技術革新に伴い、プレス加工前の異板厚・異材質の素材同士をレーザー溶接で接合しプレス加工することにより、車両の性能を損ねることなく部品点数の削減や素材費の低減、後工程の工程短縮に寄与した。

NAVI(3次元計測・解析)システム

"NAVI"とは、型・パネルなどを非接触点群測定・解析するツールを含めたシステムの総称である。従来の点測定から面での全体測定が可能になったことで、不具合の要因解明・業務の効率化や改革に大きな効果を上げている。主な活用用途は、①金型の品質保証②成形性解析③パネルの工程間変化解析④板合せ検討⑤建付検討⑥リピート型製作⑦型保全などである。

NAVI=New Analysis-system by using Visual-Measuring

テーブルトップ(T・T)式ヘミング型の開発

従来のへミング加工は、プレス機に類似した上下運動を行う4本油圧シリンダーを有したへミング機の中に上下金型を取付ける加工方式で、へミング機と金型各々を必要としていた。テーブルトップヘミングとは、下型からの加圧シリンダーを使用した4リンクユニット新機構による、振込み方式によるプリ・ヘム一体刃での折曲げ加工技術である。これにより、4本油圧シリンダータイプに比べ、ヘミング機と上型部が不要になり、省スペースおよび設備投資額の低減が実現できた。

リピート造型技術の確立(型計測技術・面化手法・機械加工)

「カローラ」に代表されるグローバル車種の生産拠点拡大・同時立上げに対応するため、オリジナル型と同品質の型を短納期で造る技術が重要課題となった。計測技術や計測データの面化手法を高めて機械加工技術とリンクさせることにより、品質合格となったオリジナル型を正確に転写したリピート型を造型できる技術を確立し、2005年(平成17年)から本格展開した。

潤滑皮膜材

厚目付け亜鉛めっき鋼板の採用により摺動性が低下したため、不安定な亜鉛めっき表層に、安定した合金電気めっきを施すことで一部の難成形部品に対応していた。この技術は、大規模な設備投資とコスト高のため、グローバル・スタンダードとならず、現調化の足かせとなった。そこで鉄鋼メーカーと協業で、簡便な設備でグローバルに調達が可能な無機潤滑皮膜開発に取り組み、実用化した。2000年代には世界各国で調達が可能となった。

「新CAD展開」に合わせた造型CAD/CAMシステムの刷新(CATIA/Dynavista)

車両開発業務のフロントローディングとコンカレント化による開発期間短縮と、車両開発・生準のグローバル化に対応する「BR-ADプロセス」構築に向けた「新CAD(CATIA)展開」の一環として、造型(型設計製作)CAD/CAMシステムをTOGO(内製)からCATIAベースのDynavistaに移行した。SE・型構想工程の一層のコンカレント化や型製作工程におけるさらなる高精度・高品位加工などが進んだ。

デジタル建付けの実用化

サイドアウター、フェンダー、蓋物サブアッシー(フード、ドアなど)の建付け品質については、建付けチェッキングフィクスチャー(C/F)に実部品をセットし、点測定で保証していた。これに対して、非接触測定機の点群データを処理してバーチャルで保証できる機能を開発した。この機能により、各部品測定データをシステム内で建付け評価・保証でき、建付けC/Fレスが可能となった。

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